2009年8月22日土曜日

世間の常識・非常識

 しょうもないけどいまだに気になること。それは美容院、歯医者で上を向いているときに目を開けるか閉じるかということ。僕の中では美容院=目を閉じる、歯医者=目を開ける、が常識だったのだけれど、どうやら歯医者では目を閉じるという人も多いらしい。歯医者で目を閉じると何だか負けた気がするのか、意地でも目を閉じたくない自分がいたりして。これって世間の常識?非常識?
 そういやこの前、親知らずを抜いたときに目隠し用の布をかけられた。これってやっぱり目を開けたままの人が多いってことじゃないのかなぁ。。。

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ちなみに親知らずを抜いたその日は頭痛、咽頭痛、発熱のトリプルでダウンし、次の日は飴玉を舐めているように頬がふくらんでましたとさ。残る親知らずあと一本。とりあえずは、はえているのを知らないことにしておこう。

ちなみに親知らずを英語で言うとwisdom teeth (tooth)らしい。文化の違いって面白い。最後に親不知とは新潟県糸魚川市外波(となみ)から市振までの海岸。間違えないように。って話がずれた。。。

2009年8月21日金曜日

最近の研究業績:Perspectives in Lexicography: Asia and beyond

Ooi, V.B.Y, Pakir, A., Talib, I. S., and Tan, P.K.W. eds. Perspectives in Lexicography: Asia and beyond. Kdictionaries.

2005年にシンガポールで行なわれたASIALEX国際学会で発表されたものの中から幾つかのものをピックアップし出版したもの。“Electronic dictionaries in the classroom” (p. 129-137)というタイトルでJ.M. Ronald先生との共著論文が掲載されています。

出版までに時間はかかりましたが,何はともあれ海外の出版社から本が出るというのは嬉しいもの。おそらくこれが最初で最後でしょう(笑)。お近くの図書館に1冊どうぞ。

2009年8月12日水曜日

エスカレーターの乗り方


http://ja.wikipedia.org/wiki/エスカレーターより

 ロンドン・ワシントン市・香港・ソウル・モスクワなどの地下鉄では右に立ち左を歩行者に空けており、シンガポール・オーストラリア・ニュージーランドなどでは左側に立ち右側を歩行者に空けている。必ずしも各国の道路通行の左右とは一致しない。(ソースは2007/10/28時点のwikipedia英語版)日本では関東、福岡及び北海道、長野、岡山、京都、滋賀、東海では乗り込む際に左側に立ち右側を空け、京都・滋賀を除く近畿及び仙台では右側に立ち左空けとなっている。 ただ、単に前に居る人に合わせる等、左右のどちらかを空けるという習慣そのものがない地方も多い。
 
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 今回出張続きで改めて感じた不思議。それはエスカレーターの乗り方。近畿地方の多くの県でエスカレーターの右側に立つのは何故か。近畿特有の地域性かと思えばなぜか仙台でも右側とは!!!出張先で新幹線やJRの駅でエスカレーターに乗ると,必ず混乱に巻き込まれる。特に広島では左側立ちなので,関西に行く時には要注意。


全国英語教育学会2009覚え書き

 2009年8月8日(土曜日)~8月9日(日曜日)に鳥取大学湖山キャンパスで開催された全国英語教育学会に参加した。大学院修士課程から現在に至るまでの自分の研究の礎になっている学会なので、知っている顔もあり参加するたびにホームに帰ってきた気がする。発表者も中、高から大学の教員、そして大学院の学生まで幅広く、同じ時間帯に20室近い教室で発表が行われるという、おそらく英語教育の分野では1、2を争う規模の学会であろう。長かった梅雨も終わり、汗ばむ夏の日差しの中で行われた研究大会、幾つかの感想を(関係ないけど、鳥取ほっこり(日本語か?)してて良い。けど都会と田舎の格差がここまであると日本の将来は危ういな)。

木村恵・杉森直樹 「E-learningによる継続的エッセイ・ライティングの効果検証」

 オンラインによるピアフィードバック活動を取り入れた新しいエッセイライティングのためのE-learningシステムを作る『「エッセイ・ライティング用e-learning教材+学習者間評価システム」の構築』プロジェクトの一環。
 対象は英語学科でE-learning: Short Essayの授業を受講した1年生50名(TOEIC750点以上)。春は対面式、秋学期は非対面式で週1回エッセイを提出した。ステップとしては、1)ETSのCriterionを用いてエッセイを提出、2)パートナーとのエッセイ交換、添削、評価、3)エッセイを受け取る、というもの。2)、3)については開発中で、今後はこの作文データを用い学習者コーパスを作成し、ICLEとの比較も視野に入れている。収集されたエッセイは951.総語数は約38万語、トピックは24、トピックあたりの語数は398.7語。平均スコアは4.8(4~5.5)。L2ライティング及びコーパス言語学にかかわる先行研究(Wolfe-Quintero, K., Inagaki, S., & Kim, H.-Y. (1998). Second Language Development in Writing: Measures of Fluency, Accuracy, and Complexity (Technical Report #17). University of Hawai'i: Second Language Teaching and Curriculum Center.、Brown, 2000など)を参考に以下の指標を採用した。

流暢さ:
総語数
統語的複雑さ:
平均文長、接続詞の正規化頻度、前置詞の正規化頻度、to不定詞の正規化頻度(CLAWSを用いる)
語彙的複雑さ:
語彙の豊富さ、語彙密度、語彙の洗練度(JACET8000を用いてLexical Frequency Profileを作成)
内容の複雑さ:
一般的・抽象的語彙の正規化頻度(USASを用いて付与された意味タグのうち、general and abstract termsと判定された語)、心的行動・状態・過程にかかわる語彙の正規化頻度(意味タグのうちpsychological actions, states and processesと判定された語)
談話構造の複雑さ:
談話標識(プログラムによって付与された接続詞タグとそのほか同標識を数え、その頻度を正規化)

 通年の授業を4つの期間に分け、それぞれの平均値を分散分析した。結果、総語数のみ有意差がみられた。またJACETのレベル2の語彙使用数に関しては微増がみられた。
 自分が現在興味を持っていることもあり、非常に有益な情報を得られた発表であった。発表者も述べていたが、内容の指標に関してどのような指標を用いるかについては今後も検討が必要であろう。気になったのはこの分析を行うことによって何を見たかったのかということ。もしも1年間の授業を通しての英語ライティング力の伸びを見たいということであれば、総語数しか有意差無いという結果には疑問が残る。

平井愛・堀智子・磯部ゆかり・泉惠美子・里井久輝・薮内智
「絵描写課題における統語構造の質的分析」
杉浦香織・門田修平・斉藤倫子・中西弘・中野陽子・森下美和
「日本人英語学習者の統語産出傾向―絵描写課題における量的分析から」
 
 第一印象。発表者が多い。。。若手が多い。。。羨ましい(このような研究環境があることが)。2番目の発表はマックのKeynoteを使っていた。かっちょいい。それはさておき。。。
 絵描写課題を用い文産出について調査した結果の報告。ターゲットとした構造は二重目的語構造、受動態、接続詞、心理動詞を含む文。対象となったのは450名の大学生。40名の大学生を対象に行ったプリテストの結果選ばれた絵30枚とフィラーの絵6枚。順序効果の出ないように3種類のパターンを作成し、問題パターンは6種類となった。幾つかの具体的な絵も提示されたが、被験者は絵を提示され下の余白に1文の英語を書くというタスク。今後行う予定の統語プライミングの基準データとなるもの(?恥ずかしながらプライミングの意味が良く分からない。辞書によると先行する事柄が後続する事柄に影響を与えること)
 様々なデータが提示されたのだけれど、学習者の統語構造の選好性を見るために絵を利用したが、これは発表者自身も認めていたように思ったほどターゲットとした統語構造が産出されないという結果が表れていた。そしてこれはフロアからも意見が出されていたが、選好性というよりも絵の選択に難があったのではないか、あるいはこのような実験で用いる統計的手法に問題があるのではないか。学習者はどこまで考えて統語構造を使い分けているのか。例えば受動態と能動態なんて単純に書き換え可能であるとか、どちらを好んで使う、とか言うのではなくきちんと状況に応じて使い分けすることが出来ているのだろうか。この辺りのポイントを今後の研究発表で聞いてみたいと思う。また結果の解釈をJEFLLコーパスに求めていたりしたけれど、タスクが異なるのだから、無理に先行研究に解釈を求めない方が良いのではないかと感じた。いずれにせよ、たくさんの批判的意見も出たけれど、それだけ分かりやすいそして興味深い発表だったのだろう。

久留友紀子・正木美和子・金志佳代子・山西博之
「授業で使えるライティング・ルーブリックの開発―具体的な解釈例の提示の試み」

 JACET関西支部ライティング指導研究会第8次プロジェクトにより開発されたルーブリック(Nishijima, H., Hayashi, K., Masaki, M., Kinshi, K., & Kuru, Y. 2007. Developing a Writing Rubric for Classroom Use in Japanese Higher Education. JACET Journal, 45, 109-116.)を検証する試み。ルーブリックは分析的評価で内容・展開、構成、文法、語彙、綴り・句読点の5つの評価項目が4つのレベルにおいて規定されている。今までの研究結果に基づき、本研究では1)descriptorの困難な点、判断に食い違いが起こりやすい点を明らかにする、2)descriptorに変更を加え解決を図る、3)評価を行う際に必要となる具体的な解釈の例を作成する、を目的とした。大学生が書いた自由英作文をメンバー5人がそれぞれ分析した結果の報告。分析手法は一般化可能性理論の分散成分推定値を利用した。その結果を基に各項目における下位項目の特定、下位項目ごとにスタンダードを示す必要性、グループやコースの目的に合わせて相対的に評価できるようにレベルを設定する、などの改善が行われた。
非常に興味深い研究でした。しかし日本の英語学習者向けの評価基準という割にはあまり独自性が感じられなかったのが残念。

長橋雅俊
「日本人英語学習者におけるライティング・プロセスの研究―作文行為の量的観測と作文結果の関係―」

 SasakiやHiroseらはビデオ録画やプロトコルを利用し、書き手の行為を観察してきた。本研究はビデオ録画及びプロトコルを用いてサンプル数を高めた量的分析の可能性を探るもの。リサーチクエスチョンは1)草稿(planning)、推敲(drafting)、修正(revising)の過程においてどのような違いが見られるか、2)書き手の熟達度によって、作文過程にどのような違いが見られるか、3)個々の作文の運用は、プロセスにおけるどのような行為の違いが関係するか、の3点。参加者は大学生45名、大学院生11名(多様な専攻)の計56名。熟達度テストとして英検準2~準1級の語彙・熟語、文法、英検準2および2級の構文整序、TOEFL Practiceの文法性判断から計20問(信頼性 Cronbach’s α=.81)、TWEにならったタスクをCriterionで6段階で採点した。手法としては参加者の手元の様子をビデオ撮影した。そこでえられたデータを以下のように変量化し、クラスター分析に投入した。

Planning (1)下書き時間(秒)、(2)L2下書き文字数、(3)L1下書き文字数
Drafting(4)実質的なDrafting時間、(5)drafting開始後6分間の文字産出量
Monitoring & Revising(6)終了6分前の文字産出量、(7)消しゴム/訂正線で削除された文字数

RQ1:
Cluster 1:下書きの量は最少、総語数において最も流暢、実質的なDrafting時間最長
2:1に次いで流暢、違いはポーズの頻度・長さ
    3:Planningがやや長く、下書き量が最も多い
   4:Planning最長、総語数・削除量が最少→推敲せず下書きから清書へ転記したものが大部分。
   5:Planning時間が短く、下書きの量が1に次いで最少、ポーズが多い→実質的なdrafting時間が短い。

RQ2,3:
 流暢な書き手は、産出する言語量だけでなく、削除の量も多い。流暢さの面で、見熟達者は削除量も少ない。

RQ3:
 下書き時間は長いほど良いとはいえない。メモにとどめ適量で推敲にうつるべきl。

その他:
序盤と終盤の言語産出量に統計的な有意差なし、熟達者に特徴的とされる見直し行為が量的に確認されなかった。理由として考えられるのは、1)見直し、校正を慣行とする書き手が少数だった、2)より短時間で行われていた、3)推敲の途中で繰り返されていた、など・
 近年この発表者の研究を聞くことが何度かあったのだけれど、深い統計の知識を持った緻密な研究を行う方だと思う。ライティングのプロセスを量的に分析しようとという試みは面白いけれど、単純な量ではなく、質的な要素をカテゴリーしたうえで量的分析を行うなどしないと面白い結果がでないのかもしれない(言ってることが的外れかも)。プロトコルも取っているらしいので、今後の研究発表にも期待したい。

山西博之
「日本人英語学習者のライティングにおける方略使用、熟達度、複雑さの関係」

 ライティングのプロセス、プロダクト、熟達度の関連を探る研究。具体的には、それぞれ作文方略、統語的な複雑さ、英語運用能力テストGTECのライティングパートの点数の関連。対象者は国立大学の1年生179名。GTEC for STUDNETSの平均スコアは485(800点満点)。
 とても緻密な研究だと思いますが、結果は当然といえば当然の結果(発表者本人も言っていたけれど)。

石川智仁.2005.「EFLライティングにおける構造的複雑さの発達指標と熟達度の関係の検証:タスクに基づくアプローチ」.JACET Bulletin, 41, 51-60.
水本篤・竹内理.2008.「研究論文における効果量の報告のためにー基礎的概念と注意点―」.Studies in English Language Teaching, 31, 57-66.
Yamanishi, H. 2009a. Developing a questionnaire to assess Japanese high school students’ writing strategies for expository compositions: A pilot study. Studies in English Language Teaching, 32, 33-42.
Yamanishi, H. 2009b. Japanese EFL learners’ use of writing strategies: A questionnaire survey. 『JACEAT関西支部ライティング指導研究会紀要』8, 53-64.

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すごく綿密な研究が数多く行われているのだけれど、数字や統計手法を扱った研究が盛り沢山。時折英語教育研究の発表を聞きに来ているのか、数学の勉強をしているのか分からなくなることもある。それはさておき、たくさんの刺激を受けました。

外国語教育メディア学会(LET)2009覚え書き

 外国語教育メディア学会(LET)の第49回大会が「外国語教育のパラダイム:認知、脳、社会文化の統合に向けて」というテーマで、神戸市の流通科学大学で行われた(8月4~6日)。大会期間中に停電(?)がおき、空調が効かないなどというトラブルもあったが、その分熱い研究発表が数多く行われた。以下、幾つかの発表のまとめ。

小栗成子・柳朋宏・伊藤嘉奈子
「使える英文法習得のために優先すべきことーEFLライティングにみられる誤用傾向からの再確認―」

 2004年度から行ってきたオンラインでの添削指導で得られたデータに句読法、冠詞、前置詞、語彙選択、時制、態、不要語、必要な語の欠落、分割、統合、表現など20種類のエラーをタグ付けした。その結果、語彙選択上の誤りなど、動詞に関する誤りが多いことがわかった。そこで、動詞を中心に分析した結果、(1)名詞との不適合、(2)be動詞・一般動詞の混乱、(3)日本語の影響を受けたもの、(4)アクションイメージの欠如、に分類できた。
 本研究では和文英訳の質問紙を用いた調査(高校生650名、中学生300名、大学生1450名)の結果が報告された。質問紙は穴埋め形式で以下のようなものである。

[和文]朝食は何を食べますか?ふつうごはんを食べます。
[英文]What do you have (eat) for breakfast? I usually have (eat) rice.

 自由英作文のデータではなく、質問紙を用いて短文レベルの英語を分析するという手法は大規模調査において有効であり参考になった。このような研究に共通することだが、エラーのタグ付けをする際に何を参考にしたのか、及びその信頼性はどの程度のものか、またエラーの分類を行う際にはどうしても研究者の主観が入り込んでしまうが、分類が重複すると思われる際にはどのように解決したのか、について詳しく知りたいと思った。

西本有逸・新城岩夫・佐藤雄大・水野邦太郎
シンポジウム「認知・脳・社会文化を統合する視座と実践」

 大会のテーマにもなっている3つの視点を統合する試み(認知や脳についてはあまり触れられていなかったけれど)。その中で,水野邦太郎先生が実践されるIRC (Interactive Reading Community) http://ilc.eknowhow.jp/ の紹介を社会部中的な枠組みで説明された。社会文化的アプローチを取り入れるとどうも議論が哲学的になったり抽象的になったりしてしまいがちなのだけれど,実際にこのような試みとして行なわれているのは注目に値すると思う。

 
青木千加子
「プランニング活動としてのCMC (Computer-Mediated Communication)がもたらす第二言語習得への可能性」
 
 プランニング時に用いるチャットと,後のスピーキングタスクにおける意味交渉の分析。非英語専攻の大学2年生14名を対象とした。チャットのログとICレコーダーを用いて録音したグループディスカッションログデータはCOLTを用いて分析した。うーん,いろいろ思った気がするけど記憶が無い。

Spada, N., & Frohlich, M. 1995. COLT Observation Scheme. National Center for English Language Teaching and Research.

竹井光子・岡田あずさ・大澤真也
「効果的なブレンディングを目指して:第二言語習得研究からの示唆」

 広島修道大学で2007年度から導入された「修道スタンダード」と呼ばれる科目群の中に位置する「e-learning英語」をどのように改善してきたかということに関する実践報告。2007、8年の反省から授業外におけるeラーニングと授業内における対面学習をどのようにブレンディングさせるかについて、2009年度から行った授業についての報告を行った。キーワードは第二言語習得におけるinput, attention, noticing, focus on meaning, focus on form, explicit grammar instruction, outputなど。発表においてはTOEIC Bridgeのスコアの伸びなどの提示しながら説明を行った。
 このような実践報告にはつきものであるが、スコアの伸びがどの要因に起因するものかは明らかではない。このあたりの評価法については今後検討していく必要があると思われる。けれどもこのような場で問題意識を共有し、今後のeラーニングの発展について考えていくことは非常に重要だと思われる。

宮添輝美・神田明延
「LMSを用いたEFLブレンド型授業設計: BBSディスカション、Blog、Wikiを用いて」
LMS(Learning Management System)、moodleに展開したブレンド型の英語ライティングの実践例についての報告。moodleを使った実践はやはり面白そうだ。

小山敏子 「電子辞書使用の方略指導」

 以前に行った実践で暗示的に方略指導を行った場合にはあまり効果がみられなかったので、今回は明示的な方略指導を行った。対象は人文学部2年生14名で読解力を養成するクラス。事前に実施したクローズテスト(45語)の結果から、習熟度は初中級レベルと考えられる。テキストのユニットごとにジャンプ機能を用いて英英辞典で調べて記述する自宅学習用のプリントを用意した。このプリントの活用を動機付けるため、ユニット終了後に行う復習テストには語彙の定義を選択肢から選ぶ問題も設け、学習者はテスト時にプリントを用いることができた。
 このタスクを8週間実施し、実施期間の最初と最後に英文読解問題を配布し、電子辞書を用いて解答させた。またこのときに各自がとった辞書検索行動をたずねる質問紙を配布した。質問紙の内容としては

「辞書を引く前に、調べたい単語の意味を推測した」
「目的の単語を見つけてから、発音記号をチェックして、実際に発音してみた」

など。結果、明示的な方略指導は十分に定着していないことが示唆された。

 継続的な調査に基づき、実践をされているということで非常に参考になる。けれども、調査研究という意味では幾つかの疑問も残った。

1)        明示的、暗示的指導という言葉を用いているが、言語習得で用いられる明示的・暗示的という言葉との齟齬があり、誤解が生じるのではないか。
2)        学習者は賢いので、プリントを行う際に「テストで点数を取れる」ための辞書検索方略を身につけたのではないか。テストにおける語彙を問う問題が選択肢であることから、電子辞書を活用しなかった可能性も考えられるのではないか。
3)        電子辞書を利用する最終的な目標は何なのだろうか。方略を効果的に用いて語彙の習得、あるいは英語力を向上させることだと考えると、指導前後における使用法略数の増減だけでは理解できない側面もあるのではないか。

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 最近恒例になりつつある学会出張ウィークの第1弾。外国語教育メディア学会にはあまり知り合いがいないのだけれど,業者さんの展示という意味ではこの学会が一番だと思われます。

2009年8月7日金曜日

人と土地

 旅行先に行って良い印象を持つか悪い印象を持つか、それはその土地の風景や食べ物によるところも大きいけれど、何よりもその場所で出会った人の印象が大きい。一人でも嫌な人に会えば嫌な思い出しか残らないし、一人でも素敵な人に出会うととても良い印象を持つ。
 仕事の関係で出張をすることがあるけれど、その土地に行き、その土地に自分とゆかりのある人がいると何だか楽しい。今は鳥取。誰も知っている人がいない土地だなぁと思っていたけれど、ふと卒業生でアナウンサーをしている子がいる土地だということに気が付いた。それだけで鳥取に対するイメージが変わってくるから不思議。

話は代わり・・・
 今日出張先に向かう新幹線で通り過ぎた土地に住む卒業生から、8月6日に無事子どもが生まれたという連絡がきました。Y岡(旧姓)さん、おめでとう。素敵なお母さんになってね。

2009年8月4日火曜日

そういえば7月22日は・・・

 皆既日食(Total Eclipse)が地域によっては見られる日でしたね。学内でもみんな騒いでいたけれど,結局特別な眼鏡等の装備品が無いと直接太陽を見ることができないし,天気も曇り空だったことも合って,何だか感慨が薄かったような。。。「1998年にイギリスにいた頃に見た皆既日食の方がすごかったよなぁ」なんて思ってその時の日記を読み返してみた。

====以下1998年8月11日の日記からの抜粋====
(略)
 皆既日食の方はどうだったかというとやっぱり天気が災いしました。時折思い付いたように綺麗に顔をのぞかせてはくれるものの、殆どは雲の間に隠れてしまって綺麗には見えませんでした。でも一番太陽と月が重なる時間帯にはあたりが少し暗くなって幻想的な雰囲気でした。これで晴れてさえいればねえ...残念です。

今回の皆既日食、もう大騒ぎで中にはその為にわざわざツアーで皆既日食がよく見える土地へ出かけていく人もいました。自分の家に帰ってテレビでその光景を見たのですが、コーンウォールなんかはもう人が沢山!!でもせっかくなのにこれだけ曇ってしまっていたら、感動も薄れてしまうでしょうね。ただ驚いたことには、やっぱりテレビで見ると綺麗にダイアモンドリングが出来ていたし、コーンウォールなんかは綺麗に太陽と月が重なるので、まさに夜と見間違えるくらいに辺りが真っ暗になっていました。やっぱり自然の力って凄いと同時に美しいですね。これからはこういう◯◯年に1度!!という大切な時はきちんと見るようにしようと痛感した日でした。でも個人的には何かにつけて大騒ぎするイギリス人の方が面白かったです。だって、よく日本人は何でもかんでも大騒ぎしてお祭りにしたがるって言いますけど、そんな事言ってたらイギリスはどうなるんだろう。今回の皆既日食も80年に1度って騒いでいたけど、実は再来年にはどこか他の地域で見られるそうですし..。何かイギリス人って大袈裟です。
====ここまで====

 ん,何か冷めてる。今と似たようなこと書いてる。ってことは10年以上進歩無しか,自分。。。ちなみにこの時は1998年で,「ノストラムダムスの大予言」だの「世紀末」だの大騒ぎしていた時代でした。

 なぜ,こんな日記を書いたかというと明日から行く神戸出張でその時一緒に皆既日食を見た友人に久々に出会うからなのです。イギリス以来なので10年ぶり!!!楽しみです。