2023年2月20日月曜日

iPadの画面を教室のプロジェクタに大きく映したい

 コロナの影響がで始める前から授業で利用するもの(電子化したテキスト・スライド・配布資料・映像・音声)の多くをiPadに入れて持ち運び、教室のプロジェクタやディスプレイに投影させるという授業スタイルだった。そしてコロナの影響でオンラインと対面授業を行き来するようになってからは、「次の日からいきなりオンライン授業になっても慌てない」をテーマに、すべての教材教具をiPadに入れて教室に持ち込むスタイルに移行した。こうすると、オンラインでも対面でも授業スタイルはほとんど変わらないので、授業をする側も受ける側もそれほど違和感なく授業を受けれると思ったのだ。

 一方で、いつの頃からか悩み始めたのはiPadをプロジェクタに投影させた時の画面サイズが小さいことだった(以前はちゃんと表示されていたのに...)。MacBookを持ち込んで投影させると問題ないのに、なぜかiPadの画面をスクリーンに投影させると左右に余白ができてしまい、サイズがちっちゃくなってしまう(写真1)。

写真1. 左右に余白ができてしまった画面



 サイズがちっちゃいということは学生からは見えにくいので、それであればMacBookを持ち込んでしまった方がいいんじゃないかと思うぐらい。だけどiOS 16とM1チップを搭載したiPadさえあれば一気にこの問題が解決することを今日発見した。ステージマネージャと外付けディスプレイについてはこのサイトも参照した。操作は簡単。iPadをプロジェクタに接続してステージマネージャ機能をオン(順番は関係ない)にするだけ。左右の余白がなくなり、スクリーンいっぱいにiPadの画面が投影される(写真2)。

写真2. ステージマネージャオン



 この状態では、プロジェクタのスクリーンが外部ディスプレイと同じ扱いになっているので、手元のiPadで開いたアプリは投影されないけれど、スクリーン側の画面でアプリを開くか、iPadで開いているアプリの画面をスクリーンに移動させれば、無事にスクリーンに表示される。Safariなどのアプリを開いてみるとその違いがよくわかる(写真3・4)。

写真3. スクリーンマネージャオフ



写真4. スクリーンマネージャオン



 ステージマネージャではなく今まで通りミラーリングしたい場合には、ステージマネージャをオフにするか、「設定」>「画面表示と明るさ」>「配置」>「画面をミラーリング」をオンにすれば良い。

 今までAppleシリコン搭載のiPadのメリットをあまり見出せていなかったけれど、今日で一気に愛着が湧いた。センターフレーム機能と組み合わせるとハイブリッド型授業も手軽にできるだろうから、2023年度の授業が始まったら試してみたい。

2023年2月15日水曜日

2022年3月に卒業したみなさんへ

 2022年3月に卒業したゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。英語英文学科のゼミ生は原則1クラス15名以下なのですが、この学年は留学から帰ってきた学生もいたため、なんと20名。写真を見返すとやはり多い!

ゼミがスタートする3年次に新型コロナウイルスの影響が始まりました。通常3年次の前期に飲み会をして親睦を深めるのですが、それもできないまま前期のオンライン授業(ゼミ)が終了。僕自身ゼミをオンラインでやるなんて想像したこともなかったので途方に暮れましたが、みなさんも慣れないことだらけで大変だったことと思います。でも会ったことがないにもかかわらず、なぜかゼミとしてきちんと成立していた気がするのは僕の気のせいでしょうか。3年次後期になり対面でのゼミが復活しましたが、ゼミで行うポスター発表や卒業研究の中間発表などなど、実施方法にかなり苦慮したことを思い出します。ゼミ生から「ゼミで飲みに行きたいです」と言ってもらったこともありましたが、感染者の増減で社会の雰囲気が一変する状況の中では、ゼミの指導教員として飲み会を企画することができませんでした。

4年次になってもその状況は変わらず、結局この学年はコロナの影響で2年間のゼミの間、ゼミとして行った課外活動は0でした。その代わり何かしてあげたいという思いもあったので、オンライン雑談、登山企画(企画だけで実施できず)、大教室を貸し切っての500円買い出し企画(僕の500円貯金が原資)、などなどできる範囲でやったきたつもりです。最後の口頭発表も結局オンラインになってしまいましたが、3時間を超えるオンライン発表会も、みなさんは見事に成し遂げました。

20名いたにもかかわらず卒業研究論文の指導は思ったよりも大変ではありませんでした。それは何よりもみなさんの卒業研究への真摯な取り組みによるものだと思います。写真を見てもわかるように、ゼミの雰囲気も非常に良かったように思います。コロナ前(マスク時代前)からみなさんの顔を知っていることもあり、マスクはしていてもみなさんの笑顔がマスクの下から透けて見えていたような気がします。みなさんの笑顔には本当に救われました。ありがとう。

授業外で話をすると面白いだろうなあと思うキャラの人もたくさんいましたが、課外での活動を行うことができなかったことがとても残念です。集まれる人だけでも良いのでいつか飲み会を企画しないといけないですね。





2年遅れではありますが卒業おめでとうございました!

 例年、ゼミ生のみなさんが卒業してから1年以内メッセージを送っていたのですが、今回は気付いてみたらなぜか2年も経過してしまっていました。ちょっと驚き。

遅ればせながら2021年3月に卒業したゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。ゼミは3年次から始まりますが、3年次のゼミは順調にスタートしました。真面目な人、おっとりしている人、ユーモアのある人、などなど大澤ゼミならではの個性ある学生が集まっていましたが、それぞれの個性がぶつかりあうことなく融合していて、教員としても何だか居心地の良いゼミ(空間)だったことを思い出します。ゼミ飲みは3年次に1回(?)しか開催できませんでしたが、4年生になって何回か一緒に飲みに行ければ楽しいだろうなあと感じていました。

そこから雰囲気が一変したのが2020年の春でした。新型コロナウイルスの影響が出始めて、2020年度前期授業のオンライン実施が決まりました。いきなりのオンライン授業、しかも就職活動も思い通りにいかない中で、本当に大変だったことと思います。旅行業界に就職を希望していたものの諦めたゼミ生もいました。すべてがわからずすべてが手探りでした。

4年次のゼミはオンラインで始まったものの居心地の良い空間のままでした(少なくとも僕にとっては)。オンラインということで学生の顔出しは強要していなかったため、ゼミ生の顔は見えず寂しい思いもしましたが、ゼミ生の元気そうな声、僕のしょうもないボケに対する優しいツッコミ、など小さなことに毎回救われていました。

後期になり対面での授業が再開できるようになり、4年次ゼミは当然のことながら対面実施にすることにしました。「オンラインでの参加も可」にしていたため、全員が集まらない回もたくさんありましたし、12月14日(月)からまたもやオンライン授業に逆戻りし、そのまま会えなくなってしまったので、いろいろと消化不良のまま終わってしまいましたが、何とか全員無事に卒業研究論文を提出できたことを嬉しくそして誇りに思っています。

卒業から2年が経ちましたが、みなさん元気に過ごしていますか?

みなさんが卒業した後の大学について書いておくと、2021年度は「100名以下の授業は原則対面」ということでスタートしましたが、キャンパスにいる学生はまだ少なく、感染者増加の時期には気苦労が絶えませんでした。マスクをしたままの生活、大学キャンパスでの集団ワクチン接種、授業は対面で行うもののそれ以外の課外行事はほぼすべてオンライン、などなど通常に戻ったとは言えない毎日が続きました。2022年度は「300名以下の授業は原則対面」になり、ほぼ通常通りのキャンパスの光景が戻りました。まだまだ制限は残っていますが、少しずつ日常を取り戻せている気がします。みなさんが卒業してから2年もかかりました...。

前年度には中止になった学位授与式も無事に実施されてみなさんに会えた日のことは今でも覚えています。ブログにはあげていませんが、ふさげたポーズで撮った写真も手元のたくさん残っています。今写真を見返すとマスクにも時代の変遷を感じますね(笑)。また会いましょう!




2021年9月29日水曜日

シンポジウム「外国語教育研究の再現可能性2021」に参加した感想

  2021年9月11日にオンラインで開催された「外国語教育研究の再現可能性2021」シンポジウムに参加した。2020年度は例年参加している学会や研究会の多くが中止になり、開催されたとしても手探り状態の中でのオンライン開催であった。新幹線や飛行機に乗って開催場所に移動してしっかりと勉強し、夜には疲れを癒すために美味しいものを食べ、英気を養って次の週からの通常業務に備える。そんな学会・研究会出張と通常業務のバランスを取るサイクルを20年以上続けてきた身としては、2020年度は何をして良いかわからずいつにも増して生産性の低い1年になってしまった。「2021年度こそは(どこかに行きたい)!」と期待したものの、結局昨年度と変わらずほぼすべての研究活動はオンラインのままである。このままではさすがに良くないので、2021年度は興味のあるものを探して学会や研究会に参加することにしてみた。そうすると新たな敵は目の前の家事および誘惑である。オンライン学会だと移動の手間が省ける。インターネットに接続さえすれば1分前まで寝ていたとしてもすぐに参加できてしまう。場の切り替わりに時間がかからない分楽と言えば楽なのだけれど、どうにも集中できない。たまに集中して1時間話を聞くことができたとしても今度は座り続けて腰が痛くなる。ストレッチがてら立ち上がると視界に入る洗濯物の山。目の前の洗濯物、オンライン学会...。そりゃ誰だって洗濯物を畳みたくなる。洗濯物を畳み終えて一息つく。あれ?来週着るワイシャツにしわがついているなあ。アイロン、アイロン!夕方が近くなる。ビール飲みたいな...。あれ?ビールないな。買いに行くか...。誰だってビールが飲みたい。ん?学会もう終わっちゃってる!?

 そんなこんなでなかなかオンライン学会や研究会に参加する動機づけがいつまで経っても低いままなのだけれど、今回のシンポジウムはその中でも久しぶりに真面目に参加したいと思ったシンポジウムであった(どうやら同僚は早い時間から飲みながら参加していたようだが笑)。参加したいと思った理由はほぼすべての発表者と親交がある(と言うとおこがましいが、酒席を共にさせていただいたことがある)ことに尽きる。酒席では楽しく話すだけだが、研究の世界で一流の方々の話を純粋に聞いてみたかったのだ。だってこのメンバーをみるとワクワクしますよね。今後このプロジェクトの向かう先が確実に見えてくる。正直なところ、シンポジウムの内容は僕の理解力をはるかに超えてしまうものが多かったのだけれど、わからないながらにも発表を聞いているだけで知的興奮を覚える体験はなかなか得難い。研究活動の制限もある中でここまでたどり着くのは大変だったと思うのだけど、こういう機会を与えていただいたことに感謝しているし、今後の展開に期待して見守っていきたい。というだけでなくきちんと学ばなければいけないと思っているので、『英語教育のエビデンス(通称エビ本)』もきちんと再現するように2冊入手しておきました。


 奥住先生の「研究者と教師に期待すること」というお話を聞いていて思い出したことがあったので大学院時代の思い出を語って感想を終わりにしたい。僕が進学した大学院は「大学院大学」と呼ばれる大学で、当時教員の再教育を主たる使命として担っていた。全国各地から「現職教員」の人たちが集まり、同じ学年の2/3は現職教員、1/3は学部からそのまま進学したストレートマスターという環境。自然と「現職教員vs.教員を志望するストレートマスター」という構図ができあがっていた。幅広い年代の人たちで楽しい時間を共有したのだけれど、何かある度に現職教員から「理論と実践は違う(今大学院でやっていることは「現場」では何の意味もない)」だとか「教員はきみたちが夢見ているような仕事とは違う」と言われ続け、研究者と教師の間に存在する大きな溝を痛感したものだった。そんな中で印象に残っている同級生(現職教員)は、研究に対する文句をぶつぶつと言いながら、研究の世界で用いられる用語をきちんと理解した上で見事に使いこなし、2年間しかない大学院生活のなかで何とARELEに論文を投稿し採択されてしまった(周りのストレートマスターは研究に専念できるにもかかわらず誰一人として学会誌に投稿さえできていなかったのに)。そしてポツリと一言「こんなの現場では何の役にも立たないけどね」と言い残して大学院を華麗に修了していった。
 あれから長い年月が経過したが現状はどのように変化したのだろうか?奥住先生のような方が両者の橋渡しを担ってくれることに期待したい一方で、これから先も両者の構図は変わらないのではないかという諦観もある。「再現可能性」の議論が重要なのはとてもよく理解できるのだけど、今回のシンポジウムは誰を対象にしたものだったのだろうか。主として研究(を主たる業務とする)者を対象にしたものであれば大成功だったと思う。一方であまり好きではない言い方にはなるが、いわゆる「現場」の先生たちをも対象にしたものだったとするならば、今回のシンポジウムの言葉は彼(女)らにどのように伝わっているのだろうか。

2021年9月3日金曜日

2021年度後期授業実施方針について

  先日大学公式のアナウンスがあったように、本学は2021年8月31日より危機レベルを2に引き上げました。これにともない、またもやみなさんの学生生活に様々な制限がかかることになります。私たち教職員に対しても「出張(県内出張も含む)の禁止」が決まりました。それに加えて「家族以外との会食の自粛」や「感染拡大地域への移動の自粛」などはこれまでと同様求められています。何かと不自由な生活が長引いていますが、その中で大学教員としてできること(楽しいことを含め)を模索しています。一方でワクチンの職域接種を実施したこともあり、後期は現時点(2021.9.3)では原則対面授業を実施する方針です(100名以上はオンデマンド)。しかしながら今年度前期と同様、急に非対面授業へと移行する可能性もあります。僕の授業実施方針は「2020年度後期授業実施方針」とほぼ同じです。可能な限りの感染防止策を取った上で、何かあったときにすぐに対応できるように以下の3つを活用します。


 大学としても2021年度後期から新たな取り組みが3つ始まります。
  • 貸し出しパソコン(50台先着順)
  • 学生オンラインサポートスタッフ
  • オンラインスタジオ(5室)

 2020年度は学修継続支援金の支給およびパソコンの貸し出しを行いました。ですが、これはあくまでも緊急の対策であったため、貸し出し用のパソコンは教室に備え付けられているパソコンを取り外して対応しなければいけませんでした(つまりその教室は使えない)。そこで2021年度はそのようなことをしなくても対応できるように台数は50台と減ってしまいましたが、貸し出し専用のパソコンを整備しました。そしてこの度新たに学生オンラインサポートスタッフ制度をスタートさせることになりました。これは教員には聞きにくいオンライン学習に関する質問を同じ立場の学生に聞くことができる制度です。基本的には月〜金の1〜5時限までの間、学生スタッフが情報センターの窓口に常駐しています(勤務シフトにより空きもあり)。メールでも相談を受け付ける予定です。原則対面授業とは言え、多くの課題はオンラインで出ていると思います。そんなとき何かあれば気軽に窓口に立ち寄ってみてください。そしてさいごはあまり学生のみなさんには関係ないのですが、現在空いている教員研究室を利用してオンラインスタジオを5部屋整備しました。利用対象は大学教職員なので、学生にとってはあまりメリットがないように感じられるかもしれませんが、もしかするとみなさんが受講するオンデマンド授業の音声そして映像が少しだけ向上しているかもしれませんので、ご期待ください。

 それではさいごに私が担当する授業について整理しておきます(ここに書いていない大学院の科目も2つありますが、これは受講者の人数次第で柔軟に対応予定)。

「英語学・英語教育学ゼミナールB」対面

昨年度はハイブリッドで実施したのですが、今年度は原則対面で実施しようと考えています(非対面で受講したい学生がいる場合は検討します)。ただし感染状況によっては対面での受講を躊躇する学生が増えてくるかもしれません。そのような時に備えてZoomを利用してハイブリッド(対面+非対面同時進行)で授業ができるように準備しています。

「卒業研究」ハイブリッド

後期は個別・グループ指導が主になります。そのため、この授業については教室、オンラインどちらでも受講できるようにしています。Zoomももちろん活用しますが、仮想空間Gather.townも使ってみようと思っています。どのような展開になるかちょっと楽しみ。

「英語の諸相II」対面

例年であれば当然のように毎回出席を原則としていたのですが、今年度については対面で実施するものの、「非対面で受講したい場合は文章教材(昨年度作成した教材の改訂版)でも可」にしようと考えています。

「教職実践演習」対面

複数担当の科目で模擬授業を行うため、原則対面です。

「English Online II」対面

ミニテストなど参加必須の回(約5回)を除いて、毎週の課題をきちんとこなしていれば出席は任意です。ですが、せっかく大きな教室を確保しているので、前期に実施したようなハイブリッド型のトークイベントを数回企画中です。すでにゲストの方数名からご快諾いただいています。楽しいイベントになりそうなので期待ください。


 今年度特に意識してることは「学生の積極的な欠席を認める」ということです。教員という立場からすれば、原則毎週教室に来させて特別な事情がない限り欠席は認めないという方針でいきたいところではあるのですが、こういうご時世だからこそ、少しはゆる〜く欠席(あるいは非対面での受講)を認めても良いのではないかと個人的には思っています。もちろん欠席すれば授業の内容を理解することが難しくなってしまうので、最終的には単位の取得が危うくなります。そこについては自己責任でお願いします。

 それにしても気付いてみたら夏が終わってしまっていましたね。花火大会もないし夏のお祭りもないしビアガーデンも行けていないし...。ということでもう1度夏休みをみんなでやりなおしませんかね?ダメですかね...。






2021年3月18日木曜日

2019年度卒業生のみなさんに送ることば

 短かったようで長く、何もなかったようでたくさんのことがあった2020年度が終わりを迎えようとしています。例年ゼミ生のみなさんにはこのブログ上でことばを送っているのですが、2019年度生のみなさんにはまだ送ることができていませんでした。遅ればせながらここでお祝いの言葉を述べたいと思います。

2019年度ゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。みなさんが卒業を迎えようとしていた2020年の春は、ちょうど新型コロナウイルスの発生が大きなニュースになりはじめている時期でした。とは言え当時は誰しもみなクルーズ船の上の話だと感じていて、ここまで世界中に感染が拡大するとは予想だにしていませんでした。実際、みなさんは例年の卒業生と同じように後期の授業を終えることができましたし、卒業旅行で海外を旅行していた人たちもたくさんいました(キャンセルする人もいましたが)。4年生のみなさんとは、卒業を祝う飲み会はしませんでしたが、キャンパス近くのレストランでさいごに一緒に食事をしたことを今でも思い出します。

その後3月2日に当時の首相から全国の小中高の臨時休校要請が出ることになり、まだそこまでの実感はないものの、少しずつ世間の空気感が変わってきました。



今となっては記憶が薄れつつありますが、当時はみんなパニックになり様々なものが品薄になりました。上の写真は2020年3月9日に田舎のスーパーで撮影したものですが、広島市内では店頭からトイレットペーパーが姿を消していたため、山積みになったトイレットペーパーが珍しくて写真を撮ったのを覚えています。トイレットペーパーだけでなくマスクや消毒液も店頭から姿を消し、挙げ句の果てには強力粉なんかも店頭から消えてしまったときには、とても切ない気持ちになりました。3月2日の時点で卒業記念パーティーの中止は既に決まっていましたが、実施する方向で検討していた学位授与式も実施日の1週間前の3月12日に中止が決まりました。




ちょうどその頃、キャンパスの河津桜は満開を迎えていました。きれいに咲き誇る桜を見ると嬉しいはずなのに、何だか悲しくて涙が溢れてきたことを思い出します。4年間の大学生活を過ごしてきたみなさんを見送ることもできない、そしてことばをかけてあげることもできない。かと言って学位授与式が中止になったのに、卒業生のみなさんをキャンパスに呼ぶことはできません。そこで苦肉の策として「僕は学位授与式のコスプレをしてキャンパスにいるので、たまたまキャンパスに来た人は会いに来てください」というメッセージをゼミ生に送ったところ、何名かのゼミ生が会いに来てくれました。中には晴れ着を着ている学生もおり、そんな姿を見ることができるとは思ってもいなかったので、嬉しい驚きでした。キャンパスには来れなかったものの、卒業式当日に晴れ着で写真を撮影したものを送ってきてくれたゼミ生もいました。




上の写真の多くは学位授与式を行うはずだった2020年3月19日に撮影したものです。その中に僕がマスクをして写っているものがありますが、写真を撮るときに「こんな時代もあったんだと後になって思い出せるように、マスクをつけて写りますね」と言って撮りました。今から1年前は、ほぼ全員の人たちがマスクをつけた日常を送っているなんて想像もつかなかったんですよね。

そして1年が経過し、2020年度のゼミ生が卒業を迎えようとしています。2019年度卒業生のみなさんは元気に過ごしていますか?2020年度は「学外者の入構は禁止」あるいは「許可制」の期間が長かったため、卒業生のみなさんと会える機会も少なかったのですが、そんな中でも何名かの卒業生は遊びに来てくれたり連絡をしてきてくれたりしました。この1年間、コロナのせいでいろいろなことが劇的に変化してしまいました。みなさんにとって大変なこともたくさんあったことでしょう。でもゼミでのみなさんの姿を思い出す限り、辛抱強く物事をやり遂げる能力が高い人たちだと思うので、前向きに暮らしていてほしいなと願っています。いつの日になるかはわかりませんが、また大人になったみなさんと「飲み会」をしたいですね。そして大学生活を懐かしく思い出したときには、是非大学にも顔を出してみてください。

さいごに去年の春に我が娘が知らないうちに黒板に書いていたことばをみなさんに送りたいと思います。卒業おめでとうございました!またいつの日か元気でお会いしましょう!












2020年10月15日木曜日

2020年度後期授業実施方針について

 「2020年度後期授業実施方針について」というタイトルにしておきながら、9月14日に後期が開始してからすでに5週間が経過しようとしています。2020年度前期は入学式の中止、前期開始の延期、新入生ガイダンス実施後に前期開始の再延期および全面非対面授業への移行、と息をつく暇もない毎日でした。学生(特に新入生)のみなさんには多大な迷惑をおかけして心苦しいところもありましたが、4月時点での決断としては間違いではなかったと信じています。教員も今まで完全オンラインの授業なんてしたことがなかったので、毎日授業準備に追われました。本学は「教職員の出張および懇親会の自粛」という制限もあり、週末やお盆休みもほぼないまま前期を駆け抜けました(そのストレスがたたったのか、7月末には口の中に大きな潰瘍ができてしばらく治癒せず焦りました(その後快癒))。その間学内で半年間かけて慎重に議論をした結果、後期は制限付きではあるものの対面授業を再開することになりました。

対面授業を実施するにあたっての対策は「私が2020年度前期に担当する授業における方針」と同様のもので「いわゆる3密を避ける工夫(教室のサイズ・換気)」「マスク着用の義務付け」です。また通常の清掃に加え、「1週間抗菌作用が持続する液剤の塗布」「主要教室近くにアルコールスプレーの設置」も行われています。私が所属する学科は必修科目が多いため、学科として(1)1年生に毎日キャンパスに来る機会を提供する、(2)2〜4年生には少なくとも週1日はキャンパスに来る機会を提供する(残念ながらそうでない学生もいる)、(3)大学に来たくない学生には前期同様、全面非対面で授業を受講する権利を与える、という3つの方針のもとで授業実施形態を決定しました。

これらの学科としての方針にもとづいて各授業の実施形態については各教員の判断に委ねられたのですが(もちろん教室定員を制限するため希望通り全部が対面で実施できるわけではない)、私が後期担当する授業は10コマのうち対面6+非対面4という割合にしました。非対面のうち2つは大学院の授業でzoomで同時双方向で実施しています。非対面が故にやりにくいこともあるのですが、zoomを使う便利さ(参加者間の画面共有など)が勝ることもあり、前期同様zoomで実施することにしました。そしてもう1つの授業は対面で実施しようかどうか悩んだ末に非対面(オンデマンド)で実施することにしました。これは同僚である中西大輔氏に影響されたところが大きいのですが、「授業資料」と呼ばれる文字資料を学生はダウンロード(学生は学内入構可のため印刷版を取りに来ても良い)してその資料を読んだうえで、Moodleにコメントを投稿するという「目に優しい」形態で進行しています。文章だけでは辛い人もいることを想定し、授業時間内にはzoomを利用して30分程度同時双方向で解説もしています(参加は任意)。

対面授業については、ふたたび非対面授業に戻らざるを得なくなった時にも対応できるように

  • LMS(Moodle or Google Classroom)
  • LINEオープンチャットとtwitterアカウント
  • zoom
の3つをすべての授業において準備しています。また「教室内を常時換気」「学生との適切な距離の維持」「学生にプリントを配布する前に手指消毒」「学生が密集・密接する活動の抑制」「学生が教室内のものを触る活動をした後にアルコール消毒」を行い、体調不良の時には「積極的な欠席」をするように指示しています。以下、私が担当している対面授業の具体的な実施方法について書いてみます。

「英語学・英語教育学ゼミナールB」ハイフレックス型(対面・非対面両対応)

2年生を対象とした受講生24名のクラス。学習英文法について解説・演習を交互に行うスタイルで実施しています。履修者のうち数名は「非対面授業受講希望」のため、教室内にパソコン+高性能集音マイク+ビデオカメラ+三脚+iPadを持ち込んで設置し、教室内のスクリーンとスピーカーにzoomの画面を提示しながら進めています。ちなみにビデオカメラは黒板の方向に固定し、必要に応じて動かしています。これだけの機器を持ち込むので設置するだけで15分程度かかるのですが、対面・非対面の学生双方を指名して次々に解答させても、今のところほぼ違和感なく進行できています。前期には「ゼミナールA」という同様の授業があり、zoomで実施してもそこまで違和感がなかったのですが、教室で実施すると学生からの質問が数多く出るので、やはりできることならば教室で実施した方が効果的だと思います。

「卒業研究」zoom対応可

4年生を対象とした受講生14名のクラス。コンピュータ室を利用しますが換気があまり良くないので、受講生に窓を開けるように指示し、僕が教室に着いたらすぐに入り口のドアを開けるように留意しています(ただし山が近いのでカメムシと共存する必要あり...)。また授業終了後には受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。集中講義なので毎週実施する必要はないのですが、グループに分けて3週ごとに出席を必須としています(都合が悪い時は別のグループの時に参加可)。パソコンを持ち込んでいるので、希望があればzoomに対応することを受講生に伝えていますが、残念ながら今のところ希望はありません。

「初等教育(英語)」ハイブリッド型(zoom対応可)

教育学科の学生を対象とした受講生46名のクラス。初回は収容定員104名のクラスでやったのですが、古い講義室のタイプで学生間の距離が狭かったので2回目からは収容定員254名の教室をぜいたくに使って実施しています。活動重視の授業で、英語の発音練習をしたり歌を歌ったりしなければいけないので、実施形態に苦慮しています。教室内では大きな声で発音しなければいけない活動は最低限に抑えて、オンラインで動画を視聴し練習したものを録画してLMSに提出するハイブリッド型です。それにしてもマスクをしたままで発音指導をするのはかなり大変です。今度の授業でモデルとして英語の歌を歌わないといけないのですが、マスクをしたままでは指導が難しいので、教室にパソコンを設置しプロジェクターに投影、私は別教室にタブレットを持って移動し、マスクを外した上で歌う様子をzoomで中継するといった実施方法を考えています(うまくいったらまた報告します)。

「英語学・英語教育学ゼミナールC」(zoom対応可)

3年生を対象とした受講生17名のクラス。CALL教室を利用するので、授業終了後は受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。この教室は職員の方が利用前に換気を徹底して行ってくれているので助かります。授業は文献講読を主に行うので、iPadに書き込みする画面をセンターモニターに提示しながら進めています。学生の発表者は前の空いている席に移動してもらい、そこで発表します。この授業は前期も同じ受講生でzoomを利用して実施していたのですが、やる内容自体はzoomでも教室でもあまり変わりません。もちろん学生の顔を見ながら授業をする方が断然やりやすいですし、学生からの質問にも適宜対応できるので助かります。

「応用言語学研究指導II」(zoom対応可)

大学院の指導学生1名を対象としたクラス。本人の意向を確認した上で、研究室で実施することにしました。今となっては研究室に訪問してくる学生もほぼいないので、週に1度唯一研究室を訪れてくる学生です。当然ながら換気に注意し、窓およびドアを解放しマスク着用の上で実施しています。今は心地よい季節ですが、冬がちょっと心配...。

「English Online II」(zoom対応可)

1年生を対象とした受講生143名のクラス。クラスの名前の通り、以前から基本的にはオンラインで自習形式で実施する授業なのですが、ホームルーム的な意味合いを込めて収容定員434名の教室をぜいたくに確保しています。が、ほとんど誰も来ません(笑)。定期的にミニテストを実施するため、その週には教室に来る必要がありますが、「全面非対面授業を希望」する学生はzoomを利用してミニテストを受講することもできます。

後期開始前はすべての授業を「ハイフレックス型(対面・非対面両対応)」にしようと思っていたのですが、準備が大変な上に両方の授業形態で質を保つのが難しいので、1つの授業のみで両対応という結果になりました。両対応の授業も結局は黒板を写しているだけなので質を担保しているとは言い難いのですが、非対面で参加している学生が毎週書いてくれるコメントを見る限り、教室で受講する学生と同様にしっかり課題に取り組んでくれているように思えます。教員も学生もマスクをしたまま授業をするなんて不自然な光景を想像して「それだったらオンラインのままが良い」と考えた時もあったのですが、いろいろ大変なことがあるものの、やはり対面授業は良いですね。何とかこのまま15週乗り切りたいものです。