2009年12月28日月曜日

イタチごっこ

1)二人互いに相手の手の甲をつねって自分の手をその上に載せ,「いたちごっこ,ねずみごっこ」と唱え,交互にくりかえす子供の遊戯。
2)転じて,双方が同じ事をくりかえすばかりで無益なこと。
(「広辞苑」より)

元の意味が1)だなんて。。。衝撃!それはともかく広島地元の中国新聞に記事が出ていたある件をネットで検索。

コピペ判定支援ソフトコピペルナー

もっとすごいもので複数言語対応(もちろん日本語も対応)の

Turnitin

なんてものもある。つまり学生がネットから「コピーアンドペースト(通称コピペ)」してレポートや論文を書くのに教員あるいは大学として対抗しましょうということ。でも敵(?)もさるもの。

AssignmentEXPERT

コピペなど全くないオリジナルなレポートを販売するサービス。こんなの利用すればお金で単位が買える時代ですね。まさにイタチごっこ。


 海外なんかではPlagerism(剽窃)を行うと即退学なんて厳しい大学もあるのだけど,日本ではまだそこまで厳しくはない。でも,単純にコピペをして楽をするということは,それだけリスクが高いものだということも認識する必要があると思う。何よりも社会に出るための準備段階の大学で「人をだまして単位を取る」という楽なことをした人は,それがバレなくても後々の人生で絶対に損をするはず。こんな日記を書いたのは別に理由がある訳ではなくて,よく教員間で「いやー,あの学生のレポートがコピペでねー」なんて会話をすることが増えてきてるので,何となく気になって調べてみたというだけですが。

2009年12月21日月曜日

最近の日常

 授業は今週の木曜日が最終日。水曜日は休みなので実質今日を入れて残り3日間。大学に出てくる最終日は12月28日の予定。卒業研究もラストスパート、ゼミ生の皆さん頑張りましょう!!!僕自身も、いろいろなプロジェクトや自分の研究が動き出しているので、年内にある程度目処を付けたいのだけど。。。うーん。
 土曜日はAO入試や推薦入試などで既に合格している入学予定者対象の第1回キャンパス学習を行いました。前夜からの冷え込みで冷や冷やしたけど、何とか無事に終了。夜はキャンパス学習を主催した学習支援センタースタッフで忘年会。1年間お疲れさまでした。日曜日は前日のお酒と戦いつつテレビを見ていると、某大手塾のCM、そしてその直後に流れた某ローカルテレビ局のCMに立て続けに過去のゼミ生が出演しているのを目撃した。地元に根付いて活躍している卒業生たちの姿を見ることができるのは、うちのような地方の大学に勤めているお陰でしょうね。元気をもらいました、ありがとう。

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ランディ・パウシュ+ジェフリー・ザスロー著
『最後の授業 ぼくの命があるうちに』(DVD付き)
ランダムハウス講談社 2,310円

癌を宣告された大学教員ランディ・パウシュが大学で行った最後の授業は、Youtubeなどで世界中の人々の感動を呼んだ。この本はその講義のこと、そしてその背景などが書いてあります。インターネット上でも映像を見ることが出来ますが、どうせならDVD付きがお得だと思います。本を買いたくない人はhttp://thelastlecture.comのホームページから様々な情報を入手できるし、講義も視聴できます。同じ大学教員として身の引き締まる思いをしました。そして家族を持つ身として涙も流しました。FDとか大げさなことをやるよりも、このような話に共感できるかどうかが大事じゃないかなぁ。

ちなみにGoogleビデオなんてのもあるんだね。知らなかった。

*とりあえず今年の予定は全部終了(何のことかはご想像にお任せします)。

2009年12月17日木曜日

初雪!

 ?だよね、多分。寒いけど、清々しい。あと1週間で大学も冬季休暇に突入。よい年を迎えられるように身辺整理をしましょう。

*2つ消化、1つキャンセル。残り2つ。

2009年12月8日火曜日

第1回初年次教育セミナー

 2009年12月4日(金曜日)、広島修道大学にて学習支援センター主催の第1回初年次セミナーが開催されました。講師は帝塚山大学の岩井洋先生。以下、覚え書き(『』内は個人的な感想)。
 話は「初年次教育とは何か」、「リメディアル教育の失敗に学ぶ」、「アクティブ・ラーニングの手法」、「アクティブ・ラーニングのデザイン」、「シームレスなプログラム策定にむけて」という5つの柱から構成されていた。

初年次教育とは何か
 大学への円滑な移行と大学生活への適応を促進する教育プログラムの総体であり、個別のプログラムというよりも哲学としかけが必要だと強調された。初年次教育の必要性については大学のユニバーサル化(高等教育進学率が50%をこえたときにおこる質的変化)など言うまでもないが、現在では文部科学省の調査(2008)によれば全国の71%の大学が行っている取り組みである。その内容としてはスキル型とモチベーション型の2つに分かれる。具体的な実戦例としては入学前教育の実施(人間関係づくりに重点)、フレッシュマン・ウィークの実施(入学式から1週間)、スキル・モチベーション型の複合型プログラム、アクティブ・ラーニングの導入、eポートフォリオの導入(関西国際大学で開発されたものが市販予定)、などが挙げられる。『フレッシュマン・ウィークという概念は非常に面白いし、本学でもやるべきだと感じた』

リメディアル教育とは
 いわゆる補習教育(Developmental Education)。文部科学省の見解では正課外の授業であり、初年次教育とイコールではない。これが失敗した原因は野放しにeラーニングを導入しメンタリングをしなかったこと、そして高校の英語、国語のやりなおしというスキームから脱却できなかったこと、だと指摘された。『リメディアル系の学会に行くとeラーニング教材が多数展示されていたりするのだが、確かに人的なサポートについてはあまり触れられていない気もする』

アクティブ・ラーニングの導入
 優れた授業実践のためには以下の7つが必要。

1.学生と教員とのコンタクトを促す
2.学生間の互恵と協力を促す
3.能動的な学習を促す
4.すみやかにフィードバックする
5.時間の大切さを強調する
6.学生に対する高い期待を伝える
7.多様な才能と学習方法を尊重する
(Chickering, A.W. & Gamson, Z.F. 1987. Seven Principals for Good Practice in Undergraduate Education, AAHE Bulletin.)

 実践例としてキーワード・ビンゴ、新聞記事を使ったジグゾー学習(ひとつのテーマにかかわる課題を複数に分割し、各自が1課題を担当)、図解ワーク、思考のモードチェンジ(難解な語を言い替えさせる)、検索の達人(Wikipediaのみでは検索できないようなものを与える)などを提示された。『岩井先生が実際に授業で用いられている手法のようで、すぐにでも授業に応用可能な手法の宝庫だった。先生も言われていたが、初・中等教育で用いられているテクニックを応用するのも非常に有効である』

アクティブ・ラーニングのデザイン
 
デザインする時には全体と部分の関係を意識しなければならない。つまり科目の到達目標の設定から身に付けさせたい知識・技能の設定を行った上でワークをデザインしないといけない。単純なことではあるが、グループワークをいきなりやるとさぼる学生がいるので、個人ワークをやった上でグループワークを導入するという流れも重要である。具体的なデザイン法としては抽出、変換、連結、再構成、分解、などが考えられる。手法と素材は同一でもどちらかを変えれば全く新しい活動になるのである。『仕込みが8割という言葉には共感した。またワークシートには枠をつけた方が良い、など単純な提案も興味深かった』

シームレスなプログラム策定にむけて
 最後に時間が不足してしまったのだが、初年次から始まり2年次にある落ち込みの時期と3年次に入ってから就職活動がスタートする時期の間をどのようにブリッジするかが重要だということを指摘されてセミナーは終了した。

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 今まで複数の講演を聞いてきたけれど、今回のセミナーは3本の指に入る面白さであった。今までアクティブ・ラーニングと言うと、海外から輸入された手法をそのまま紹介しているような感じがして何か馴染めなかったのだが、今回は岩井先生ご自身が使われている手法をたくさん紹介して下さったので、非常に現実味あふれるお話だったと思う。アクティブ・ラーニング=授業の素材をどのように調理するか、ということなのかもしれない。このような新しい概念が入ってくると毛嫌いする大学教員の方が多いのだが(私も含む)、学生の満足度を向上させるために少しぐらいの努力は必要である。とは言いつつ個人的な理想は「90分間、板書もせずPowerPointなどの道具も使わず、喋りっぱなしの授業なのに、学生は誰も寝ない」である。でもこれができない内は小細工と言われようとアクティブ・ラーニングの導入などの努力は教員の義務だろう。セミナーの合間に「道具へのこだわりが重要」とおっしゃられていたが、裏写りしないペン、大型のポストイット、そして何よりセミナーで使われたPowerPointのスライドを見れば、いかに先生ご自身がこだわりを持っているかが理解できた。

 セミナーではないのだけれど、セミナー終了後、学習支援センタースタッフで先生を囲んで行った懇親会での話はこれまた刺激的で飲み過ぎてしまったことを追記しておこう。学会でもそうだが、真剣な話は実は夜に行われていたりする。

3月にバンクーバー行き


なので、検索してみたら。。。


意外と近いんだね。

2009年12月7日月曜日

最近の日常

最近のつぶやき

*図書館に導入されたSFX(リンクをクリックするとPDFが開きます)は便利!図書館のホームページの「データベース検索」から。google scholarとも連携しています。昔は文献複写を頼むときはタイプライター使ってたのにねぇ。詳細については時間がある時にまとめたい(ほんまかいな)。

*google日本語入力(まだベータなので使用は自己責任で)いよいよ登場!!まだ使ってないけど便利そう、無料だし。特にMacユーザーは「ことえり」と言う使い勝手の悪い日本語入力(でも愛着がわく)からスイッチしても良いかもね。ちなみに僕は今「かわせみ」と呼ばれるものを試用中。こちらも購入するにしても1,995円とお買い得です。

*本学で初年次セミナーが開催される。懇親会も内輪で開催。セミナーの内容については後日「研究」のブログにまとめる予定。セミナー自体も面白かったのだけど、懇親会は非常に勉強になりました。お酒を飲みながらまじめな話をすると言うのは面白くなさそうで非常に面白い。

*飲みに行って歩いて帰れるって最高!!!

*SHARPから発売されたNetwalker。実勢価格は3万円ぐらい?Microsoftの呪縛から離れるといろんなことができます。

*とりあえず2つ消化。年内に残り3つ?ガンバリマショウ。

2009年12月2日水曜日

iPhone買ったよ!

 と大声で叫んでみたいけど買ってない。自分の中では携帯電話のプライオリティーが異常に低く、いちいち携帯電話会社を変えたり面倒臭いことをしてまでiPhoneを買う意欲がないのです。と言うと「iPhoneは携帯じゃないよ!」とiPhoneユーザーたちは言うけどね。携帯電話のアドレス@マークの後に“i(小文字のアイ)”が付いている人はiPhoneユーザー。それを見る度、何だか切ない気持ち。この気持ちって、あの忘れかけていた気持ち!?(最近、駄洒落がマイブームだけど、自粛しておく)

 話は変わり、研究室のマウスがご臨終されました。ということで仕事にかかわることなので早速注文。注文したのは以前から気になっていたmagic mouse(http://www.apple.com/jp/magicmouse/)。指でさっとマウスの表面をなぞるとスクロールするところなんかはまさにiPhone(実物知らないけど)!!!しばらくこれで我慢。

12/8追記:MagicPrefをインストールするとmagic mouseの操作性が向上します。。。が、*potentially hard to useと書いてある操作を追加すると、笑える程操作性が悪化します。あしからず。

2009年12月1日火曜日

最近の日常

その1)学習支援センターで「ドキュメンタリーアワー」開催中。
次回の詳細はこちら。教職員,学生の垣根を問わず良質なドキュメンタリーを見て意見交換しましょうという発想から始まったこの企画。第2回目に参加しましたが,面白いですよ。このブログを観た人は次回お会いしましょう(学習支援センター関係者だから言うのではなく,特に若い人たちはこういった企画に参加するべきだと思う)。

その2)今年最後の出張
になるのかな。週末に行ってきました。あとは年が明けて1~2回勉強がてら何かの学会に行ければ良いかなぁ。でも春休みは既に予定がぎゅうぎゅう。今回の出張では陸上の朝原宣治さんを見かけた。テレビで見るよりは小柄な印象(とは言え180センチ近くある)だったけど,スーツをびしっと着て格好良かった。新大阪駅でたこ焼き買ってたよ。

その3)師走突入!
え!マジで!今年は既に忘年会の予定が複数入っていて嬉しいのだけど,し,し,しごとが。。。

学会創立30周年記念 大学教育学会

 大学教育学会2009年度課題研究集会が11月28日(土曜日)、29日(日曜日)の日程で行われた。統一テーマとして設定されていたのは「学士課程における教養教育再考」。1日目の会場は御堂会館、2日目の会場は大阪市立大学杉本キャンパス学術情報総合センターであった。以下、覚え書き。

一日目
鷲田清一(大阪大学総長)
「教育への問いかけ」
 
 教育における倒錯を幾つか具体的に述べ、大学教育として身につけるべき能力は「分からないものに分からないまま対応する」タフな知性が必要と結論付けた。具体的には、大阪大学では大学院においても教養教育を始めたということである。具体例を多く交え、聴衆を意識した話し方でとても興味深かった。

シンポジウム
「学士課程における教養教育のあり方」
後藤邦夫(学術研究ネット)
「教養教育」の再定義とカリキュラムの設計、運営、評価
藤田英典(国際基督教大学) 「
グローカル化」時代の学士課程教育と教養教育
奥野武俊(大阪府立大学)
「学修成果」目標の策定とそれに基づく教養教育のあり方」

盛りだくさん過ぎて消化に時間がかかりそうなのだけれど、カリキュラムの構造として挙げられた2つ、  「統合型」:ヨーロッパの古典的大学。プログラム完結時の統合的評価。  「モデュール型」:アメリカ、日本の4年生大学。コースごとの達成を積み上げる。

 日本は両者が混在しているという問題の指摘が面白かった。その他、興味を持ったことは以下のとおり。

フンボルトの理念 教師は研究者、講義は知識の伝達だけではなく真理を探求する姿を見せる、知的な興味を持たせる、学生は一人の真理の探究者、自ら学習する。

島田博司「大学授業の生態誌」近年の学生についての本

二日目
シンポジウム
「学士課程教育」はどうあるべきなのか?

杉谷祐美子(青山学院大学)
「学士課程教育」というコンセプトはどのようにして生まれてきたのか~歴史から現状へ~
山田礼子(同志社大学)
「学士課程教育の現状と課題」
濱名篤(関西国際大学)
「学士課程教育」のこれからの行方~課題から解決(策)へ~

 1980年代半ば、米国における大学教育改革論の盛り上がりからundergraduate教育が導入され、現在の「学士課程教育」と言う言葉が生み出された。その歴史的背景から現在の課題およびその解決法までを概観したシンポジウム。知らないことが多かったので非常に興味深かった。また指定討論者として登壇された羽田貴史氏(東北大学)のコメントは刺激的かつユーモアに富んでいて面白かった。アメリカで採用されているようなCLA (Collegiate Learning Assessment)を用い、大学卒業時の能力を共通で測定すべきか、学外有識者を参画させ、評価をより客観的なものにするべきか、などの視点が取り上げられた。決してそうではないのだろうけれど、「アメリカの大学教育がベストだ」という前提があるような気がしてしまう。近年大学現場においてはいろいろな意味で締め付けが厳しくなってきているけれど、それが悪い意味ではなく良い意味であれば問題ないのだろうけれど。。。

シンポジウム
「大学人」能力開発―学生を視野に入れて考えるー

佐々木一也(立教大学)
これまでのまとめと展望
本郷優紀子(桜美林大学)
学生を視野に入れた職員企画の教職協働
秦敬治(愛媛大学)
学生目線からのFDとSD

教員研修(FD)と職員研修(SD)から「大学人」としてのスタッフ・ディベロップメントへという発想の転換。および学生を視野に入れることの重要性を指摘したシンポジウム。

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最近「学士課程教育」という言葉をよく聞くが、その背景などを聞くといろいろな思想が含まれているものだということが良く分かった。大学教育に携わっているという意味では関係者ではあるものの、こういった話は門外漢なので、難解な話だと思ったと同時に勉強になることも多かった。この学会での話が国の大学教育における政策決定にも影響力を及ぼすことが多いということであったが、だからこそこういった問題に様々な分野から様々な人が参加し慎重に議論をしていくべきだろう。毎回のように同じ人が話をするといったことになってしまうと、話の流れが議論の前に決定されてしまい、それが学会の総意として国の政策に反映されてしまうのではないかという危機感も感じた2日間だった。