2021年3月18日木曜日

2019年度卒業生のみなさんに送ることば

 短かったようで長く、何もなかったようでたくさんのことがあった2020年度が終わりを迎えようとしています。例年ゼミ生のみなさんにはこのブログ上でことばを送っているのですが、2019年度生のみなさんにはまだ送ることができていませんでした。遅ればせながらここでお祝いの言葉を述べたいと思います。

2019年度ゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。みなさんが卒業を迎えようとしていた2020年の春は、ちょうど新型コロナウイルスの発生が大きなニュースになりはじめている時期でした。とは言え当時は誰しもみなクルーズ船の上の話だと感じていて、ここまで世界中に感染が拡大するとは予想だにしていませんでした。実際、みなさんは例年の卒業生と同じように後期の授業を終えることができましたし、卒業旅行で海外を旅行していた人たちもたくさんいました(キャンセルする人もいましたが)。4年生のみなさんとは、卒業を祝う飲み会はしませんでしたが、キャンパス近くのレストランでさいごに一緒に食事をしたことを今でも思い出します。

その後3月2日に当時の首相から全国の小中高の臨時休校要請が出ることになり、まだそこまでの実感はないものの、少しずつ世間の空気感が変わってきました。



今となっては記憶が薄れつつありますが、当時はみんなパニックになり様々なものが品薄になりました。上の写真は2020年3月9日に田舎のスーパーで撮影したものですが、広島市内では店頭からトイレットペーパーが姿を消していたため、山積みになったトイレットペーパーが珍しくて写真を撮ったのを覚えています。トイレットペーパーだけでなくマスクや消毒液も店頭から姿を消し、挙げ句の果てには強力粉なんかも店頭から消えてしまったときには、とても切ない気持ちになりました。3月2日の時点で卒業記念パーティーの中止は既に決まっていましたが、実施する方向で検討していた学位授与式も実施日の1週間前の3月12日に中止が決まりました。




ちょうどその頃、キャンパスの河津桜は満開を迎えていました。きれいに咲き誇る桜を見ると嬉しいはずなのに、何だか悲しくて涙が溢れてきたことを思い出します。4年間の大学生活を過ごしてきたみなさんを見送ることもできない、そしてことばをかけてあげることもできない。かと言って学位授与式が中止になったのに、卒業生のみなさんをキャンパスに呼ぶことはできません。そこで苦肉の策として「僕は学位授与式のコスプレをしてキャンパスにいるので、たまたまキャンパスに来た人は会いに来てください」というメッセージをゼミ生に送ったところ、何名かのゼミ生が会いに来てくれました。中には晴れ着を着ている学生もおり、そんな姿を見ることができるとは思ってもいなかったので、嬉しい驚きでした。キャンパスには来れなかったものの、卒業式当日に晴れ着で写真を撮影したものを送ってきてくれたゼミ生もいました。




上の写真の多くは学位授与式を行うはずだった2020年3月19日に撮影したものです。その中に僕がマスクをして写っているものがありますが、写真を撮るときに「こんな時代もあったんだと後になって思い出せるように、マスクをつけて写りますね」と言って撮りました。今から1年前は、ほぼ全員の人たちがマスクをつけた日常を送っているなんて想像もつかなかったんですよね。

そして1年が経過し、2020年度のゼミ生が卒業を迎えようとしています。2019年度卒業生のみなさんは元気に過ごしていますか?2020年度は「学外者の入構は禁止」あるいは「許可制」の期間が長かったため、卒業生のみなさんと会える機会も少なかったのですが、そんな中でも何名かの卒業生は遊びに来てくれたり連絡をしてきてくれたりしました。この1年間、コロナのせいでいろいろなことが劇的に変化してしまいました。みなさんにとって大変なこともたくさんあったことでしょう。でもゼミでのみなさんの姿を思い出す限り、辛抱強く物事をやり遂げる能力が高い人たちだと思うので、前向きに暮らしていてほしいなと願っています。いつの日になるかはわかりませんが、また大人になったみなさんと「飲み会」をしたいですね。そして大学生活を懐かしく思い出したときには、是非大学にも顔を出してみてください。

さいごに去年の春に我が娘が知らないうちに黒板に書いていたことばをみなさんに送りたいと思います。卒業おめでとうございました!またいつの日か元気でお会いしましょう!