2012年11月17日土曜日

「コミュニケーションに活かす英文法指導とは?-『意味順』の提案-」

 去る11月15日(木曜日),広島修道大学人文学部英語英文学科の1年生を対象として行われる「初年次セミナー」クラスを利用して学術講演会を開催しました。講師としてお招きしたのは京都大学教授の田地野彰先生です。文法用語を使わずに英文の理解と作成を助ける方法として「意味順」を考案され,英語教育の分野において注目を集めている方です。当日は履修者のみならず,英語英文学科に所属する学生や教員,近隣の大学からも聴衆が訪れ,時折ユーモアを交えながらお話をされる田地野先生の話に魅了されていました。

 意味順とは,「だれが」「する」「だれ・なに」「どこ」「いつ」といった語の順番を意識して簡単に英文を作成できるようになることを意図したものです。今まで日本人英語学習者にとって常識だった5文型とは異なった視点で英文の仕組みを学ぶことで,完璧ではなくても英語を産出することができるようになることを目指します。

たとえば,

(a) The man ate the apple.
(b) The apple ate the man.

という例文を見てみましょう。日本語であれば語順よりも助詞の利用に意味がありますが,英語の場合にはそうはいきません。しかしながらこのような語順の誤りは日本人英語学習者にとっての特徴的な誤りの1つであると考えられているそうです。

 詳細は以下のリンクや田地野先生の出版物を参照していただければと思いますが,講演当日は意味順を支える様々な理論的根拠を提示されるアカデミックな側面あり,意味順を試してみる実践的な側面あり,そしてユーモアのある内容で,笑いの絶えないとても刺激的な学術講演会となりました。

 私の感想としては,以下の表のように意味順だけではなく従来の5文型も意識した上で英文法を考えると視覚的な理解が楽になると思います。

(田地野, 2008より抜粋)

「新しい学校文法の構築に向けて-英文作成における「意味順」指導の効果検証-」
「学習者にとって「よりよい文法」とは何か?---「意味順」の提案」
ディスカヴァー社長室ブログ
意味順の解説動画
意味順ノートについて(キョクトウ・アソシエイツ)
意味順でNew Horizon





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