2016年3月31日木曜日

学会参加記録2015

 昨年度から学会に参加した際の詳細なまとめをしなくなりました。その1つの理由が学内業務の都合上、僕の中では一番参加したい全国英語教育学会(JASELE)の全国大会に参加できなかったからです。2014年はAILA、2015年は学内業務、そして2016年も学内業務の都合上で早々と不参加が決定...。ブログを書く動機づけが低いのですが、参加した学会や研究会を備忘録がてらまとめておきます。2015年度はどちらかというと小さめの研究会に数多く参加しました。

4月24日
「大学入試改革の実践と課題〜英語資格・検定試験の活用等を踏まえて〜」
(関西大学)

 時代の流れもあり、情報を得るために参加しました。上智大学、広島大学の入学センター長という立場にいる人たちの話を聞けたのは良かった。そうそう、安河内先生もはじめて拝見しました。4 Skills for JAPANと書かれたバッジをもらうために行列ができていました。

4月25日
平成27年度英語コーパス学会春季シンポジウム
「コーパス関連専門科目の授業内容について」
(関西大学)

 大名力先生、佐野洋先生、滝沢直宏先生、田中省作先生、西原俊明先生といった錚々たる顔ぶれによるシンポジウムでした。具体的な授業内容に関する情報も得られて、来年度以降の授業に活かせる良いお土産ができました。

(National Institute for International Education (NIIED), Korea)

 メソドロジー研究部会とKATE (Korean Association of Teachers of English)のCorpus SIGとの共催でした。楽しかったです。「何しに来たの?」と聞かれることが多かったので、"Sightseeing."と答えておきました。





(神戸学院大学・ポートアイランドキャンパス)

 水島梨紗先生(札幌学院大学)による発表、「高校英語教科書の分析から語用論的指導の可能性を探る」を聞きに行きました。最近語用論に関わる研究をしたいと思っているので、とても刺激を受けました。
 それにしてもポートアイランドキャンパスの美しいこと!トイレに住みたいと思ったのは人生初めてです。






7月4日
(北海道大学)

 認知言語学に少し興味を持っていることもあり、参加してみました。長谷部陽一郎先生(同志社大学)のワークショップ「BYUコーパスTEDコーパスを用いた言語データの採取と活用」では、詳細な資料をもとにBYUコーパス利用の際における留意点を知ることができました。なによりTEDコーパスはすごい!検索したい語を入力すると、該当するTEDの動画一覧が表示されます。

8月4-6日
(千里ライフサイエンスセンター、大阪)

 毎年初日に行われるワークショップへの参加が一番楽しみだったりします。今回は水本篤先生(関西大学)による「Webアプリケーションで学ぶ統計解析の基礎と応用」、そして今尾康裕(大阪大学)による「リスニング教材準備はMacとCasualTranscriberで!」を聴講しました。泣く子もだまるlangtest.jp、そしてCasualTranscriber、良い時代になりました。

8月29-31日
(鹿児島大学)

 噴火すると言われてビクビクしながら鹿児島入りしたのですが、地元の人たちが普通に生活しているのが印象的でした。西郷どんに思いを馳せました。







10月10-11日
外国語教育研究の未来 前田啓朗先生記念研究会

 早いもので1年経つんですね。前田先生に原稿をいただいた本が出版されたこともあり、「eラーニングの導入から評価までに関する一考察」という発表をさせてただきました。詳細は書きませんが、ハチャメチャで楽しかったです。


11月21日
(広島修道大学)

 グローバルコースに関わっていることもあり、同僚の竹井光子先生と「広島修道大学の試み:グローバルコースとグローバルキャンパス」というタイトルで発表しました。

12月5-6日
(名古屋大学)

 だいぶ前に参加したことがあるのですが、久々に情報収集を兼ねて参加してみました。



12月19日
(立命館大学大阪いばらきキャンパス)

 清水裕士先生(関西学院大学)による統計分析ソフトHADの説明をはじめて聞きました。もうすごすぎます。キャンパスおしゃれ。



2月16-17日
(てんぶす那覇)

 「何しに来たの?」と誰も聞いてくれなかったので「なんくるないさ〜。」と勝手に心の中で答えておきました。飛行機の都合で後泊したのですが、その時に回ったお店は渋くてたまらなかった。人生初ホッピーも体験しました。



2月20日
(西南学院大学、福岡)

 外部試験導入に関する情報収集のために参加しました。時間を勘違いして早く着きすぎたので散歩したのですが、面白い通りができていました。




3月26日
第二言語ライティングセミナー
(津田塾大学)

以下の発表が行われました。

大野真澄(慶應義塾大学)
「ジャンル・アプローチを用いた英語ライティングの指導— 理工系学術論文を事例として—」

小島ますみ(岐阜市立女子短期大学)
「ライティング評価とテクストの言語的特徴との関係:メタ分析による研究成果 の統合」

水本篤
「ムーブと語連鎖を融合させたアプローチによる英語学術論文執筆支援 ツールの開発」

石川慎一郎(神戸大学)
「L2 ライティング研究と学習者コーパス研究:接点と非接点」

どの発表も非常に面白く、ライティング研究の最新の動向を知ることができました。それにしても英語学術論文執筆支援ツールAWSUM (Academic Word Suggestion Machine)はawesomeですね!


 その他、8月20日にはメソ研重富、ではなくメソ研広島を勤務校で開催したりもしました。2014年10月2日のブログでは2014年度を振り返って次のように書いていました。

「今年は意図的に主体的に行う学会発表の数を減らしました。学内業務が忙しくなったという理由もありますが、研究面において少しインプットを蓄積したいという想いが強かったからです。ということで2015年度は頑張ってアウトプットの年にしたい所です。」

 2015年度もいろんな研究会に顔を出しましたが、発表は2件だけ、どちらも自分の中では研究発表と言えるレベルのものではありませんでした。一方で2012年度から3年間行ってきたプロジェクトが書籍 『eラーニングは教育を変えるか—MoodleをはじめとしたLMSの導入から評価まで』という形になり、実践や開発などの論文も2本学会誌に掲載されました。2016年度も引き続き発表の数は抑える予定なのですが、少しずつ自分のやりたい研究への蓄積をして、きちんと研究発表をしたいと考えています。




2016年3月23日水曜日

卒業式

 3月18日に卒業式が行われました。例年うちのゼミは女性の方が多いのですが、なぜか今回の卒業生は14名中7名が男子学生(ちなみに今の3年生は14名中9名が男性!)という当たり年でした(笑)。最近、男子学生に人気が出てきたのかもしれません。精進します。

 今年は全体としてのまとまりには少し欠けていた気もするのですが、個別に話すとみんな真面目で「いいヤツ」ばかりでした。授業中は、真面目な学生がいれば不真面目な学生もいて、喋るのが好きな学生がいればほとんど喋らない学生もいて、いわゆる指導教員泣かせのクラスでした。通常2年間も同じゼミという空間で過ごすと色々な個性が混じり合って1つの面白い色になるのですが、この学年は2年間経ってもそれぞれの色が濃すぎて、混じり合いませんでした。それもそれで面白いですね。

 卒業式当日に撮った写真を見直しながらこの文章を書いていますが、みんな晴れやかで自信に満ち溢れた顔をしているように思います。これからの長い人生、真面目にごまかさずまっすぐ前を見つめて歩いていきましょうね。

 卒業おめでとうございます!

(そう言えば、今年ふと思ったのですが、卒業という人生の区切りがあるのは良いですね。)



2016年3月15日火曜日

スマ田スマ子のとある1日

(2013.11.21に書いて下書きのまま放置していいた投稿です。今読み直してもあまり状況は変わっていないみたいなので、改めて今更投稿)

 この前、3年生の学生と話していた時にスマホの話になったんだけど、「高校の時はガラケーでした」という人がほとんどだった。今や中、高等学校では"公式"には禁止されているものの、私生活でスマホを使ってない人の割合はかなり低いと思う。スマホは検索や人とのコミュニケーションにおいてかなり便利なツールだと思うけど、スマホに縛られすぎる生活をしたって面白くない。

スマ田スマ子のとある1日(フィクション)

AM 7:00
スマホのアラームで起きる。まずはスマホで友人たちの動向をチェック。自分が寝ている間に面白いやり取りとか行われていたら辛い。「あの子が参加したコンパ楽しかったんだね。うらやましい。」

AM 8:30
さあ学校に行こう。スマホ、スマホっと。暇なのでtwitterやfacebookをチェックして一喜一憂。「あいつすげえな」「こいつはうざい」。LINEでメッセージが届く。あっ、あの子今日は授業サボるんだ。ああ朝から疲れた。ゲームでもして気晴らししよっと。

AM 9:00
学校に着いた。授業面白くない。あっ、友だちからLINEのメッセージが!早く返さなきゃ。ん?twitterでは「××の授業面白くない。うざい。」って誰かがつぶやいてる。わかるわかる、その気持ち。お気に入りにいれておこっと。あっ、授業が終わった。

PM 0:00
目の前の友だち?いや仲良くないし。B子今どこにいるかな?LINEで聞いてみよっと。あっ、返信来た。○○にいるのね。じゃあ、そこに行くね。「おつかれ、B子、ねえねえ、この写真見て!面白くない?」

PM 10:00
家に帰る。今日はバイトもないし暇だな。とりあえずtwitterやLINEで話し相手を探すか。あっ、英語の予習もしなきゃ。アプリ、アプリ。有料の辞書アプリ?高いからそんなの買ったって無駄だし。あっ、またメッセージが届いた。もう私忙しいんだから!ん?何だか眠たいなう。スマホのアラームをセットしてっと。みんなおやすみ〜、また明日ね〜。

(1日のはじまりに戻る)

なぜ僕は授業でスマホに触ることを禁止するか。それはとてもシンプルで(1)90分間位スマホに触らない時間があっても良いじゃない、(2)暇になったら周りの人と仲良くなれば良いじゃない、という思いがあるから(禁止しても隠れて触る学生もいるけどね)。真面目に聞いていて行き倒れて(笑)眠りにつく学生なんてかわいいので、怒らない。

英語は相手が人であれ本であれ、コミュニケーションのためのツールだと思う。なのに、本や人とコミュニケーションをすることを恐れて、スマホで仲の良い人たちだけとコミュニケーションを取っているつもりになるのは何だかとてももったいない気がするのです。

ちなみに僕も仕事上、オンラインの時間が多いけど、主なSNSの使い方は次のような感じ。年齢の割にはかなり使っている方だと思う。だから、スマホやSNSが嫌いという訳ではありません。

・twitter=「主に仕事のお供」

心のつぶやきもあるけど、基本的にはtwitterのつぶやきは誰に見られても困らない(はず)。twitterのお陰で、普通であれば絶対に知り合えないような一流の同業者たちとやり取りができるのはとても嬉しい。見知らぬ人をはじめ、勤務先の学生や卒業生がフォローしてくれたりメッセージをくれるのは歓迎だけど、フォローは原則として返さない(学生のプライベートを覗き見る趣味はないので)。

・facebook=「友人や卒業生たちの近況確認」

「海外で大人気!」というキャッチフレーズに釣られて始めてみたが、実際にはそうでもなかった(笑)。実生活での友だちだけではなく学生や卒業生も「友だち」なので、あまりプライベートなことは書かない。少しでも知っている人から友だちのリクエストが来るのは歓迎(リクエストと同時にメッセージも送ってくれると認識しやすい)。でもわざわざ自分から誰かを探し出してリクエストというのはあんまりしない(学生にはこちらからリクエストは出さない)。友人や卒業生の近況を知ることができるのはいいね!

・LINE=「ゼミ生とメッセージをやり取りする手段」

友人とのやり取りをクローズドな環境でやって何が面白いの?と思っていたが、実際に始めてみるととても便利!いちいちメールで連絡しなくても、全員でメッセージのやり取りができる方法を覚えると、メールの一斉送信が煩わしくなる。でもスマホを持っていない学生がいるとLINEではない方法も考えないといけないね。プライベートではあまり使いこなしていない。スタンプも買ったことがない…。ごめんなさい…。

ちなみに意図的に通知機能をすべて切っているので、見たい時だけ見るという使い方です。返事が遅くてごめんなさい。

2015年度後期授業アンケート

 後期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので、まとめておきます。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。ちなみに質問項目は2分類に分かれており、以下の通り。

【授業の体系性】


  1. 授業内容は授業計画と一致していましたか。
  2. 授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                              
  3. 授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。           


【教授方法・講義内容】


  1. 教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。  
  2. 教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。  
  3. 学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。
  4. 学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。              
  5. 授業の内容は理解できましたか。                                      
  6. 授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。
  7. 教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
  8. 教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。
  9. 黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
  10. 課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「Reading & Writing II」履修者数30名(回答者数28名)
【授業の体系性】 設問平均 4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.7,受講者数平均4.8)

 この授業はリーディングのインプットをもとに、パラグラフレベルの英作文を行ってもらうことをねらいとしています。できるだけ多くのライティング活動を取り入れたいので、テキストは敢えて簡単なものにしています。授業はCALL教室で行い、ほぼすべての活動はLMSであるMoodle上で行っています。例年に比べると、【教授方法・講義内容】の評価が低いのですが、1から4の質問に対して「そう思わない」と回答している学生が1名いるのが原因だと思われます(この辺りは意識して頑張っているところなので、そう評価されるのは実はショックなのですが)。残念ではありますが、改善の余地があるのだと思います。

【自由記述欄】
  • Writingはあまり得意ではなかったけど、授業がおもしろかったので、苦じゃなかった。使役の授業のときのビデオを見て感想を書くというのがとてもよかった。Essayの添削もていねいにやって下さったのでうれしかったです。
  • Moodleを使っての授業なので楽しい。
  • エッセイを書いていくうちに英作のやり方や文章の講成など学んだことが多くありました。先生と話す機会も多く、楽しい授業でした。
  • 先生がライティングの担当で良かった!楽しかったです。ライティングだけでなく、文法についても学べて良かった。普段からキーボードで英語を打たないので、いい練習になりました。
  • 先生の話がおもしろくて、外国のこと知りたいと思いました。先生が使ったサイトが面白かったので活用したいと思った。
  • ゆるキャラ系先生のおかげでたのしく授業ができた。

ゆるキャラって...(笑)。一方以下のようなコメントもありました。
  • Moodle主体の授業であった為、休んだ際取り戻すのが少し難しいように感じました。
  • 先生はゼミをもっていて、お忙しいのは分かるのですが、もっと英作文の添削をしてほしかったです。
2番目のコメントのように、学生に忙しさを心配されるというのはあってはいけないことだと思うので、反省しています。この授業ではできるだけたくさんライティングをしてもらうことを目標にしています。あえて添削しない活動もあれば、丁寧に添削する活動もあるのですが、このあたりのバランスを2016度の課題にしたいと思います。

「英語の諸相II」履修者数50名(回答者数42名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.7,受講者数平均4.7)

 この授業は意味論・語用論について講義形式で授業を進めます。テキストはYuleのPragmaticsを利用しています。理解補助プリントを毎週配布し実際の例も示しながら解説し、最後に映画を観て語用論的な視点から分析することを目指します。
 Reading & Writingもそうですが、今まで私の授業評価において「そう思わない」と回答する学生はほとんどいなかったのですが、この授業においても、「授業の内容は理解できましたか。」の問いに2名、「課題は、勉学を深める上で役立ちましたか。」の問いに1名が「そう思わない」と回答しています。

【自由記述欄】 
  • 先生の話がおもしろかったので、この科目への関心が高まりました。
  • プリントやプロジェクターを使ってて見やすかった。映画を見たこと。
  • 先生が面白い。個人的にだが好奇心を刺激される講義だった。
  • 先生のお話が今まで受けた授業で一番おもしろかった。
  • この授業が、私のとっている授業で一番意欲がもてた。とてもおもしろく、先生の教え方もとてもよくて分かりやすかったので、意味論や言用論についてもっと深く勉強したくなりました。

【総括】
  大学で教え始めて14年、2016年度は15年目になります。それなりに授業をできるようになった気がしていたのですが、改めて授業をすることの難しさを感じました。
 現行のカリキュラムも2016年度が最終年となり、2017年度からは新たなカリキュラムがスタートします。それにともない担当科目も変わる予定なので、2016年度は1つの締めくくりとして頑張りたいと思います。