2020年10月15日木曜日

2020年度後期授業実施方針について

 「2020年度後期授業実施方針について」というタイトルにしておきながら、9月14日に後期が開始してからすでに5週間が経過しようとしています。2020年度前期は入学式の中止、前期開始の延期、新入生ガイダンス実施後に前期開始の再延期および全面非対面授業への移行、と息をつく暇もない毎日でした。学生(特に新入生)のみなさんには多大な迷惑をおかけして心苦しいところもありましたが、4月時点での決断としては間違いではなかったと信じています。教員も今まで完全オンラインの授業なんてしたことがなかったので、毎日授業準備に追われました。本学は「教職員の出張および懇親会の自粛」という制限もあり、週末やお盆休みもほぼないまま前期を駆け抜けました(そのストレスがたたったのか、7月末には口の中に大きな潰瘍ができてしばらく治癒せず焦りました(その後快癒))。その間学内で半年間かけて慎重に議論をした結果、後期は制限付きではあるものの対面授業を再開することになりました。

対面授業を実施するにあたっての対策は「私が2020年度前期に担当する授業における方針」と同様のもので「いわゆる3密を避ける工夫(教室のサイズ・換気)」「マスク着用の義務付け」です。また通常の清掃に加え、「1週間抗菌作用が持続する液剤の塗布」「主要教室近くにアルコールスプレーの設置」も行われています。私が所属する学科は必修科目が多いため、学科として(1)1年生に毎日キャンパスに来る機会を提供する、(2)2〜4年生には少なくとも週1日はキャンパスに来る機会を提供する(残念ながらそうでない学生もいる)、(3)大学に来たくない学生には前期同様、全面非対面で授業を受講する権利を与える、という3つの方針のもとで授業実施形態を決定しました。

これらの学科としての方針にもとづいて各授業の実施形態については各教員の判断に委ねられたのですが(もちろん教室定員を制限するため希望通り全部が対面で実施できるわけではない)、私が後期担当する授業は10コマのうち対面6+非対面4という割合にしました。非対面のうち2つは大学院の授業でzoomで同時双方向で実施しています。非対面が故にやりにくいこともあるのですが、zoomを使う便利さ(参加者間の画面共有など)が勝ることもあり、前期同様zoomで実施することにしました。そしてもう1つの授業は対面で実施しようかどうか悩んだ末に非対面(オンデマンド)で実施することにしました。これは同僚である中西大輔氏に影響されたところが大きいのですが、「授業資料」と呼ばれる文字資料を学生はダウンロード(学生は学内入構可のため印刷版を取りに来ても良い)してその資料を読んだうえで、Moodleにコメントを投稿するという「目に優しい」形態で進行しています。文章だけでは辛い人もいることを想定し、授業時間内にはzoomを利用して30分程度同時双方向で解説もしています(参加は任意)。

対面授業については、ふたたび非対面授業に戻らざるを得なくなった時にも対応できるように

  • LMS(Moodle or Google Classroom)
  • LINEオープンチャットとtwitterアカウント
  • zoom
の3つをすべての授業において準備しています。また「教室内を常時換気」「学生との適切な距離の維持」「学生にプリントを配布する前に手指消毒」「学生が密集・密接する活動の抑制」「学生が教室内のものを触る活動をした後にアルコール消毒」を行い、体調不良の時には「積極的な欠席」をするように指示しています。以下、私が担当している対面授業の具体的な実施方法について書いてみます。

「英語学・英語教育学ゼミナールB」ハイフレックス型(対面・非対面両対応)

2年生を対象とした受講生24名のクラス。学習英文法について解説・演習を交互に行うスタイルで実施しています。履修者のうち数名は「非対面授業受講希望」のため、教室内にパソコン+高性能集音マイク+ビデオカメラ+三脚+iPadを持ち込んで設置し、教室内のスクリーンとスピーカーにzoomの画面を提示しながら進めています。ちなみにビデオカメラは黒板の方向に固定し、必要に応じて動かしています。これだけの機器を持ち込むので設置するだけで15分程度かかるのですが、対面・非対面の学生双方を指名して次々に解答させても、今のところほぼ違和感なく進行できています。前期には「ゼミナールA」という同様の授業があり、zoomで実施してもそこまで違和感がなかったのですが、教室で実施すると学生からの質問が数多く出るので、やはりできることならば教室で実施した方が効果的だと思います。

「卒業研究」zoom対応可

4年生を対象とした受講生14名のクラス。コンピュータ室を利用しますが換気があまり良くないので、受講生に窓を開けるように指示し、僕が教室に着いたらすぐに入り口のドアを開けるように留意しています(ただし山が近いのでカメムシと共存する必要あり...)。また授業終了後には受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。集中講義なので毎週実施する必要はないのですが、グループに分けて3週ごとに出席を必須としています(都合が悪い時は別のグループの時に参加可)。パソコンを持ち込んでいるので、希望があればzoomに対応することを受講生に伝えていますが、残念ながら今のところ希望はありません。

「初等教育(英語)」ハイブリッド型(zoom対応可)

教育学科の学生を対象とした受講生46名のクラス。初回は収容定員104名のクラスでやったのですが、古い講義室のタイプで学生間の距離が狭かったので2回目からは収容定員254名の教室をぜいたくに使って実施しています。活動重視の授業で、英語の発音練習をしたり歌を歌ったりしなければいけないので、実施形態に苦慮しています。教室内では大きな声で発音しなければいけない活動は最低限に抑えて、オンラインで動画を視聴し練習したものを録画してLMSに提出するハイブリッド型です。それにしてもマスクをしたままで発音指導をするのはかなり大変です。今度の授業でモデルとして英語の歌を歌わないといけないのですが、マスクをしたままでは指導が難しいので、教室にパソコンを設置しプロジェクターに投影、私は別教室にタブレットを持って移動し、マスクを外した上で歌う様子をzoomで中継するといった実施方法を考えています(うまくいったらまた報告します)。

「英語学・英語教育学ゼミナールC」(zoom対応可)

3年生を対象とした受講生17名のクラス。CALL教室を利用するので、授業終了後は受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。この教室は職員の方が利用前に換気を徹底して行ってくれているので助かります。授業は文献講読を主に行うので、iPadに書き込みする画面をセンターモニターに提示しながら進めています。学生の発表者は前の空いている席に移動してもらい、そこで発表します。この授業は前期も同じ受講生でzoomを利用して実施していたのですが、やる内容自体はzoomでも教室でもあまり変わりません。もちろん学生の顔を見ながら授業をする方が断然やりやすいですし、学生からの質問にも適宜対応できるので助かります。

「応用言語学研究指導II」(zoom対応可)

大学院の指導学生1名を対象としたクラス。本人の意向を確認した上で、研究室で実施することにしました。今となっては研究室に訪問してくる学生もほぼいないので、週に1度唯一研究室を訪れてくる学生です。当然ながら換気に注意し、窓およびドアを解放しマスク着用の上で実施しています。今は心地よい季節ですが、冬がちょっと心配...。

「English Online II」(zoom対応可)

1年生を対象とした受講生143名のクラス。クラスの名前の通り、以前から基本的にはオンラインで自習形式で実施する授業なのですが、ホームルーム的な意味合いを込めて収容定員434名の教室をぜいたくに確保しています。が、ほとんど誰も来ません(笑)。定期的にミニテストを実施するため、その週には教室に来る必要がありますが、「全面非対面授業を希望」する学生はzoomを利用してミニテストを受講することもできます。

後期開始前はすべての授業を「ハイフレックス型(対面・非対面両対応)」にしようと思っていたのですが、準備が大変な上に両方の授業形態で質を保つのが難しいので、1つの授業のみで両対応という結果になりました。両対応の授業も結局は黒板を写しているだけなので質を担保しているとは言い難いのですが、非対面で参加している学生が毎週書いてくれるコメントを見る限り、教室で受講する学生と同様にしっかり課題に取り組んでくれているように思えます。教員も学生もマスクをしたまま授業をするなんて不自然な光景を想像して「それだったらオンラインのままが良い」と考えた時もあったのですが、いろいろ大変なことがあるものの、やはり対面授業は良いですね。何とかこのまま15週乗り切りたいものです。