2016年3月31日木曜日

学会参加記録2015

 昨年度から学会に参加した際の詳細なまとめをしなくなりました。その1つの理由が学内業務の都合上、僕の中では一番参加したい全国英語教育学会(JASELE)の全国大会に参加できなかったからです。2014年はAILA、2015年は学内業務、そして2016年も学内業務の都合上で早々と不参加が決定...。ブログを書く動機づけが低いのですが、参加した学会や研究会を備忘録がてらまとめておきます。2015年度はどちらかというと小さめの研究会に数多く参加しました。

4月24日
「大学入試改革の実践と課題〜英語資格・検定試験の活用等を踏まえて〜」
(関西大学)

 時代の流れもあり、情報を得るために参加しました。上智大学、広島大学の入学センター長という立場にいる人たちの話を聞けたのは良かった。そうそう、安河内先生もはじめて拝見しました。4 Skills for JAPANと書かれたバッジをもらうために行列ができていました。

4月25日
平成27年度英語コーパス学会春季シンポジウム
「コーパス関連専門科目の授業内容について」
(関西大学)

 大名力先生、佐野洋先生、滝沢直宏先生、田中省作先生、西原俊明先生といった錚々たる顔ぶれによるシンポジウムでした。具体的な授業内容に関する情報も得られて、来年度以降の授業に活かせる良いお土産ができました。

(National Institute for International Education (NIIED), Korea)

 メソドロジー研究部会とKATE (Korean Association of Teachers of English)のCorpus SIGとの共催でした。楽しかったです。「何しに来たの?」と聞かれることが多かったので、"Sightseeing."と答えておきました。





(神戸学院大学・ポートアイランドキャンパス)

 水島梨紗先生(札幌学院大学)による発表、「高校英語教科書の分析から語用論的指導の可能性を探る」を聞きに行きました。最近語用論に関わる研究をしたいと思っているので、とても刺激を受けました。
 それにしてもポートアイランドキャンパスの美しいこと!トイレに住みたいと思ったのは人生初めてです。






7月4日
(北海道大学)

 認知言語学に少し興味を持っていることもあり、参加してみました。長谷部陽一郎先生(同志社大学)のワークショップ「BYUコーパスTEDコーパスを用いた言語データの採取と活用」では、詳細な資料をもとにBYUコーパス利用の際における留意点を知ることができました。なによりTEDコーパスはすごい!検索したい語を入力すると、該当するTEDの動画一覧が表示されます。

8月4-6日
(千里ライフサイエンスセンター、大阪)

 毎年初日に行われるワークショップへの参加が一番楽しみだったりします。今回は水本篤先生(関西大学)による「Webアプリケーションで学ぶ統計解析の基礎と応用」、そして今尾康裕(大阪大学)による「リスニング教材準備はMacとCasualTranscriberで!」を聴講しました。泣く子もだまるlangtest.jp、そしてCasualTranscriber、良い時代になりました。

8月29-31日
(鹿児島大学)

 噴火すると言われてビクビクしながら鹿児島入りしたのですが、地元の人たちが普通に生活しているのが印象的でした。西郷どんに思いを馳せました。







10月10-11日
外国語教育研究の未来 前田啓朗先生記念研究会

 早いもので1年経つんですね。前田先生に原稿をいただいた本が出版されたこともあり、「eラーニングの導入から評価までに関する一考察」という発表をさせてただきました。詳細は書きませんが、ハチャメチャで楽しかったです。


11月21日
(広島修道大学)

 グローバルコースに関わっていることもあり、同僚の竹井光子先生と「広島修道大学の試み:グローバルコースとグローバルキャンパス」というタイトルで発表しました。

12月5-6日
(名古屋大学)

 だいぶ前に参加したことがあるのですが、久々に情報収集を兼ねて参加してみました。



12月19日
(立命館大学大阪いばらきキャンパス)

 清水裕士先生(関西学院大学)による統計分析ソフトHADの説明をはじめて聞きました。もうすごすぎます。キャンパスおしゃれ。



2月16-17日
(てんぶす那覇)

 「何しに来たの?」と誰も聞いてくれなかったので「なんくるないさ〜。」と勝手に心の中で答えておきました。飛行機の都合で後泊したのですが、その時に回ったお店は渋くてたまらなかった。人生初ホッピーも体験しました。



2月20日
(西南学院大学、福岡)

 外部試験導入に関する情報収集のために参加しました。時間を勘違いして早く着きすぎたので散歩したのですが、面白い通りができていました。




3月26日
第二言語ライティングセミナー
(津田塾大学)

以下の発表が行われました。

大野真澄(慶應義塾大学)
「ジャンル・アプローチを用いた英語ライティングの指導— 理工系学術論文を事例として—」

小島ますみ(岐阜市立女子短期大学)
「ライティング評価とテクストの言語的特徴との関係:メタ分析による研究成果 の統合」

水本篤
「ムーブと語連鎖を融合させたアプローチによる英語学術論文執筆支援 ツールの開発」

石川慎一郎(神戸大学)
「L2 ライティング研究と学習者コーパス研究:接点と非接点」

どの発表も非常に面白く、ライティング研究の最新の動向を知ることができました。それにしても英語学術論文執筆支援ツールAWSUM (Academic Word Suggestion Machine)はawesomeですね!


 その他、8月20日にはメソ研重富、ではなくメソ研広島を勤務校で開催したりもしました。2014年10月2日のブログでは2014年度を振り返って次のように書いていました。

「今年は意図的に主体的に行う学会発表の数を減らしました。学内業務が忙しくなったという理由もありますが、研究面において少しインプットを蓄積したいという想いが強かったからです。ということで2015年度は頑張ってアウトプットの年にしたい所です。」

 2015年度もいろんな研究会に顔を出しましたが、発表は2件だけ、どちらも自分の中では研究発表と言えるレベルのものではありませんでした。一方で2012年度から3年間行ってきたプロジェクトが書籍 『eラーニングは教育を変えるか—MoodleをはじめとしたLMSの導入から評価まで』という形になり、実践や開発などの論文も2本学会誌に掲載されました。2016年度も引き続き発表の数は抑える予定なのですが、少しずつ自分のやりたい研究への蓄積をして、きちんと研究発表をしたいと考えています。




2015年1月27日火曜日

2014年度担当授業の振り返りおよび2015年度の方針

2014年度が終わろうとしています。

 気付いてみれば早いもので、2015年度は大学で教え始めて14年目になります。この間一体何をしていたんだろうかという忸怩たる思いはさておき、これを機に2015年度担当予定の科目(複数担当のものおよびゼミ、大学院の科目は除く)についてまとめておこうと思います(〆切間近のシラバスを書く下準備というのもあったりして)。

英語科教育法II
(月1、 3年次、履修者20名前後)

 2004年度より担当。英語科教育法I〜IIIの真ん中(3年次前期)に位置付けられていて、この単位を落としてしまうと教育実習に行けなくなるので、担当者としては責任を最も感じる科目かもしれません。今までは4技能の指導と評価について解説し、マイクロ・ティーチングを行わせるという形式でしたが、英語科教育法I/III担当者と相談の上、2014年度より「英文法指導について考える」ことを中心に据えるようになりました。それと同時に教材研究のトレーニングおよび受講者の英語力向上もねらって、「感動する英語!」をリーディング教材として採用しています。
 2015年度も同様の方針で行う予定です。リーディング教材は毎年変えたいと思っているんだけど、1,512円でCDも付いてくるというこの本のコスト・パフォーマンスに敵うものになかなか出会えていません。

Reading & Writing I/II
(月3、 1年次、履修者30名弱)

 2011年度より担当。英語英文学科教員は週に3コマ(卒業研究指導を含む)のゼミがあるため、残念ながらその他の科目はあまり多く担当できないのですが、その中で唯一担当している英語スキル科目です(英語教員としてやはりこういう科目は担当していたいという強い思いがあります)。2011年度以前にも、いろいろな教材を利用していろいろなスキル科目を担当してきましたが、この科目は珍しく4年間ずっとテキストを変えていません。
 授業はCALL教室で活動のほぼすべてをオンライン(Moodle)で行います。この授業を担当するまでは、グループ活動もいろいろと取り入れていたのですが、この授業ではそういう場面はほとんどありません(Moodleを介しての活動は除く)。その分、休む暇もない位英語を使った活動を行わせたいと思っています。実際にはなかなかうまくいきませんが…。
 2015年度もおそらく同様の方針で行います(テキスト選定はちょっと悩み中)。検討したい点としては、

・毎回行っている小テストを授業開始と同時に開始する
・授業で行っているテキストの答え合わせを効率化する(Moodleの活用)
・文法説明に利用するスライドを全面改訂する

の3点です。できれば全部実現したい。

英語研究III
(月4、2〜4年次、履修者は多くて60名程度)

 2008年度より担当。扱うトピックは担当者に任されているので、現在は「英語コミュニケーション論」として、コミュニケーションに関わるトピックを浅く広く扱うことを目標にしています。この授業は僕の中ではエンターテイメントだと思っていて、15回の中で1回でも「楽しい!」とか「おもしろい!」と思ってもらえるような授業をしたいと思っています。
 スライドや視聴覚教材を多用する現在のスタイルに落ち着いたのは2010年度です。2012年度(からだったかな?)は、Moodleを利用して授業で利用するスライドや資料を掲示するとともに、課外でディスカッションを行わせています。ただ、スライドがPowerPointのままというのがどうも気に要らない…。テンションが上がらない…。ということで2015年度はスライドを全面改訂したいのです(あくまでも希望です)。

初等英語教育論(火4、3年次、履修者30名前後)

 2013年度より担当。教育学専攻の学生を対象として開講されている科目です。2013年度は言語習得にかかわる話をして、「言語習得の視点を取り入れた授業案を作成できるようになること」を最終目標とした授業を行いました。が、どうやらあまりにも理論に偏った話をしすぎたようであまり評判が良くありませんでした。ということで2014年度より、フォニックスやら意味順など、英語教育・学習法を紹介した上で、最終的に英語で1分間スピーチをしてもらうという形式に変えました。「自らの学習者としての経験を振り返りながら、教える際のヒントを見つけてもらいたい」と考えています。
 何より小学校教員を目指す学生の中には英語に対する苦手意識を払拭できていない人が多いので、「英語の勉強って楽しかったんだ」と思ってもらいたいのです。だって教える側が英語が苦手だとかつまらないと思っていたら、児童がかわいそうですし。2015年度も同様の方針で行う予定です。

英語の諸相II
(月4、2〜4年次、履修者30名程度)

 2008年度より担当。後期に担当する唯一の講義科目です。広島大学の柳瀬先生のサイト(ここだったかな?)を見て、真似をしながら始めた科目です。トピックは「英語の意味論・語用論」で、テキストはYuleのPragmaticsを採用しています。テキストだけで内容を理解するのはほぼ不可能なので、理解補助プリントとして毎回ハンドアウトを用意しています。前期に担当する「英語研究III」とは異なり、敢えて視聴覚教材は使いません。テキストとプリントをOHCを使って写しながら、大事なところに線を引いたりコメントを書き込んでいく授業スタイルです(面白みのないこのスタイルを極めたいと思っているのです)。そして学期の最後には映画を見て、登場人物の台詞を語用論的な視点から分析する作業をしてもらいます。ちなみに今年は「ラブソングができるまで」を見ました。2015年度も同様の方針で行う予定です(見る映画は未定)。できればMoodle上で課外の活動を行わせたいとここ数年思っているのですが、まだ実現できていません。

アドバンスト英語(Aspects of Japanese Language and Society)
(火1、1〜4年次、履修者10名程度)

 2011年度より担当。同僚のイギリス人教員と英語で行う授業です。毎年留学生と日本人学生(TOEICスコアによる履修制限あり)が受講し、僕がスライドを利用した講義を前半45分で行い、後半に同僚が活動を行うというスタイルで行っています。2014年度はようやくスライドをPowerPointからKeynoteに全面改訂したので、テンションがあがりました!2015年度も同様の方針で行う予定ですが、もう少しわかりやすい洗練された英語を使って授業ができるように準備をしたいです。

 これ以外の授業もいくつか担当していますが、今回は省略します。ゼミで利用するテキストは2〜3年ごとに変えていますが、2014年度にWiddowsonのDiscourse Analysisに変更したので、2015年度もおそらくこのテキストを継続して利用します。ゼミは基本的にグループごとにテキストの担当箇所を決めて発表するというスタイルで行ってきましたが、ちょっと行き詰っている感じもあるので、2015年度は少し工夫したいと考えています(アイデアはあるもののまとまっていませんが)。


2014年10月2日木曜日

学会参加記録2014〜夏の想い出〜

 これまで毎年のように参加した学会に関する記録をまとめてきたのですが、なぜか今年度は あまり気乗りがせずここまで引き延ばしてきました。とは言いながらもまとめないと何だか落ち着かないので、今年度ここまで参加した学会および研究会について簡潔にまとめておきます。

5月17日 
(岡山・ノートルダム清心女子大学)

 かの有名な鳥飼久美子先生 (立教大学)による基調講演「国際共通語としての英語と学校英語教育の目標について」がありました。

6月21−22日
(山梨大学)

 昨年から参加している学会です。地区大会ではありますが、発表数も多く、研究法セミナーなど魅力的な企画も多いので、まずはこの大会から参加すると面白いと思います。


 亘理陽一先生(静岡大学)による司会のもと、筑波大学大学院生の石井卓巳さんの研究テーマについて錚々たるメンバーがコメントをするという企画。ちなみに石井さんの発表題目は「日本人EFL学習者のライティングにおけるメタ談話標識の使用傾向-中間言語の多重対照分析に基づく研究構想-」というものでした。コメントをしてもらえる石井さんにとっては幸せな企画ですね。それだけではなく、大学院生や学部生らしき若い聴衆が一生懸命聞いてメモを取っている姿がとても印象的でした。僕も数年前からメタディスコースマーカーに興味を持っているのですが、放置してしまっていました...。


 ベテランの風格漂うおなじみ草薙邦広さん(名古屋大学大学院,日本学術振興会特別研究員)によるセミナー。いつもながら、すごく易しい内容から入って安心させておいてからのいきなりのギアチェンジおよび加速感がすごいです。


 浦野研先生(北海学園大学)を中心に行われているプロジェクト。このプロジェクトの功績はとても大きいと思うのです。この成果が近いうちに書籍として出版されるのを楽しみにしています。

7月12日
(大阪・関西大学)

 この研究会の雰囲気は以前もブログに書いたので省略します。世界的な研究者がこっそり発表したりこっそり聴衆として紛れ込んでいたりするので恐いです。ボル研!

8月4−6日
(福岡大学)

 毎年ワークショップを楽しみにしています。今年は印南洋先生(芝浦工業大学)による「因子分析の基礎について」と阪上辰也先生(広島大学)による「Rによる外国語教育データの分析と可視化の基本」を受講しました。ここまでわかりやすく教えてもらうのはワークショップならでは。1コマ90分というのは短いので、3コマ連続で同じテーマについて受講するというスタイルがあっても面白いのではないかと思ったりします。
 そう言えば、竹井光子・大澤真也で「アニメ動画教材Culture SwapとMoodleを利用した実践と効果の検証」という発表も行いました。詳細は聞かないでください...。

8月10−15日
(Brisbane, Australia)

 お盆休みというタイミングもあったのでしょうが、日本人の参加者がとても多いのが印象的でした。世界的な研究者の発表をたくさん聞けるので涎がでます。プロンスキーはイケメンです。
 そう言えば、Ozawa, S., Yamura-Takei, M., Curtis, T., & Urano, Kで、"Culture Swap": A Survey-Inspired Modular Digital Course for CMS.というタイトルのポスター発表も行いました。詳細は聞かないでください...。


8月28−30日
The JACET 53rd International Convention
広島市立大学)

 大学の取り組み紹介という形で「「世界を学ぶ。地域で生きる。」:グローバル&グローカルプログラム」というポスター発表を行った気がします。

9月15日
(長野・信州大学)

 前田啓朗先生(広島大学 外国語教育研究センター)によるメソ研ならではの発表で泣き、今尾先生のCasualTranscriberで泣き、松本城で泣き...。



 そして最後に、夏休みが 明けてすぐの週末には開催校として、Mahara Open Forum 2014を行いました。小規模の研究会とは言え、 研究会などを開催するのは辛い...。ちなみに今回はKristina Hoeppner氏による講演を遠隔で行いました。その模様はサイト上で公開されています。Maharaに興味を持つメンバーがすべて自力で行う研究会はなかなか運営が大変だとは思いますが、このような雰囲気を保ち続けて欲しいと願うばかりです。ちなみに遠隔講演にはtalkyというシステムを使いました。ブラウザ(Chrome, Firefox, Operaのみ対応)さえあればアカウントを作成する必要もなく、画面共有をしながら中継ができます。音質もかなりクリアだったので、使えるのではないでしょうか。

 といった感じで夏が終わり秋になりました。今年は意図的に主体的に行う学会発表の数を減らしました。学内業務が忙しくなったという理由もありますが、研究面において少しインプットを蓄積したいという想いが強かったからです。ということで2015年度は頑張ってアウトプットの年にしたい所です。








2014年9月20日土曜日

研究会における源泉徴収のしかた

 エントリー的にこちらに書くかどうか迷ったのですが、同じような状況で困っている人がいるかもしれないので書きます。なお記述してある情報はあくまでも私個人がまとめたものですので、実際に行われる場合は自己責任でお願いします(誤り等があれば是非ご指摘ください)。

 大きな学会であれば困ることもないのですが、小さな団体や組織で研究会を行い、謝金等を支払おうととする時に困るのが源泉徴収です。今回私の勤務校で小さな研究会をやることになったのですが、国税庁が発行している「源泉徴収のしかた 平成26年度版」を読んでもいまいちよくわからない。そこでいろいろな人に相談してわかった結果を以下にまとめておきます(あくまでもできるだけ手続きを簡単にするための手順ですので、大きな学会などを開催する際にはあまり参考にならないと思います)。

*記載してある情報は2014年9月20日現在の情報です。

 まず第一に「個人が主催する講演会等の場合には源泉徴収は必要ない」のですが、大小に関わらず運営委員会のようなものがあれば、「人格のない社団・財団」という何だかかっこいい扱いになり、源泉徴収を行う必要が出てきます。その際は代表者が「給与支払事務所等の開設届」(記載例はこちら)を納税地所轄税務署に提出する必要があります(郵送でも可)。研究会開催後でも届出は可能ですが、開催翌月の10日までには税金を納付する必要がありますので、早めの届出が望ましいでしょう。なお、研究会が終わった後もわざわざ廃止にする必要はありません(研究会がある度に事務所として頼られ事務手続きが増えるという負の側面もありそうですが...)。今回は給与等の支払いは行わない(ここがポイント。給与の支払いを行うと少しややこしくなる)ので、念のため届出書の「届出の内容及び理由」欄の「その他」に「給与の支払いは行わない」など記入しておきます。そして税金を支払うための納付書(源泉徴収の納付の際に必要。記載例はこちらを郵送してもらうように依頼しましょう。登録が完了すると整理番号が割り振られます。

 さていよいよ講師に報酬を支払います。その際、講師が必要とする旅費や宿泊費などがあり、その料金を運営側が直接交通機関やホテルに支払えば源泉徴収の対象にはなりません。講演会等の報酬については10.21%の税金(1円未満は切り捨て)がかかります。そのため、報酬が30,000円であれば、

30,000×0.1021=3,063(講師が受け取る金額は26,937円)

で、3,063円の源泉徴収となります。きっちりとした金額を渡したいのであれば、

報酬金額÷0.8979

で計算した金額を報酬とすれば、源泉徴収をした後の金額がすっきりします。たとえば30,000円を渡したい場合には報酬の額を33,411円とし、3,411円を源泉徴収分とし、30,000円を講師にお渡しします。

 なお報酬を受け取る側の確定申告等のことを考えると支払調書(ここから雛形を無料でダウンロードできます)を作成して、講師に渡した方が親切かもしれません(作成方法については「平成25年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参照、記載例はこちら)。ちなみに報酬が源泉徴収込みで50,000円を超えてしまうと、税務署にも支払調書を提出しなければならなくなるので、手続きがややこしくなります。また万が一の場合も考えて運営側、報酬を受け取る側双方の記録として領収書も作成しておくと良いと思います。

 あとは忘れずに研究会開催の翌月10日までに納付書を利用して税金を納付すれば終了です。なお、アルバイト学生を雇ってアルバイト代を支払いたい場合には給与となるので、注意が必要です。「平成26年度分源泉徴収税額表「日額表」「丙」欄を確認してください。9,300円未満であれば源泉徴収の必要はありませんが、その他の関連する手続きが面倒くさくなるので、小さな研究会では雇わない方が楽かもしれません。

 以下、まとめです。

  1. できれば個人で研究会を主催する
  2. 講師を丸め込んで、謝金なし、旅費・宿泊費の支給で許してもらう(その際、運営側が交通機関および宿泊先に直接支払うこと)
  3. それがダメで複数人で主催する場合は代表者が「給与支払事務所等の開設届」を所轄の税務署に提出する(その際、納付書をもらうのを忘れずに)
  4. アルバイトを雇わなくて済むのであればその方が手続きは楽
  5. 源泉徴収額を計算し、講師に謝金を手渡す
  6. 研究会開催翌月10日までに源泉徴収分を振り込む

2014年2月24日月曜日

Moodle Moot Japan 2014

 2014年2月19−21日の日程で沖縄国際大学において、Moodle Moot Japan 2014が開催されました。業務の都合で参加したのは2、3日目のみ。以下2件の発表を行いました。

「Moodleを活用して英語の授業を構築してみよう!」(共同発表)

 『Moodle事始めマニュアル』で実践報告を執筆してくれた方達に依頼して、英語授業における実践を紹介しました。Moodleだからできるという実践ではないのですが、LMSを使うコツを紹介できたのではないかと思います。興味を持ってくれた聴衆も多かったようで、発表途中に写真を撮っている方が数多くいらっしゃったのが印象的でした。

「eポートフォリオモジュール「柿右衛門」の開発」(共同発表)

 広島修道大学では2010年度よりMaharaを試験的に導入していますが、なかなかユーザ数が増えません。そこで発想を変えて、現在全学導入しているMoodle上に同様の機能を実現したら良いのではないかと思いつきました。発表ではその開発経緯および機能について紹介しました。

追記:本学のプロジェクトで開発したMoodleの小テスト作成ツール「e問つく朗」が2013年度ベスト・ムードル・イノベーション賞の佳作賞を受賞しました!

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 毎年のように思うのですが、Moodle MootはMoodleに興味を持っている人たちは是非参加するべきだと思います(会費が1万円と高くなってしまいましたが)。ただ今後の方向性として教育実践や研究も含めた方向に進むそうなので、そうなるとMoodleに限定してしまっている点が足枷になるのではないかと感じています。「Moodle無料!→Moodleすごい!」位で留まれば良いのですが、「Moodle無料!→Moodleすごい!→Moodleでいろいろやる!→無理があるけどMoodleでいろいろやっちゃうよ!」までいってしまうと教員も学生も不幸なので。

 全く関係ないのですが、暖かいと聞いていた沖縄は小雨まじりで風の強い毎日だったのでとても肌寒く感じました。写真はあまり撮っていないのですが、ここから。

LMS Symposium@Hiroshima Shudo University

 2014年2月15日、広島修道大学においてLMS*シンポジウムを開催しました。テーマは「eラーニングは教育を変えるか?-LMSとその効果の測定」で大げさなものではありましたが、本当に言いたかったのは「Moodleをはじめとしたeラーニングシステムは万能ではない。きちんと実践しその効果(前田先生のことばを借りれば成果)を測定した上で、長所や短所を冷静に考える必要がある」というものでした。当日は県内外から約50名もの方にお越し頂きました。ありがとうございました。

 当日は運営にかかわっていたものでドタバタで、記憶が曖昧です。twitterを利用している方は#lmsshudoをご覧いただくとして、以下簡単に備忘録ではありますがお許しください。

(*ちなみにLMSとして主に本学でも採用しているMoodleを取り上げましたが、それ以外のLMSを活用した取り組みの報告もありました)

特別講演
前田 啓朗(広島大学)
「学習の成果を測定するということ」

 60分間という短い時間の中で、評価やテストについて概観していただきました。有益な情報が多かったのですが、その中でも特に適正処遇交互作用(ATI)の説明の時に言われた「すべての人にとって最も効果的な教え方は果たしてあり得るのだろうか」という問いかけは誰もが心に留めておくべきことだと感じました。

基調講演
山川 修(福井県立大学)
「学習を可視化するツールとしてのeラーニング」

 Preziを使った講演でした。LMSやeポートフォリオ、SNSを包括する概念としてのCLE (Collaboration and Learning Environment)について説明され、ビッグデータ、そしてLearning Analyticsへの期待を示されました。実際にご自身が行われた実践の紹介もしていただきました。

実践報告
浦野  研(北海学園大学)
「目的に応じたLMSプラットフォームの選択と利用: 何ができるかではなく何をすべきかを考える」

 浦野先生はよく第2言語習得研究の観点から「インプットを増やす(そしてアウトプットも増やしたい)」と主張されていますが、この点を意識して行っている実践を報告して頂きました。報告の中ではLMSに踊らされるのではなく、適切な場面でLMSを使うことの重要性を主張されました。また先生が実際に使われているGlexaの紹介もありました。

実践報告
住 政二郎(流通科学大学)
「Moodleを活用した英語学習支援:プレイスメント・テストから到達度テストまで」

 有料のいわゆる標準的なテストを使うのではなく、入学試験の過去問題などの資源を活用することで、テストを効率的に行った事例の報告でした。Moodle上でプレイスメント・テストの実施およびクラス分けまで自動化できるプラグインを開発してもらったそうです。言語テスト理論に裏付けされた緻密な取り組みが印象的でした(そして住先生がこの取り組みに費やしたであろう多くの時間も)。

大西 昭夫(VeRSION2)
「LMSの内側を見てみる」

 様々な学会で研究報告もされている大西さんですが、今回は開発者としての視点からLMSの課題について説明して頂きました。これからMoodleをインストールしてみようと考えている人にとって、とても有益な情報だったと思います。

広島修道大学重点領域研究メンバー
大澤 真也、中西 大輔、竹井 光子、矢田部 順二、岡田 あずさ、脇谷 直子、記谷 康之
「広島修道大学におけるMoodle活用の試み」

 そして最後に、本学研究メンバーで行ってきた取り組みの紹介そして今年度はじめて行った「成績とアクセスログ」を分析した結果について報告しました。当然のことではありますが、LMS上で何をやるかによってアクセスログは変化します。だからこそ実践に重きを置きたい場合には、このようなデータの分析に一喜一憂するのではなくて、将来的な実践に活かせるような方向に持っていきたいものです。

 ということで準備期間も含め長くも楽しい1日が終わりました。LMSはまず導入するのが1つ目の壁です。そして使いこなすようになるまでが2つ目の壁です。この壁を乗り越えればかなり楽になるのですが、落とし穴として「LMS万歳!」 になってしまう場合があります。LMSにはできることとできないことがあります。Chalk & Talkということばもあるように、通常の教室で対面授業をやったって何も悪くない訳です。だからこそ、実践を積み重ねていきつつ、LMSの効果(成果)についてきちんと考えていく必要があるのでしょうね。個人的な感想としては忙しくはありましたが、楽し過ぎる1日でした。1日が終わって家に帰る夜道、「ああ、楽し過ぎる」と1人でつぶやいてしまう程に…。

2013年11月5日火曜日

メソドロジー研究部会ってどんな所?

 2013年10月26−27日に秋田で開催されたメソドロジー研究部会(通称:メソ研)に参加してきました。メソ研では、外国語教育研究手法を軸に様々なテーマで様々な分野の人が発表します。外国語教育メディア学会(LET)関西支部の部会でありながら、会員資格は関係なく全国各地で開催されるのも面白い所ですね。当日の模様は、

メソ研 in 秋田 Togetter
Ustream 

をご覧下さい。
 若手研究者を中心に大学院生も含め、様々な年代の研究者が発表し活発な議論を行います。会場の雰囲気はとても温かく、ふざけているような感じがするのですが、そこで行われる議論は恐いくらいに冷静なのも面白い所。私はメソ研で発表するというよりも勉強をさせてもらうつもりで、できるだけ参加するようにしています。
 発表者が口を揃えていうのは、「メソ研で発表するのは恐い」ということです。これはメンバーが恐いという訳ではなくて、研究手法に関する豊富な知識を持ったメンバーが会場にいるからであり、そのメンバーがこれまた穏やかな口調で質問をしてくるからでしょうね。下手な学会発表より緊張すること請け合いです。
 最近、英語教育研究においては「研究手法(所作)を整える」ことに関心が集まっていますが、まずはメソ研に参加する所からはじめてみても良いかもしれません。

悪い研究者はいねぇか?


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