2013年8月14日水曜日

外国語教育メディア学会(LET)第53回全国研究大会

 2013年8月7−9日の日程で東京の文京学院大学で開催された外国語教育メディア学会の全国研究大会に参加した。最寄りの駅は「東大前」ということで、あの東京大学と道を挟んだ向かいにある大学。ちょうど学会が開催されている期間中に東京大学ではオープンキャンパスが開催中でした。

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それはさておき、聞いた発表の中からいくつか簡単な備忘録。

【1日目】8月7日
前田 啓朗(広島大学)
「外国語テストの作成・データ整理に生かすExcel活用法」
 Excelに詳しい前田先生らしい、Excelを活用するためのワークショップでした。前半はExcelを利用したテスト作成について、後半はExcelを利用したデータの整理についての内容。

 前半は参照の方法(絶対参照と相対参照)やテスト作成に活用できる関数の説明。

文字列操作:&, CONCATENATE、LOWER, UPPER, RIGHT, LEFT, MID, LEN
項目選定:RAND, RANK, VLOOKUP

などについて。基本的な関数をこのようにテスト作成に活用できるということを提示されました。後半はデータの整理ということで、EXCELのデータ分析ツールを利用した統計処理の方法やグラフの描き方について提示されました。後半は少し時間が足りなかったので、もう少しゆっくり話を聞きたいと思いましたが、手元にあるExcelというツールでどれだけのことができるかということを見せつけてくれるワークショップでした。その他の情報としては以下のようなものもありました。

・平均の差の検定をオンラインで分析:ANOVA4 on the Web
・比率の差をオンラインで分析:Exact Test

浦野 研(北海学園大学)
「有意性と効果量についてしっかり考えてみよう」
 配布資料や関連情報はすべて浦野先生のサイトから入手できます(ということで詳細は省略)。効果量ということばはよく聞くもののよくわかっていなかったので、とても有り難いワークショップでした。浦野先生のワークショップは聴衆をきちんと意識されているので、話がきちんと頭に入ってきます。
 ワークショップ中に浦野先生が引用された「…統計的推定には、"データ数という、研究者が任意に決められる要因によって結果が左右されてしまう"という根本的な問題があります(吉田, 1998, p. 232)。」ということばは忘れてはいけませんね。効果量の計算は水本先生のExcelシートを使えばあっという間にできます。

参考:
効果量(Cohen, 1969)
小:d=0.2、重なり85.7%
中:d=0.5、重なり67.0%
大:d=0.8、重なり52.6%


【2日目】8月8日
 2日目はいくつかの発表を聴きましたが、メインはコースウェア・ショーケースとして発表した「Can-do調査結果を基に開発したアニメ教材"Culture Swap"の共有に向けて」でした。実際に作成したアニメ教材を提示しながら訪れてくれた方々と話をしました。この教材作成のねらいは、「ミニマムな所だけ面白いものを作り込み、残りの部分については各自教員が作成していく」という所なのですが、やはり反応としては「関連した教材はないのか?」というものが複数ありました。詳細はこちらのページから。
 2日目は最後に基調講演として岸本好弘(東京工科大学)先生による「ゲーミフィケーションを活用した大学教育の可能性」を聞きました。この方は知る人ぞ知るファミスタの開発者です!内容については割愛しますが、ゲームのように中毒性を持って英語学習ができたら良いのにと思いました。ちなみにこの講演の最中にあの地震警報(誤報)が会場内に響き渡りました。Twitterを見ると、「奈良で震度7」ということばが溢れ、あの大震災のことが頭をよぎり絶望的な気分になりましたが、誤報ということで良かったです。
 なお同じ発表時間帯ということで聞けませんでしたが、神谷 健一先生(大阪工業大学)による「FileMaker Go 12を用いた編集・配布が容易なiOS用文字・単語・例文学習用無料アプリ」もおすすめですね。

【3日目】8月9日
 いくつかの発表を聴きました。備忘録がてらリンクを残しておきます。
「草薙邦広のページ」:注目の研究者の一人です。発表資料ほか盛りだくさん。
REX:多読用のシステム
short stories at east of the web :無料で入手できる小説がたくさん
英文チェッカーGinger:その名の通り

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最近はSlideShareやブログなどを利用して、発表資料を公開してくれる研究者が増えてきました。ということはこのようなブログを書く意義も薄れつつあるのかなとも思うのですが、あくまでも備忘録なのでお許しください。