2020年10月15日木曜日

2020年度後期授業実施方針について

 「2020年度後期授業実施方針について」というタイトルにしておきながら、9月14日に後期が開始してからすでに5週間が経過しようとしています。2020年度前期は入学式の中止、前期開始の延期、新入生ガイダンス実施後に前期開始の再延期および全面非対面授業への移行、と息をつく暇もない毎日でした。学生(特に新入生)のみなさんには多大な迷惑をおかけして心苦しいところもありましたが、4月時点での決断としては間違いではなかったと信じています。教員も今まで完全オンラインの授業なんてしたことがなかったので、毎日授業準備に追われました。本学は「教職員の出張および懇親会の自粛」という制限もあり、週末やお盆休みもほぼないまま前期を駆け抜けました(そのストレスがたたったのか、7月末には口の中に大きな潰瘍ができてしばらく治癒せず焦りました(その後快癒))。その間学内で半年間かけて慎重に議論をした結果、後期は制限付きではあるものの対面授業を再開することになりました。

対面授業を実施するにあたっての対策は「私が2020年度前期に担当する授業における方針」と同様のもので「いわゆる3密を避ける工夫(教室のサイズ・換気)」「マスク着用の義務付け」です。また通常の清掃に加え、「1週間抗菌作用が持続する液剤の塗布」「主要教室近くにアルコールスプレーの設置」も行われています。私が所属する学科は必修科目が多いため、学科として(1)1年生に毎日キャンパスに来る機会を提供する、(2)2〜4年生には少なくとも週1日はキャンパスに来る機会を提供する(残念ながらそうでない学生もいる)、(3)大学に来たくない学生には前期同様、全面非対面で授業を受講する権利を与える、という3つの方針のもとで授業実施形態を決定しました。

これらの学科としての方針にもとづいて各授業の実施形態については各教員の判断に委ねられたのですが(もちろん教室定員を制限するため希望通り全部が対面で実施できるわけではない)、私が後期担当する授業は10コマのうち対面6+非対面4という割合にしました。非対面のうち2つは大学院の授業でzoomで同時双方向で実施しています。非対面が故にやりにくいこともあるのですが、zoomを使う便利さ(参加者間の画面共有など)が勝ることもあり、前期同様zoomで実施することにしました。そしてもう1つの授業は対面で実施しようかどうか悩んだ末に非対面(オンデマンド)で実施することにしました。これは同僚である中西大輔氏に影響されたところが大きいのですが、「授業資料」と呼ばれる文字資料を学生はダウンロード(学生は学内入構可のため印刷版を取りに来ても良い)してその資料を読んだうえで、Moodleにコメントを投稿するという「目に優しい」形態で進行しています。文章だけでは辛い人もいることを想定し、授業時間内にはzoomを利用して30分程度同時双方向で解説もしています(参加は任意)。

対面授業については、ふたたび非対面授業に戻らざるを得なくなった時にも対応できるように

  • LMS(Moodle or Google Classroom)
  • LINEオープンチャットとtwitterアカウント
  • zoom
の3つをすべての授業において準備しています。また「教室内を常時換気」「学生との適切な距離の維持」「学生にプリントを配布する前に手指消毒」「学生が密集・密接する活動の抑制」「学生が教室内のものを触る活動をした後にアルコール消毒」を行い、体調不良の時には「積極的な欠席」をするように指示しています。以下、私が担当している対面授業の具体的な実施方法について書いてみます。

「英語学・英語教育学ゼミナールB」ハイフレックス型(対面・非対面両対応)

2年生を対象とした受講生24名のクラス。学習英文法について解説・演習を交互に行うスタイルで実施しています。履修者のうち数名は「非対面授業受講希望」のため、教室内にパソコン+高性能集音マイク+ビデオカメラ+三脚+iPadを持ち込んで設置し、教室内のスクリーンとスピーカーにzoomの画面を提示しながら進めています。ちなみにビデオカメラは黒板の方向に固定し、必要に応じて動かしています。これだけの機器を持ち込むので設置するだけで15分程度かかるのですが、対面・非対面の学生双方を指名して次々に解答させても、今のところほぼ違和感なく進行できています。前期には「ゼミナールA」という同様の授業があり、zoomで実施してもそこまで違和感がなかったのですが、教室で実施すると学生からの質問が数多く出るので、やはりできることならば教室で実施した方が効果的だと思います。

「卒業研究」zoom対応可

4年生を対象とした受講生14名のクラス。コンピュータ室を利用しますが換気があまり良くないので、受講生に窓を開けるように指示し、僕が教室に着いたらすぐに入り口のドアを開けるように留意しています(ただし山が近いのでカメムシと共存する必要あり...)。また授業終了後には受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。集中講義なので毎週実施する必要はないのですが、グループに分けて3週ごとに出席を必須としています(都合が悪い時は別のグループの時に参加可)。パソコンを持ち込んでいるので、希望があればzoomに対応することを受講生に伝えていますが、残念ながら今のところ希望はありません。

「初等教育(英語)」ハイブリッド型(zoom対応可)

教育学科の学生を対象とした受講生46名のクラス。初回は収容定員104名のクラスでやったのですが、古い講義室のタイプで学生間の距離が狭かったので2回目からは収容定員254名の教室をぜいたくに使って実施しています。活動重視の授業で、英語の発音練習をしたり歌を歌ったりしなければいけないので、実施形態に苦慮しています。教室内では大きな声で発音しなければいけない活動は最低限に抑えて、オンラインで動画を視聴し練習したものを録画してLMSに提出するハイブリッド型です。それにしてもマスクをしたままで発音指導をするのはかなり大変です。今度の授業でモデルとして英語の歌を歌わないといけないのですが、マスクをしたままでは指導が難しいので、教室にパソコンを設置しプロジェクターに投影、私は別教室にタブレットを持って移動し、マスクを外した上で歌う様子をzoomで中継するといった実施方法を考えています(うまくいったらまた報告します)。

「英語学・英語教育学ゼミナールC」(zoom対応可)

3年生を対象とした受講生17名のクラス。CALL教室を利用するので、授業終了後は受講生に協力してもらいアルコールスプレーとペーパータオルでキーボードとマウスを消毒しています。この教室は職員の方が利用前に換気を徹底して行ってくれているので助かります。授業は文献講読を主に行うので、iPadに書き込みする画面をセンターモニターに提示しながら進めています。学生の発表者は前の空いている席に移動してもらい、そこで発表します。この授業は前期も同じ受講生でzoomを利用して実施していたのですが、やる内容自体はzoomでも教室でもあまり変わりません。もちろん学生の顔を見ながら授業をする方が断然やりやすいですし、学生からの質問にも適宜対応できるので助かります。

「応用言語学研究指導II」(zoom対応可)

大学院の指導学生1名を対象としたクラス。本人の意向を確認した上で、研究室で実施することにしました。今となっては研究室に訪問してくる学生もほぼいないので、週に1度唯一研究室を訪れてくる学生です。当然ながら換気に注意し、窓およびドアを解放しマスク着用の上で実施しています。今は心地よい季節ですが、冬がちょっと心配...。

「English Online II」(zoom対応可)

1年生を対象とした受講生143名のクラス。クラスの名前の通り、以前から基本的にはオンラインで自習形式で実施する授業なのですが、ホームルーム的な意味合いを込めて収容定員434名の教室をぜいたくに確保しています。が、ほとんど誰も来ません(笑)。定期的にミニテストを実施するため、その週には教室に来る必要がありますが、「全面非対面授業を希望」する学生はzoomを利用してミニテストを受講することもできます。

後期開始前はすべての授業を「ハイフレックス型(対面・非対面両対応)」にしようと思っていたのですが、準備が大変な上に両方の授業形態で質を保つのが難しいので、1つの授業のみで両対応という結果になりました。両対応の授業も結局は黒板を写しているだけなので質を担保しているとは言い難いのですが、非対面で参加している学生が毎週書いてくれるコメントを見る限り、教室で受講する学生と同様にしっかり課題に取り組んでくれているように思えます。教員も学生もマスクをしたまま授業をするなんて不自然な光景を想像して「それだったらオンラインのままが良い」と考えた時もあったのですが、いろいろ大変なことがあるものの、やはり対面授業は良いですね。何とかこのまま15週乗り切りたいものです。



2020年5月7日木曜日

2020年度前期授業の実施方法について

 以前に投稿したのは4月9日。当時は4月20日から対面で前期授業を開始する予定でしたが、その後事態は変化し続け、前期は非対面型授業(本学公式の呼称)での実施となりました。当初は通信制限のある学生のことを考え負担の少ない授業を実施しようと考えていましたが、その後 (1) 学修継続支援金の支給、(2) パソコンの貸与、(3) どうしようもない時は本学情報演習室の利用許可、という体制が整ったため、学生の通信制限についてはあまり気にしなくても良くなりました。一方で学生が90分丸々動画を見続けるのは辛いと思うので、多くの授業は「短めの動画 (ライブ) + LMSでの活動」という形で実施しようと考えています。
 4月20日から一部のクラスで非対面型授業がスタートし今日5月7日から正式にすべての授業がスタートしましたので、以下授業の実施方法の主なパターンについて備忘録がてらまとめておきます(前期は非常勤を含め10種類10コマ担当)。なお当初は本学公式LMSであるMoodleを利用しようと思っていたのですが、先行開始した大学で次々に大学公式LMSが落城する様子を見て、ビビってGoogle Classroomに移行しました...(4月20日に先行してスタートした2つの授業はそのままMoodleを継続して利用)。

その1: テキスト+ zoomによる解説 (約30分) + LMSでの活動 (同期・非同期)

 10コマのうち4つのクラスではこのような形態で授業を実施します。テキスト (配布資料) があるので、そのテキストをzoomを利用しながら解説します。解説したデータ (動画・音声・板書) はLMSに掲載し、後日確認ができるようにします。またMinute PaperやGoogleスプレッドシートなどを利用した非同期・同期型課題を行うことで出席としてカウントします (後日教員からの解説およびフィードバックあり)。カメラのオンは強制しませんが、適宜マイクをオンにして発言してもらったり、同期で意見交換をしてもらいます。

その2: zoomのみ

 3つのクラス (主に大学院) は10名以下ということもあり、zoomのみで実施します (原則カメラ・マイクともオン)。演習科目については適宜画面共有機能なども用います。

その3: テキスト+ zoomによる解説 (約60分) + LMSでの活動 (非同期)

 2つのクラス (ゼミや卒業研究指導) はテキストの輪読や個別あるいはグループでの話し合いが多いので、zoomを利用し順番に学生を当てながらテキストの輪読をしたり発表をしてもらったりという形で実施し、Minute Paperを提出 (それに対してフィードバック) することで、出席としてカウントします (カメラのオン・オフは任意)。

その4: 学習アプリ + LMS + zoomオフィスアワー

 この授業はそもそも課外でアプリを利用したオンライン英語学習を行ってもらう授業形態でここ数年行ってきました。ということで「アプリで週3レッスン終了 + Minute Paperの提出」(それに対して個別のフィードバック) をもって出席としてカウントします (時間割通りに学習する必要なし)。また授業時間内はWebexを利用したオフィスアワーを実施して、適宜質問を受け付ています (カメラはオフ)。

 以上、いろいろ悩んだ末、原則はビデオ会議システムを利用してライブで授業をするという形態に落ち着きました。ですが、オンデマンドで授業時間外にも学習できるようにデータを蓄積していきたいと思います。またLMSやメール以外の連絡手段として授業用のtwitterアカウントを作成し授業内容について適宜つぶやくとともに、一部のクラスではLINEオープンチャットを開設しました。
 準備は大変だし、やろうとしている授業形態が正解かどうかわからず悩ましいのですが、とりあえず動き出して修正しながら進んでいきたいと思います。いまだに悩んでいるのはビデオ会議システム利用時のカメラのオン・オフについてです。初回の授業で「カメラはオンにして参加してください」と指示すれば、おそらく多くの学生はカメラをオンにして参加してくれると思います。ただしオンラインでまだお互いをよく知らない学生に対して顔出しをすることを躊躇する学生がいることも考えられます (通信の安定性にも懸念がある)。また学生の多くがカメラをオンにする権利を持っているというのは教員側にとって怖いことでもあります (少なくとも僕にとっては)。ということで当面は一部の授業を除いて「カメラのオンは義務付けない」という形態で実施したいと考えています。まあでもカメラを通して学生の顔を見ると安心できるという気持ちはよくわかります (僕の非対面型授業時の孤独感は半端ない!!)。

2020年4月9日木曜日

私が2020年度前期に担当する授業における方針

 新型コロナウイルスの蔓延にともない刻々と変化する状況に対応するため、私の勤務する大学では学長を本部長とする緊急対策本部が設置され、2020年4月20日(月)に延期した前期授業開始日に向けて、連日のように長時間の会議を行なって対応を検討しています。「学生・教職員の行動の自粛」「通学時のバスの混雑緩和」「いわゆる3密を避ける工夫(教室のサイズ・換気)」「マスク着用の義務付け」など物理的な対策に関しては実行可能なありとあらゆる対策を講じる予定になっています。
 ただし状況次第ではゴールデンウィーク明けに再延期される可能性もありますし、最悪の場合は前期の対面授業は前期実施不可能ということも考えられます。現在教職員の間だけではなく学生の間にも混乱が広がっているようなので、取り急ぎ私個人が担当する授業に関する方針を示しておきます(暫定版なのでコメント歓迎します)。

2020年度担当授業における方針(2020年4月9日現在)
授業形態:
・テキスト+対面+Moodle(LMS)を利用した活動
物理的対策:
・3密にならない席の配置
・対面での活動自粛

 10年近くMoodleを利用した授業を実施しており、近年はほぼすべての授業でMoodleを活用しています。このことから対面授業を予定通り開始し継続できるのであれば、この授業形態を踏襲します。ただし、通常であれば教室内におけるペアワークなども積極的に行わせていますが、今年度に関しては原則として学生が向かい合って行う活動は行いません
 また体調不良の学生および通学を躊躇する学生には、「積極的に欠席する権利」を認めます(これは2018年7月の西日本豪雨の時にも学生に伝えたメッセージです)。欠席した場合でも授業をフォローできるように、LMS上に内容の概要および板書の写真をアップロードします。
 4月20日に予定通り前期を開始できない場合、あるいは開始したとしても休校になった場合にはZoomなどのビデオ会議システムを利用しますが、いわゆる90分遠隔授業のような形ではなく、「LMS上での活動+短めの動画+オンラインにおける少人数のやり取り」に活用する予定です。

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以下は上記の方針に至るまでに学内で検討し共有した内容です。遠隔授業について何も知らない人は「90分間ライブで中継する」といったことを考えてしまうかもしれませんが、物理的に不可能ですし、単調な90分間の動画を見続けるほど学生は暇ではないでしょう。だとすれば、物理的にも可能で、各教員が背伸びをせずできる範囲でやれることをやりましょうという趣旨です。

文部科学省の定義する「多様なメディアを高度に利用して行う授業」
その1: 同時双方向型(Zoom, Google Meet, Microsoft Teamsなど)

その1における課題
  • 4月以降多くの教育機関が遠隔授業を行うことが予想されるため、どこまでできるか未知数。
  • 多くの教員が同時に学内からビデオ会議を実施することは、物理的に不可能(自宅から行うことも選択肢の1つ)。
  • ゼミなど少人数クラスには適しているが、学生側の通信環境を確認する必要がある。
  • 遠隔授業を行うための設備投資(カメラやマイク)やトレーニングが必要で、多くの教員にとって90分間飽きさせない授業を行うのは困難。
その1における対応策
  • 実際に利用を検討する人は状況が悪化した時だと思われる(つまり4月以降)。そのため今年度中に利用を開始できるようにするための予算措置が必要(可能であればサポートするための人員も)になる。
  • 実際に体験してみるために、4月前期授業延期期間のどこかで1度Zoom接続テストを実施してみる。
  • ビデオ会議(双方向)とウェビナー(動画配信+チャット)の使い分けの検討が必要になる。

その2: オンデマンド型(LMS等を利用した動画や音声、資料などの配信)

その2における課題
  • 本学でLMSとして利用可能なものは主にMoodleおよびGoogle Classroomだが、使うためにはトレーニングが必要。
  • 容量の制限(Moodleでは長時間の動画などをたくさんアップロードできない)。
その2における対応策
  • Moodle利用教員を中心に、体験できる場(オンラインが望ましい)を設定する。
  • クラウド・ストレージ(Google DriveやDropbox)やMOOCなど外部のサービスを活用する。
現時点で考えられ得る現実的な対応策
  1. 基本はその2のオンデマンド型(LMSの活用)を採用し、文字を活用した情報や課題を提供し、必要に応じてその1のビデオ会議などを採用する。できない人はメールや郵便のやり取りでも良いかもしれない(オンラインである必要はない)。
  2. 著作権に留意しつつMOOCなど公開されている教材を利用して、補習用の教材を教員が作成するという形式も考えられる(1〜2回程度の緊急措置であれば)。
気になること
  • 履修登録期間は早い方が良い(仮でも良いので1度履修登録を終わらせておけば、オンライン授業での対応が迅速に行える)。教科書の購入についても同様。
  • オンラインで授業を行うのであれば、学科ごとに学生向けガイダンスが必要。
  • 教員の行動変容が必要不可欠(授業や会議の実施方法)。

私の勤務校で現時点(2020年4月9日時点)で利用できるもの
 同時双方向型(ビデオ会議)に利用できるものとしてGoogle Meet、Microsoft Teams、Zoom(教育機関として申し込み済みなので2020年4月末まで制限なしで利用可能)、LMSとしてはMoodleおよびGoogle Classroom。

そのほかにもcisco Webex、Skype Meet Nowなども無料で利用できる。

参考URL
新型コロナ対策・オンライン授業のためのブックマーク
https://www.notion.so/66568dc20cf9425081cbcd2a2bc587f9?v=6bdaefbaa5164c26bb0a88bba562ad7d
新型コロナウイルス感染症対策に伴うICTを活用したオンライン教育等の取り組みについて
https://www.nii.ac.jp/news/2020/0325.html
東京大学「新入生・在学生のための, オンライン授業を受けるための準備」
https://utelecon.github.io/oc/
大阪大学オンライン授業実践ガイド
https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp/project/onlinelecture/
専修大学「大学のオンライン授業を展開するための簡易ガイド」
http://senshu-iis.jp/?p=1102
山梨大学教育センターオンライン授業の実施について
https://www.che.yamanashi.ac.jp/20200318-2/
オンライン授業のための情報まとめ
https://digitalnagasaki.hatenablog.com/entry/2020/03/15/002904

zoomパーフェクトマニュアル
https://zoomy.info/zoom_perfect_manual/
これからZOOMでオンライン授業をしようと思っている教員の方へ
https://qingyuan.sakura.ne.jp/wp/?p=4121
Zoomを用いた遠隔オンライン授業の実施運営に関する資料
https://drive.google.com/file/d/1hNTRmQqChjopLb6xZtRUpKu_cJrzCEgf/view?usp=sharing
大学等遠隔授業におけるLINE Open Chatの利用について
https://www.dropbox.com/s/9vajq7v6chaixfi/大学等遠隔授業におけるLINE%20OpenChatの利用について_20200331_a.pdf?dl=0
Moodle事始めマニュアル(授業事例集あり)
https://sites.google.com/site/ozawashinya/elearning/moodlemanual
中西先生Moodle講習会資料(2019年9月11日)
https://www.dropbox.com/s/pjf2c0nfn23x4d3/20190911Moodle講習会.pdf?dl=0
そのほかの参考資料
「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」
https://www.mext.go.jp/content/20200324-mxt_kouhou01-000004520_4.pdf
「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/09/10/1409011_6.pdf
「学事日程等の取扱い及び遠隔授業の活用に係るQ&A等の送付について」
https://www.mext.go.jp/content/20200401-mxt_kouhou01-000004520_6.pdf
「大学等における臨時休業の実施に係る考え方等について(周知)」
https://www.mext.go.jp/content/20200401-mxt_kouhou02-000004520_04.pdf
「新型コロナウィルス感染症対策に伴う学校教育におけるICTを活用した著作物の円滑な利用について」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/92080101.html

2020年3月18日水曜日

2019年度前期・後期授業アンケート

 2019年度に行った授業アンケートの結果です。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。ちなみに質問項目は2分類に分かれており、以下の通り。

【授業の体系性】

授業内容は授業計画と一致していましたか。
授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                             
授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。          

【教授方法・講義内容】

教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。 
教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。 
学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。
学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。             
授業の内容は理解できましたか。                                     
授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。
教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。
黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。


英語学・英語教育学ゼミナールA」履修者数22名(回答者数22名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.9)
【教授方法・講義内容】 設問平5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【自由記述欄】
  • 「文法説明→演習」の流れがあって理解しやすかった。
  • 文法を今までよりも深く考えることができたこと。moodleを使った宿題が多く、調べて考える力がついた。
  • 文法を深くみていくおもしろさがあった。後期は違うゼミだけど、このような学習を自分でも続けたいと思う。
  • 先生の説明が分かりやすく、なじみやすい和やかな雰囲気を作ってくださったので積極的に参加しようと思える授業でした。
  • 他の授業では、あまり使わないCOCAというものを使用し授業を出来たこと。わからないことがあれば質問出来るような状態にしてくださったこと。
  • 自分では探せなさそうな英語のアプリを教えてもらって、実際に授業で使って使えれるようにしてもらったところ。
  • 様々な資料を授業でやったことを使って考察していくところ。映画や音楽を使っているのはおもしろかった。
  • ペア(グループ)ワークがあったところ。
  • Googleの検索方法や様々なサイトを教えてもらえたのが良かったです。
  • ネットを使うところが多くて、わからなくなる時が何回かあった。
【総括】
 2017年度に導入した新カリキュラムから、今まで3年次にあったゼミを前倒しにして2年次から受講できるようにしました。履修者数は最大25名なのであまりゼミの雰囲気はありませんが、英文法についてできるだけ身近な例を取り入れつつ、また難易度の高い練習問題も取り入れつつ試行錯誤をしながら授業を進めていきました。2018年度にはじめて開校した授業を改善しつつ「文法説明→文法練習問題→ツールを使っての演習」という流れで行いましたが、高評価をしてもらいました。ただし携帯電話などのツールを利用することが苦手な学生もいるので、サポートをもう少し手厚く行うと思います。

英語学・英語教育学ゼミナールC」履修者数15名(回答者数15名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.9)
【教授方法・講義内容】 設問平4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【自由記述欄】
  • 雰囲気が良くてみんな頑張っていたので、分からないなりに私はベストを尽くすように頑張りました。
  • 使っていた教材は理解しにくい箇所もあったが、先生の言い換えやまとめ方が分かりやすく、理解できた。
  • パソコンを使ったり、ホワイトボードを使ったり、うまく使い分けられていたので内容理解がしやすかったです。先生の話もおもしろく、授業自体が楽しかったです。
  • 質問のしやすい雰囲気だったところ。板書をパソコンで表示して下さり、とても見やすかったところ。
【総括】
 2019年度にはじめて開講した3年生を対象としたゼミナールの授業です。情報演習室で授業を行いましたが、専門書の購読だけではなく文法の説明や小テスト、ツールを使った調査なども行いました。基本的に少人数のクラスは高い評価をしてもらうことが多いのですが、今回は「授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。」「教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。」「教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。」「黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。」という質問項目に対して無回答の学生がいました。こういう時は具体的に教えてくれた方が助かるのですが、「無回答=何か気に入らないことがあった」ということだと思うので、何かしらの改善をしたいと思います。

英語の諸相II」履修者数45名(回答者数42名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.9,受講者数平均4.9)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【自由記述欄】
  • プリントと教材を混じえて授業を行うことで分かりやすく学習できた。
  • 先生の絵が独特でした。
  • 先生が面白くて可愛かったです。
  • 今まで感覚的に使っていたけどあらためてポライトネスや発話行為をしっかり学べてよかった。
  • 難しい問題には必ずと言っていいほど例を挙げてもらえるところ。
  • 楽しく理論を覚えることができて、よかったです。
【総括】
 この授業は意味論・語用論について講義形式で授業を進めます。テキストはYuleのPragmaticsを利用しています。理解補助プリントを毎週配布し実際の例も示しながら解説し、最後に映画を観て語用論的な視点から分析することを目指しています。OHCを利用してテキストやプリントに書き込んだり、Appele Pencilを利用してiPadに書き込んだり、ということをしています。今年度は欠席や遅刻をする学生が多数いて、授業運営上コントロールしきれなかったところが反省点です。2020年度はeラーニング課題を取り入れた授業に改善したいと考えています(ここ数年検討しながらなかなか実現できていない)。

【総括】
 評価としては概して高かったと思うのですが、個人的には反省する点も多々ありました。また今回授業アンケートは実施しませんでしたが、導入3年目のEnglish Onlineについては学習時間の増加をねらって、「原則毎週授業に出席」というルールに変更しました。基本オンラインで実施する授業なのに矛盾している気もするのですが、「誰かが学習の進捗状況を見ている」という意識を学生に持たせる必要があると思ったからです。この授業については様々なデータを取りつつ検証しているので、5年以内(あと2年)により良い形に持っていきたいです。

2020年2月25日火曜日

新型コロナウイルスとカナダ留学プログラム中止までの経緯

1年以上かけて準備をしてきたカナダ観光英語プログラム(2020年3月22日〜30日)の実施について2020年2月20日(木)に学部長と相談の上で、中止することを決定しました。苦渋の決断ではありましたが、決断に至るまでの経緯を備忘録がてらまとめておきます。

観光英語プログラムがない

私が所属する英語英文学科には卒業後の進路としていわゆる観光業(旅行会社やホテル、航空会社など)を考えている学生が一定数います。でも他学部には観光について学ぶ授業科目があるのに、英語英文学科にはそのような科目がありません。ということで10年以上前からそのような科目を作りたいという想いを抱いていました。ですが実現するための障壁がいろいろとあり諦めかけていた2017年、以前の卒業生から突然連絡をもらいました。その後2018年4月に彼女に会うことになったのですが、話を聞くと彼女はカナダで日本人のカナダ留学をサポートする会社を立ち上げたとのことでした。そこで軽い気持ちで「観光に関連する留学プログラムがあれば良いと思っているんだけど、何か面白い企画があれば採用してあげるよ。」と上から目線で(笑)お願いしました。

するとこの卒業生がまたできる卒業生で、カナダの大学に連絡を取り早速プログラムの原案を作成してきました。私の最初の希望は「授業+企業でのインターンシップ」だったのですが、ビザの関係でインターンシップは難しそうだとのことで、「授業+企業視察」というプログラムに落ち着きました。私の勤務校では国際センターが留学プログラムの担当ですが、今回はあくまでも試験的に実施するということで、学部予算を利用し私が引率して学生に奨学金を支給するという形に落ち着きました(と簡単に書いていますが、当然ながら学内の調整には時間がかかりました)。

参加者が集まらない

2019年度に入りいよいよ募集開始です。試験的なプログラムなので管轄部局もなく、すべて私個人でやらないといけません。2019年5月に英語英文学科の学生を全員を登録しているMoodleのニュースフォーラムを利用して、6〜7月に3回説明会を開催するお知らせを流しました。この留学プログラムの最少催行人数は10名(10名に達しないと一人当たりの金額が上がる)、説明会の参加人数は36名だったので、この時点では楽勝だと思っていました。説明会では「申し込み締め切りは9月末だけど、希望する人は7月末までに申込書を出してね」と伝え、気楽に待ちました。結果、7月末までに申し込んできたのはたったの2名...。9月末までに申し込んできたのは5名の計7名...。仕方なく再度Moodleで広報をし、プログラムに興味を持っていそうな学生に個別に連絡を取った結果、10月末にようやく13名の参加希望者を集めることができました(うち1名はその後キャンセル)。

ここまで人が集まらなかった原因は主に2つあると考えていて(1)開催時期、と(2)価格です。(1)については留学先と相談の上で「航空運賃がそこまで高くなくキャンパスに学生がいる時期」ということで3月末に設定したのですが、このプログラムに興味を持つ3年生にとっては就職活動がスタートしている時期であるため、複数の学生から「時期が悪い」と言われました。(2)については航空運賃を含めて総額で約30万円の価格設定でした。事情がわかる人にとっては決して高くない金額ですが、1週間のプログラムでこの金額の設定に躊躇した学生もいたようです。そもそも英語英文学科には留学を予定している学生が多く、他のプログラムと比較した時の割高感は否めなかったのだと思います。

ひとりでやりたくない

2019年度秋にようやくプログラムの実施が決定しましたが、そこからも大変でした。申し込み後はキャンセル料が発生することを了承してもらうための誓約書の作成、卒業生の会社とのやり取り(受け取ったメールだけで計72通)、留学先への支払い、航空運賃の支払い、などなど。責任を取る部局はなく私個人の責任でやっているので、何から何までプレッシャーでした。ただし幸いなことに参加希望学生の意識は高く、書類提出締切日をすぎる人、料金の支払いを忘れる人は誰もいなかったので、助かりました。そして1月29日には卒業生が一時帰国のついでに説明会に参加してくれ、彼女の今までの体験談やビザeTA取得の手伝いなどを行ってくれたので、これまた助かりました。そして何より学内の稟議ですべての書類を作成してくれた職員の方の有能さには頭が下がります。

1月29日の時点ではすでに新型コロナウィルスは流行を始めており、ダイアモンドプリンセス号のニュースが連日テレビで放映されていました。説明会当日に学生に言ったことばは「このままカナダでの感染者数が増えないようであればプログラムは予定通り実施します。ただし状況は読めないので万が一の場合には中止にすることもあります」でした。私がこの時点で危惧していたのはカナダの感染者数増加ではなく、日本人の感染者数の増加でした。感染者が爆発的に増加すれば日本人の入国を断られる可能性もあると考えていたのです。

決断できない

そこからプログラム中止を決めるまでの毎日は想像以上につらい日々でした。私が単独で行くのであればおそらくこのブログを書いている時期(2020年2月25日)でも中止という決断は下していなかったと思います。実際、2月8〜9日は家族旅行で山口、2月15〜16日は出張で沖縄に予定通り行きました(2月26〜28日の熊本出張も行く予定でしたが、学会が中止になりました)。

ですが今回は責任を取る部局もなく、何かあった場合には私が大きな責任を負わなければいけません(その後、学内調整の上で表面上の責任部局はできた)。新型コロナウイルスの感染者が増え続ける中で、2月上旬の大学の方針としては「中国でのプログラムは中止。そのほかのプログラムについては予定通り実施。」でした。ということで参加予定者が不安に思わないようにできるだけ情報収集に努め、参加希望者にもメールを送り続けました。頻繁に見たのは以下のサイトで、ほぼ時差なく感染者数の増加がわかります(精神衛生上見続けるのはお勧めしませんが)。

Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE

また同時に海外でどのようにニュースが報じられているかについての情報収集も行いました。統計上は日本の感染者数としてカウントされていませんが、クルーズ船ダイアモンドプリンセス号のニュースはどの英字新聞でも大きく扱われていました。またその際には必ずJapanという国名が記事の中に入っていることもわかりました。と同時に海外でアジア人を標的としたヘイトクライムのようなものも起きつつあるとのニュースが入ってくるようになりました。今回のプログラム参加者の中にははじめてパスポートを取ったという海外初心者も複数名いました。私自身も多少不安に思っているのに、このような学生および保護者はどれだけ不安に思っているかも気がかりでした。

この頃からカナダからも心配するメールが届くようになりました。また取り急ぎの決断としてプログラム実施1ヶ月前(2020年2月21日)までには実施の可否を決めて欲しいと言われました。そこで2月18日の時点で「広島では現時点では感染者が確認されていないこと」「本学の留学プログラムは予定通り実施されていること」を理由に、「現時点では予定通り実施します」とメールで回答を送りました。

実施できない

プログラム中止を決めた決定打となったのは神戸大学の岩田健太郎氏の告発動画でした(カナダにメールを送った後にYouTubeに投稿された)。現在は削除されていますが、英語でメッセージを発信したことにより、岩田氏の動画は1〜2日で世界中に拡散されました。このことにより海外で「日本では感染の封じ込めができていない」という意見が広まるのを危惧しました。また何よりも動画を見たあと、私自身が日本政府の対応を信用できないと思ったのが決断することになった大きな理由かもしれません。そこで学部長と協議の上で、2020年2月20日の午前10時に正式に中止を決定しました。

中止を決めた主な理由は以下の通りです。

・初海外の学生が2名おり、学生および保護者の不安は計り知れない
・日本国内(特に首都圏)においてイベントの中止が相次いでいる
 (日本国内および飛行機での移動が不安)
・万が一学生が感染したままカナダに入国した場合の対応が難しい
・アジア人の集団というだけで不安に思う現地の人も多い


楽観的に考えればプログラム実施予定だった3月下旬にはピークを過ぎているかもしれません。ですが悲観的に考えれば東京オリンピックの開催さえも危ぶまれる状況に突入しているかもしれません。何よりも先行きがわからないのが怖い。各国のニュースおよびSNSをチェックすれば途方もない量の情報を入手することができます。ですが、誰しも未知のウイルスと戦っているわけで、専門家でない私がその莫大な量の情報を峻別することは不可能に近いと感じました。そこで「私が自信を持って学生の安全を保障する」と言い切れないのであれば、中止すべきだと判断しました。1年以上時間をかけて準備してきたプログラムを何が何でも実施したいという思いもどこかにありましたが、私だけが行くのならともかく、その意地にしがみついて実施するのは何か違うと感じたのです。

終わらない

ここで終わりのはずですが、キャンセル料の支払いなどの手続きにまだ追われています。今回の特別な状況を勘案して、カナダの留学先の大学および卒業生の会社はキャンセル料(ひとり500カナダドル)を免除してくれました。航空運賃はすでにキャンセル料が発生する時期になっていましたが、これについても大学の柔軟な対応で私の勤務校が負担するということになりました(おそらく3月に入ってからのキャンセルだと大学は対応できなかった)。

せっかく1年以上かけて作り上げてきたプログラムなので2020年度の同じぐらいの時期に再チャレンジできればとも考えています(学生募集から始まり一連の大変なプロセスを繰り返すのはちょっと嫌ですが)。そのためにも「(学生は行かないが)私は予定通り3月にカナダに視察に行ってくる」と主張したのですが、「目的外」ということであっさりと却下されました...。残念!