2014年10月2日木曜日

学会参加記録2014〜夏の想い出〜

 これまで毎年のように参加した学会に関する記録をまとめてきたのですが、なぜか今年度は あまり気乗りがせずここまで引き延ばしてきました。とは言いながらもまとめないと何だか落ち着かないので、今年度ここまで参加した学会および研究会について簡潔にまとめておきます。

5月17日 
(岡山・ノートルダム清心女子大学)

 かの有名な鳥飼久美子先生 (立教大学)による基調講演「国際共通語としての英語と学校英語教育の目標について」がありました。

6月21−22日
(山梨大学)

 昨年から参加している学会です。地区大会ではありますが、発表数も多く、研究法セミナーなど魅力的な企画も多いので、まずはこの大会から参加すると面白いと思います。


 亘理陽一先生(静岡大学)による司会のもと、筑波大学大学院生の石井卓巳さんの研究テーマについて錚々たるメンバーがコメントをするという企画。ちなみに石井さんの発表題目は「日本人EFL学習者のライティングにおけるメタ談話標識の使用傾向-中間言語の多重対照分析に基づく研究構想-」というものでした。コメントをしてもらえる石井さんにとっては幸せな企画ですね。それだけではなく、大学院生や学部生らしき若い聴衆が一生懸命聞いてメモを取っている姿がとても印象的でした。僕も数年前からメタディスコースマーカーに興味を持っているのですが、放置してしまっていました...。


 ベテランの風格漂うおなじみ草薙邦広さん(名古屋大学大学院,日本学術振興会特別研究員)によるセミナー。いつもながら、すごく易しい内容から入って安心させておいてからのいきなりのギアチェンジおよび加速感がすごいです。


 浦野研先生(北海学園大学)を中心に行われているプロジェクト。このプロジェクトの功績はとても大きいと思うのです。この成果が近いうちに書籍として出版されるのを楽しみにしています。

7月12日
(大阪・関西大学)

 この研究会の雰囲気は以前もブログに書いたので省略します。世界的な研究者がこっそり発表したりこっそり聴衆として紛れ込んでいたりするので恐いです。ボル研!

8月4−6日
(福岡大学)

 毎年ワークショップを楽しみにしています。今年は印南洋先生(芝浦工業大学)による「因子分析の基礎について」と阪上辰也先生(広島大学)による「Rによる外国語教育データの分析と可視化の基本」を受講しました。ここまでわかりやすく教えてもらうのはワークショップならでは。1コマ90分というのは短いので、3コマ連続で同じテーマについて受講するというスタイルがあっても面白いのではないかと思ったりします。
 そう言えば、竹井光子・大澤真也で「アニメ動画教材Culture SwapとMoodleを利用した実践と効果の検証」という発表も行いました。詳細は聞かないでください...。

8月10−15日
(Brisbane, Australia)

 お盆休みというタイミングもあったのでしょうが、日本人の参加者がとても多いのが印象的でした。世界的な研究者の発表をたくさん聞けるので涎がでます。プロンスキーはイケメンです。
 そう言えば、Ozawa, S., Yamura-Takei, M., Curtis, T., & Urano, Kで、"Culture Swap": A Survey-Inspired Modular Digital Course for CMS.というタイトルのポスター発表も行いました。詳細は聞かないでください...。


8月28−30日
The JACET 53rd International Convention
広島市立大学)

 大学の取り組み紹介という形で「「世界を学ぶ。地域で生きる。」:グローバル&グローカルプログラム」というポスター発表を行った気がします。

9月15日
(長野・信州大学)

 前田啓朗先生(広島大学 外国語教育研究センター)によるメソ研ならではの発表で泣き、今尾先生のCasualTranscriberで泣き、松本城で泣き...。



 そして最後に、夏休みが 明けてすぐの週末には開催校として、Mahara Open Forum 2014を行いました。小規模の研究会とは言え、 研究会などを開催するのは辛い...。ちなみに今回はKristina Hoeppner氏による講演を遠隔で行いました。その模様はサイト上で公開されています。Maharaに興味を持つメンバーがすべて自力で行う研究会はなかなか運営が大変だとは思いますが、このような雰囲気を保ち続けて欲しいと願うばかりです。ちなみに遠隔講演にはtalkyというシステムを使いました。ブラウザ(Chrome, Firefox, Operaのみ対応)さえあればアカウントを作成する必要もなく、画面共有をしながら中継ができます。音質もかなりクリアだったので、使えるのではないでしょうか。

 といった感じで夏が終わり秋になりました。今年は意図的に主体的に行う学会発表の数を減らしました。学内業務が忙しくなったという理由もありますが、研究面において少しインプットを蓄積したいという想いが強かったからです。ということで2015年度は頑張ってアウトプットの年にしたい所です。








2014年9月20日土曜日

研究会における源泉徴収のしかた

 エントリー的にこちらに書くかどうか迷ったのですが、同じような状況で困っている人がいるかもしれないので書きます。なお記述してある情報はあくまでも私個人がまとめたものですので、実際に行われる場合は自己責任でお願いします(誤り等があれば是非ご指摘ください)。

 大きな学会であれば困ることもないのですが、小さな団体や組織で研究会を行い、謝金等を支払おうととする時に困るのが源泉徴収です。今回私の勤務校で小さな研究会をやることになったのですが、国税庁が発行している「源泉徴収のしかた 平成26年度版」を読んでもいまいちよくわからない。そこでいろいろな人に相談してわかった結果を以下にまとめておきます(あくまでもできるだけ手続きを簡単にするための手順ですので、大きな学会などを開催する際にはあまり参考にならないと思います)。

*記載してある情報は2014年9月20日現在の情報です。

 まず第一に「個人が主催する講演会等の場合には源泉徴収は必要ない」のですが、大小に関わらず運営委員会のようなものがあれば、「人格のない社団・財団」という何だかかっこいい扱いになり、源泉徴収を行う必要が出てきます。その際は代表者が「給与支払事務所等の開設届」(記載例はこちら)を納税地所轄税務署に提出する必要があります(郵送でも可)。研究会開催後でも届出は可能ですが、開催翌月の10日までには税金を納付する必要がありますので、早めの届出が望ましいでしょう。なお、研究会が終わった後もわざわざ廃止にする必要はありません(研究会がある度に事務所として頼られ事務手続きが増えるという負の側面もありそうですが...)。今回は給与等の支払いは行わない(ここがポイント。給与の支払いを行うと少しややこしくなる)ので、念のため届出書の「届出の内容及び理由」欄の「その他」に「給与の支払いは行わない」など記入しておきます。そして税金を支払うための納付書(源泉徴収の納付の際に必要。記載例はこちらを郵送してもらうように依頼しましょう。登録が完了すると整理番号が割り振られます。

 さていよいよ講師に報酬を支払います。その際、講師が必要とする旅費や宿泊費などがあり、その料金を運営側が直接交通機関やホテルに支払えば源泉徴収の対象にはなりません。講演会等の報酬については10.21%の税金(1円未満は切り捨て)がかかります。そのため、報酬が30,000円であれば、

30,000×0.1021=3,063(講師が受け取る金額は26,937円)

で、3,063円の源泉徴収となります。きっちりとした金額を渡したいのであれば、

報酬金額÷0.8979

で計算した金額を報酬とすれば、源泉徴収をした後の金額がすっきりします。たとえば30,000円を渡したい場合には報酬の額を33,411円とし、3,411円を源泉徴収分とし、30,000円を講師にお渡しします。

 なお報酬を受け取る側の確定申告等のことを考えると支払調書(ここから雛形を無料でダウンロードできます)を作成して、講師に渡した方が親切かもしれません(作成方法については「平成25年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参照、記載例はこちら)。ちなみに報酬が源泉徴収込みで50,000円を超えてしまうと、税務署にも支払調書を提出しなければならなくなるので、手続きがややこしくなります。また万が一の場合も考えて運営側、報酬を受け取る側双方の記録として領収書も作成しておくと良いと思います。

 あとは忘れずに研究会開催の翌月10日までに納付書を利用して税金を納付すれば終了です。なお、アルバイト学生を雇ってアルバイト代を支払いたい場合には給与となるので、注意が必要です。「平成26年度分源泉徴収税額表「日額表」「丙」欄を確認してください。9,300円未満であれば源泉徴収の必要はありませんが、その他の関連する手続きが面倒くさくなるので、小さな研究会では雇わない方が楽かもしれません。

 以下、まとめです。

  1. できれば個人で研究会を主催する
  2. 講師を丸め込んで、謝金なし、旅費・宿泊費の支給で許してもらう(その際、運営側が交通機関および宿泊先に直接支払うこと)
  3. それがダメで複数人で主催する場合は代表者が「給与支払事務所等の開設届」を所轄の税務署に提出する(その際、納付書をもらうのを忘れずに)
  4. アルバイトを雇わなくて済むのであればその方が手続きは楽
  5. 源泉徴収額を計算し、講師に謝金を手渡す
  6. 研究会開催翌月10日までに源泉徴収分を振り込む

2014年9月19日金曜日

2014年度前期授業アンケート

 前期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので、まとめておきます。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。ちなみに質問項目は2分類に分かれており、以下の通り。

【授業の体系性】
1.授業内容は授業計画と一致していましたか。
2.授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                               
3.授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。            

【教授方法・講義内容】
1.教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。  
2.教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。  
3.学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。
4.学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。               
5.授業の内容は理解できましたか。                                       
6.授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。
7.教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
8.教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。
9.黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
10.課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「英語研究III」履修者数66名(回答者数61名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.7)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.6,受講者数平均4.5)

 テーマは「英語コミュニケーション論」で、コミュニケーションに関連する分野を広く浅く学ぶ授業です。講義はスライドを使って行い、講義資料(スライドや動画)や授業外での議論はMoodleを使って行います。【授業の体系性】【教授方法・講義内容】とも高評価をしていただきましたが、「授業の内容は理解できましたか。」は4.6(科目別平均4.5、受講者数別平均4.3)、「授業を通して新しい知識や内容は理解できましたか。」は4.7(科目別平均4.6、受講者数別平均4.4)は改善の余地ありだと思います(この傾向は2013年度と同様)。

【自由記述欄】
・とてもおもしろい授業でした。ぜひまた大澤先生の授業をとりたいです。
・映画を見る時間は講義だけではわかりにくいところも、わかりやすくしてくれるのでいい時間だった。
・雑誌の表紙やマックのCMなど、学生が興味をもてる内容だった。ノートに書くのが遅くても、Moodleで読めて良かった。
・activity やdiscussionがあるところです。発表する場があるのも良いところだと思います。
・受講マナーに対する注意の仕方が優しいのですが、厳しさがあって、守ろうという意識が高まりました。
・先生の爽やかな笑顔!(5・7・5)「先生の毒舌スマイル眠気覚ます(字余り)」
・パワーポイントのデザインによって、見にくいものがあった。(文字が小さい、色が見にくい)。

・プロジェクターは分かりやすいですが、ノートに写すべきところをもっと明確に指示して、写す時間を多くしてほしいです。
・文学を専攻していますが、しっかり話を聞くと言語の話もとてもおもしろかったです。

【総括】
 今年度から教室を変更したのですが、その影響からか文字が見えにくいという声が複数ありました。またスライドを眺めるだけでは授業のポイントがわかりにくいという点については、改善の余地があると思うので、2015年度の課題としたいと思います。

「初等英語教育論」履修者数30名(回答者数29名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.7(科目別平均4.6,受講者数平均4.7)

 2013年度より新たに担当し始めた授業で、小学校教員を目指す学生を対象としています。2013年度は、言語習得理論の概要を説明し、それを実際の指導案に落とし込み模擬授業をしてもらうという授業方式を採用しました。けれども「難しかった」という声が多かったので、2014度は英語の指導や学習にかかわることを説明し、最後に1分間スピーチ(英語)を行ってもらうという方式に変更しました。その結果、評価自体はあまり昨年度と変わりませんが、概ね良い評価をしてもらったように思います。

【自由記述欄】 
・先生の地味なギャグがおもしろかったです。笑
・英語の1分間スピーチが普段したことがなく、良い経験になった。
・英語から離れていた生活だったので、授業で受けて英語が生活に戻ってきた気がしました。スピーチたのしかったです。
・フォニックスの授業がとても印象的でした。
・映像教材をたくさん使った授業だったので視覚だけではなく、聴覚でも学ぶことができた。
・先生がおもしろい。映画から音楽まで英語の授業に取り入れ親しみやすい。スピーチ発表まで充分な準備間がある。
・実際の教育現場でどするのかもっと触れてもよかった。
・テストが多い

【総括】
 昨年度授業を担当してわかったのは、小学校教員を目指す学生の多くが英語を苦手だと感じているということでした。そのため、今年度は楽しく英語を学び、英語を使えるようになるという実感を持ってもらうための授業に変更しました。学生自身が学習者としての体験をすることで、教えるためのヒントを見付けてもらいたいという想いがあるのですが、そうすると当然のことながら「実践の教育現場ではどうするのか?」という声も出ます。この点は自分の中でもまだうまくいっていないという反省があるので、来年度の課題とします。

【余分な総括】
 授業を楽しく受けてもらいたいという想いは常に持ってやっていますが、近年「地味なギャグ」や「毒舌」というコメントが増えてきました(笑)。自分としては大爆笑を狙って話しているつもりではあるのですが...。毎年対応する学生は違いますし、自分の年齢も含め環境も変わっていきます。教えるって大変ですね。


2014年4月3日木曜日

2014年度のはじまり




 いよいよ新年度が始まりました。2013年度は学内業務に加えて、学会出張にも積極的に行ったので、なかなか忙しい1年でした。自分の中ではまだ2014年年明け早々の気分なのですが…。早過ぎる!

 春期休暇中の2月、3月は例年通りの忙しさで、2月前半は入試業務、そして後半からは出張三昧で、沖縄、名古屋、東京、名古屋、京都、北海道と日本全国を飛び回りました。またシンポジウムの企画・実施、課外講座×3の企画・実施、入学準備学習の企画・実施、と学内でもいろいろな業務にかかわりました。

 そして4月。いよいよ新年度の始まりです。まだあどけない顔立ちと服装の新入生(数ヶ月で化けますが)がキャンパスで所在無さげに立ち尽くしているのを見るのは何だか微笑ましいものです(そんな学生たちが居場所を求めてアルバイト三昧に走らないことを心より願います)。大学生活は自由な時間がたくさんあるからこそ良いのだと思います。その時間を利用していろいろ考えて、その自由な時間を上手に埋めていきましょう。

話は変わりますが...

 春期期間中、イギリス在外研究時代にお世話になった方のお母さんが来日されたので、お会いしてきました。彼女は86歳になるのですが、現在クイーン・エリザベス号に乗って世界一周クルーズをしているのです!彼女の足は覚束ないものの、心は相変わらずはつらつとしており、興味津々でいろいろと私に質問を投げかけてきました。そして最後に一言。「クルーズではいろんな人に出会っていろんな人の話を聞けるのよ。面白いから来年のクルーズにも申し込んだわ。」来年は87歳…。是非とも再会してまた彼女から元気をもらいたいと思う出会いでした。

2014年3月30日日曜日

スマホの活用

 なぜ僕は授業でスマホに触ることを禁止するか。それはとてもシンプルで(1)90分間位スマホに触らない時間があっても良いじゃない、(2)暇になったら周りの人と仲良くなれば良いじゃない、という思いがあるから(禁止しても隠れて触る学生もいるけどね)。スマホを触っていると授業中に寝ないけど、僕としては真面目に聞いていて行き倒れて(笑)眠りにつく学生の方が好み。

 以上のような理由から現時点では講義やスキル科目などすべてにおいてスマホを禁止しているけど、こういった新しい技術を活用した授業は大きな可能性を秘めていると思うので、いつかはスマホ触り放題で面白い授業ができないかなあと思案中です。

 英語は相手が人であれ本であれ、コミュニケーションのための道具だと思う。なのに、新しい本や人とコミュニケーションをすることを恐れて、スマホで仲の良い人たちだけとコミュニケーションを取っているつもりになるのは何だかとてももったいない気がするのです。

 ちなみに僕も仕事上、オンラインの時間が多いけど、主なSNSの使い方は次のような感じ。年齢の割にはかなり使っている方だと思う。だから、スマホやSNSが嫌いという訳ではありません。

・twitter=「主に仕事のお供」

 心のつぶやきもあるけど、基本的にはtwitterのつぶやきは誰に見られても困らない(はず)。twitterのお陰で、普通であれば絶対に知り合えないような一流の同業者たちとやり取りができるのはとても嬉しい。勤務先の学生や卒業生がフォローしてくれたりメッセージをくれるのは歓迎だけど、フォローは原則として返さない(学生のプライベートを覗き見る趣味はないので)。見知らぬ人が絡んでくれるのも大歓迎。ただフォロー、フォロワーともあまり管理できていません。

・facebook=「友人や卒業生たちの近況確認」

「海外で大人気!」というキャッチフレーズに釣られて始めてみたが、実際にはそうでもなかった(笑)。実生活での友だちだけではなく学生や卒業生も「友だち」なので、あまりプライベートなことは書かない。少しでも知っている人から友だちのリクエストが来るのは歓迎(リクエストと同時にメッセージも送ってくれると認識しやすい)。でもわざわざ自分から誰かを探し出してリクエストというのはあんまりしない(学生にはこちらからリクエストは出さない)。知人や卒業生の近況を知ることができるのはいいね!

・LINE=「ゼミ生とメッセージをやり取りする手段」

友人とのやり取りをクローズドな環境でやって何が面白いの?と思っていたが、実際に始めてみるととても便利!いちいちメールで連絡しなくても、LINEを使って全員でメッセージのやり取りができる方法を覚えると、メールの一斉送信が煩わしくなる。でもスマホを持っていない学生がいるとLINEではない方法も考えないといけないね。プライベートではあまり使いこなしていない。スタンプも買ったことがない…。ごめんなさい…。

ちなみに意図的に通知機能をすべて切っているので、見たい時だけ見るという使い方です。返事が遅くてごめんなさい。

2014年3月28日金曜日

卒業式



 2014年3月20日に卒業式が行われ、ゼミ生を見送りました。このゼミはうちのゼミにしてはめずらしくおとなしめ(表面上は!)の人が多かった気がします。けれども内面においては強い意志をきちんと持っており、課題や卒業研究など計画通りにこなす姿がとても印象的でした。
 強い個性を持った人たちで構成されていたため、正直な所いろいろ苦労もしたのですが、今となってはとても良い思い出です。大学教員になって10年以上が経過しましたが、卒業式のみなさんの嬉しそうな笑顔そして卒業後の成長した姿を見るのが大好きです。僕は見守ることしかできませんが(そしてそれこそが教員の役目だと思っていますが)、みなさんのこれからの活躍をお祈りしています。お元気で、そしてまたどこかで会いましょう!



 今日ゼミ生のみなさんから素敵なメッセージをいただいたので、お礼の気持ちを込めて日記を書いてみました。寂しくなりますね。

2014年3月10日月曜日

2013年度後期授業アンケート

 後期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので、まとめておきます。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。ちなみに質問項目は2分類に分かれており、以下の通り。

【授業の体系性】
1.授業内容は授業計画と一致していましたか。
2.授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                               
3.授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。            

【教授方法・講義内容】
1.教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。    
2.教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。    
3.学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。
4.学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。               
5.授業の内容は理解できましたか。                                       
6.授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。
7.教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
8.教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。
9.黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
10.課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「英語の諸相II」履修者数49名(回答者数40名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.7,受講者数平均4.7)

 この授業は意味論・語用論について講義形式で授業を進めます。テキストは洋書のYuleのPragmaticsを利用しています。理解補助プリントを毎週配布し実際の例も示しながら解説し、最後に映画を観て語用論的な視点から分析することを目指します。

【自由記述欄】
・学生が参加型の授業形態はよかった。
・難しいところもわかりやすく教えてくれるので、自分も、取り組みやすかった。
・たのしく学べたのでよかったです。ふだんの会話で何気なく使ったりしてることにも専門用語があっておもしろい。(←それを勉強できて)とってよかったです
・授業はおもしろかったけど、内容は難しいので、復習が大切だと思った。

【総括】
 この授業は、英語の文献をきちんと読み込んでもらいたいというねらいを持って行っています。ですが、テキストは難解であり、理解補助プリントもあるためか、最初の数週間で予習を止めてしまう学生が多数います。評価としては悪くはありませんでしたが、今後の課題として検討したいと思います。

「Reading & Writing II」履修者数34名(回答者数31名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.7,受講者数平均4.7)

 この授業はリーディングのインプットをもとに、パラグラフレベルの英作文を行ってもらうことをねらいとしています。できるだけ多くのライティング活動を取り入れたいので、テキストは敢えて簡単なものにしています。授業はCALL教室で行い、ほぼすべての活動はLMSであるMoodle上で行っています。

【自由記述欄】 
・生徒が質問したことについてこまかく分かるまで説明してくれていたこと(が良かった)。
・コーパス等の新しいサイトを知れたこと(が良かった)。
・話しかけやすくてノリもボケも対応して下さる先生に感謝です。楽しい授業ありがとうございました。
・パソコンで小テストをしていたところ。すぐに答えがわかるので、復習しやすかった。
・英語を勉強するのに役立つサイトの紹介。どのサイトも興味深かった。パワポが分かりやすかった。基礎的なことを確認出来た。
・具体的にエッセイでよくつかわれるフレーズや書き方などが勉強できたところ。
・moodleを使って楽しく授業ができたところ。他の学生や先生と交流ができたところもよかった。センターモニターでの解説がとても分かりやすく、おもしろかったです。

【総括】 
 テキストが簡単なためか、「授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか」に対する評価があまりよくありませんでした(4.7(科目別平均4.6, 受講者数別平均4.6))。CALL教室というのは授業運営がなかなか難しいので、来年度は(1)参加度をより高める、(2)ライティング力の向上を目指す(実感してもらう)ことを目標としたいと思います。

2014年2月24日月曜日

Moodle Moot Japan 2014

 2014年2月19−21日の日程で沖縄国際大学において、Moodle Moot Japan 2014が開催されました。業務の都合で参加したのは2、3日目のみ。以下2件の発表を行いました。

「Moodleを活用して英語の授業を構築してみよう!」(共同発表)

 『Moodle事始めマニュアル』で実践報告を執筆してくれた方達に依頼して、英語授業における実践を紹介しました。Moodleだからできるという実践ではないのですが、LMSを使うコツを紹介できたのではないかと思います。興味を持ってくれた聴衆も多かったようで、発表途中に写真を撮っている方が数多くいらっしゃったのが印象的でした。

「eポートフォリオモジュール「柿右衛門」の開発」(共同発表)

 広島修道大学では2010年度よりMaharaを試験的に導入していますが、なかなかユーザ数が増えません。そこで発想を変えて、現在全学導入しているMoodle上に同様の機能を実現したら良いのではないかと思いつきました。発表ではその開発経緯および機能について紹介しました。

追記:本学のプロジェクトで開発したMoodleの小テスト作成ツール「e問つく朗」が2013年度ベスト・ムードル・イノベーション賞の佳作賞を受賞しました!

----------
 毎年のように思うのですが、Moodle MootはMoodleに興味を持っている人たちは是非参加するべきだと思います(会費が1万円と高くなってしまいましたが)。ただ今後の方向性として教育実践や研究も含めた方向に進むそうなので、そうなるとMoodleに限定してしまっている点が足枷になるのではないかと感じています。「Moodle無料!→Moodleすごい!」位で留まれば良いのですが、「Moodle無料!→Moodleすごい!→Moodleでいろいろやる!→無理があるけどMoodleでいろいろやっちゃうよ!」までいってしまうと教員も学生も不幸なので。

 全く関係ないのですが、暖かいと聞いていた沖縄は小雨まじりで風の強い毎日だったのでとても肌寒く感じました。写真はあまり撮っていないのですが、ここから。

LMS Symposium@Hiroshima Shudo University

 2014年2月15日、広島修道大学においてLMS*シンポジウムを開催しました。テーマは「eラーニングは教育を変えるか?-LMSとその効果の測定」で大げさなものではありましたが、本当に言いたかったのは「Moodleをはじめとしたeラーニングシステムは万能ではない。きちんと実践しその効果(前田先生のことばを借りれば成果)を測定した上で、長所や短所を冷静に考える必要がある」というものでした。当日は県内外から約50名もの方にお越し頂きました。ありがとうございました。

 当日は運営にかかわっていたものでドタバタで、記憶が曖昧です。twitterを利用している方は#lmsshudoをご覧いただくとして、以下簡単に備忘録ではありますがお許しください。

(*ちなみにLMSとして主に本学でも採用しているMoodleを取り上げましたが、それ以外のLMSを活用した取り組みの報告もありました)

特別講演
前田 啓朗(広島大学)
「学習の成果を測定するということ」

 60分間という短い時間の中で、評価やテストについて概観していただきました。有益な情報が多かったのですが、その中でも特に適正処遇交互作用(ATI)の説明の時に言われた「すべての人にとって最も効果的な教え方は果たしてあり得るのだろうか」という問いかけは誰もが心に留めておくべきことだと感じました。

基調講演
山川 修(福井県立大学)
「学習を可視化するツールとしてのeラーニング」

 Preziを使った講演でした。LMSやeポートフォリオ、SNSを包括する概念としてのCLE (Collaboration and Learning Environment)について説明され、ビッグデータ、そしてLearning Analyticsへの期待を示されました。実際にご自身が行われた実践の紹介もしていただきました。

実践報告
浦野  研(北海学園大学)
「目的に応じたLMSプラットフォームの選択と利用: 何ができるかではなく何をすべきかを考える」

 浦野先生はよく第2言語習得研究の観点から「インプットを増やす(そしてアウトプットも増やしたい)」と主張されていますが、この点を意識して行っている実践を報告して頂きました。報告の中ではLMSに踊らされるのではなく、適切な場面でLMSを使うことの重要性を主張されました。また先生が実際に使われているGlexaの紹介もありました。

実践報告
住 政二郎(流通科学大学)
「Moodleを活用した英語学習支援:プレイスメント・テストから到達度テストまで」

 有料のいわゆる標準的なテストを使うのではなく、入学試験の過去問題などの資源を活用することで、テストを効率的に行った事例の報告でした。Moodle上でプレイスメント・テストの実施およびクラス分けまで自動化できるプラグインを開発してもらったそうです。言語テスト理論に裏付けされた緻密な取り組みが印象的でした(そして住先生がこの取り組みに費やしたであろう多くの時間も)。

大西 昭夫(VeRSION2)
「LMSの内側を見てみる」

 様々な学会で研究報告もされている大西さんですが、今回は開発者としての視点からLMSの課題について説明して頂きました。これからMoodleをインストールしてみようと考えている人にとって、とても有益な情報だったと思います。

広島修道大学重点領域研究メンバー
大澤 真也、中西 大輔、竹井 光子、矢田部 順二、岡田 あずさ、脇谷 直子、記谷 康之
「広島修道大学におけるMoodle活用の試み」

 そして最後に、本学研究メンバーで行ってきた取り組みの紹介そして今年度はじめて行った「成績とアクセスログ」を分析した結果について報告しました。当然のことではありますが、LMS上で何をやるかによってアクセスログは変化します。だからこそ実践に重きを置きたい場合には、このようなデータの分析に一喜一憂するのではなくて、将来的な実践に活かせるような方向に持っていきたいものです。

 ということで準備期間も含め長くも楽しい1日が終わりました。LMSはまず導入するのが1つ目の壁です。そして使いこなすようになるまでが2つ目の壁です。この壁を乗り越えればかなり楽になるのですが、落とし穴として「LMS万歳!」 になってしまう場合があります。LMSにはできることとできないことがあります。Chalk & Talkということばもあるように、通常の教室で対面授業をやったって何も悪くない訳です。だからこそ、実践を積み重ねていきつつ、LMSの効果(成果)についてきちんと考えていく必要があるのでしょうね。個人的な感想としては忙しくはありましたが、楽し過ぎる1日でした。1日が終わって家に帰る夜道、「ああ、楽し過ぎる」と1人でつぶやいてしまう程に…。