2010年12月13日月曜日

The Third Joint Conference on English Vocabulary and Lexicography Program

2010年12月13日,早稲田大学にて開催されたJACET辞書研究会・語彙研究会合同研究大会に参加した。語彙や辞書学に関しては門外漢なため,少々緊張気味の参加であったこと,そして自分の発表準備がありあまりゆっくり発表を聞く事ができなかったが,以下覚書き。

語彙テスト分析セミナー Basic introduction to Rash analysis(John Shillaw 南山大学)

 南山大学のShillaw先生によるラッシュ分析の紹介。ラッシュ分析が項目応答理論(Item Response Theory)の1つであることや,その他の伝統的なテスト手法との違いなどについて紹介をされた。またWINSTEPとよばれるソフトを用いて分析ができるらしい。まだ内容に関しては消化しきれていないのだので,とりあえずメモのみ。

関山健治(沖縄大学) “成人式”を迎える振るコンテンツ電子辞書ーメーカーの視点・教員の視点・学習者の視点ー

 ここ20年間の電子辞書の変遷を振り返り,電子辞書が印刷辞書や利用者の変化に追いついていないということを指摘された。そこで印刷辞書からの呪縛の解放や,「索育」(辞書検索指導)の重要性についても指摘されていた。

小山敏子(大阪大谷大学)・薮越智子(日本大学) 電子辞書使用の方略指導への一考察

 「電子辞書使用の方略指導への一考察ーメタ認知活動を取り入れてー」(LET関西支部研究集録13号掲載予定)のものについてのまとめ。

Jim Ronald & Shinya Ozawa Electronic Dictionary Use and Metacognitive Development

 今回の研究会参加の目的はこの発表。学習者の電子辞書使用方略の発達を目指して,辞書検索に関するトレーニングを行った結果について報告した。題材は英字新聞の見出しを用いた。残念ながらpre,postテストとして用意したもののバランスが上手に取れていなかったため,発表の内容としては新聞の見出しを翻訳する際に学習者が困難だと感じているものは何かということについて探ることにした。その結果,学習者は自分自身である程度,見出しの難しさを適切に判断できているのだが,中には学習者の判断と実際の翻訳の間に整合性がない場合がいくつかあった。特に表面的には簡単そうに見える見出し,例えば”Farmer Bill Dies in a House.”のような見出しは,一見すると簡単そうだが実際に訳すのは非常に難しい。このような場合に学習者は「この見出しはとても簡単」という評価をするのだが,実際には適切に翻訳できていなかった。今後は,このような見出しの特徴について分析をしてく予定である。

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JACETのこのような研究会に参加したのははじめてだったのだけれど,参加者数も少なく通常の学会とはまた違ったアットホームな雰囲気であった。個人で研究を進めるだけではなく,このような共通の興味関心を抱く人たちが一堂に会して研究の成果を報告するというのはとても良いことだと思う。

ちなみに,一緒に発表をした同僚が懇親会に参加するというので,参加した。場所はキャンパスから近い早稲田蔵というお店。学生街らしく3000円で料理と飲み放題が楽しめた。店員さんたちはとてもユニーク(笑)。こういう学会や研究会などの懇親会は今まで避けて通ってきたのだけど,たまには自分の社交性をトレーニングするのも良いのかも。

2010年10月2日土曜日

第1回Maharaオープンフォーラム

 2010年10月2日(土曜日),福井県のアオッサにて主催:Fレックス(福井県における大学間連携)共催:酪農学園大学 大学教育・学生支援推進事業で,Maharaオープンフォーラムが開催された。開会の挨拶によれば24大学,9の会社,2つの公的機関からの申し込みがあったそうで,着実にMaharaの輪は広がっている模様。会場では無線LANおよびtwitter用のハッシュタグが用意されていたため,今回は試しにtwitterでも参加してみた。ネットにつながるので,その場で情報をすぐに検索できるし,twitter上からも様々な情報が入手できるので非常に面白い経験だったのだけれど,いろんなことが頭の中に洪水のように入ってきて疲労困憊した(笑)。

オープンソースのものとしては,Mahara:シンプル,簡単,OSP<オスピーと発音> (Sakai):高度,難しいの2つがあるが,本フォーラムでは当然のことながら前者を焦点にした話が行われた。

基調講演:

森本康彦(東京学芸大学情報処理センター准教授)eポートフォリオとの付き合い方~理論と実践の観点から~

 教育現場で働いていた経験があるそうで,こういう人の共通項か,つかみから話が入った(笑)。とにかく声が大きくて元気のある方という印象。内容は盛りだくさんだったので,その内容をかいつまんで。話の流れとしてはこことほぼ同じか。

・参考文献

森本康彦.2008. eポートフォリオの理論と実際.教育システム情報学会誌, 25(2),245-263. 図1

大人にはテストが無く,パフォーマンスで評価される。

・学習理論と評価理論のパラダイム変換

学校化された学習→真正な学習(authentic learning)

暗記中心の学習→経験による学習

教師中心→学習者(学生)中心

知識は与えられるもの→自ら構成するもの

ある時点でのテストによる客観的な評価→継続的なパフォーマンスの評価

・ポートフォリオについて

組織化/構造化されたもの,また内省が重要である。ただ単にためるだけではなく,どこに学びがあるのかを考える必要がある。「真正な学習・評価」では評価学習の一部として埋め込まれており,学習と評価は一体化され切り離すことができない。評価=学習である(メタ認知?)。

・eポートフォリオのメリット

ネットワークを通してアクセスが可能。学校内だけではなく遠隔地の人々との相互作用が期待できる。eポートフォリオとは,エビデンスとしての役割,パフォーマンスの評価,アセスメント,相互作用を行うもの。システムとしてはディベロップメント系,コースラーニング系(授業)の2つがある。



ポートフォリオは蓄積するだけではなく,修正していくプロセスが大事(ポートフォリオの活動サイクル(図3))。



事例:

課題を提出させる

感想を書き込ませる

良いと思うものを公開する(数あるものから成果物を選び(selection),公開することで相互評価,自己評価ができる)

SNSのブログなどを利用する(SNS自体が学習の履歴やエビデンスを蓄積し活用できる物であるべき)

インターンシップやクラブ活動などの課外活動を記録する

成績等を記録する(学生がカルテを閲覧できない場合はポートフォリオとは呼べない)

到達目標とカリキュラムの連動



ポートフォリオは使い方が重要。また主役は学生であり,学びを促進するためのツールとして使うのが重要。またネットワークの起点となるものである。

時間の都合上,評価基準(ルーブリック)については省略されたが,知りたいと思った。

久保田真一郎(熊本大学総合情報基盤センター助教)Maharaによる自己学習を目指した研究指導

 個人的にはこの先生の話がmaharaのイメージを作る上で一番参考になった。オンライン上だけではなく,対面指導との組み合わせにするのがポイントか。

・MoodleのRPMパッケージ(熊本大学,喜多教授)

・熊本大学大学院教授システム学専攻,eラーニングによるeラーニング専門家養成大学院。修士論文発表会のみ熊本大学に行けば良い!!Sakai OSPを利用しLMS(BpLS CE6)と連携している。

・eポートフォリオの分類→IMSグローバルラーニングコンソーシアム(IMSとeポートフォリオを検索すれば,出てくる)に基づくとMaharaはMultiple Owner Portfolioに分類される。

・杉谷研究室 bufugen,修士論文指導でサイクル 計画をマイゴールに記入し,やったことをブログに記録し,それに基づいて対面指導を行う。

・Maharaに足りないと思われるもの→複数の写真管理(Albumboxプラグイン開発中)。スケジュール機能がない(Google Calendarを利用している人もあり)。検索機能が弱い。

・どうやら熊本大学で行ったランチョンセミナーの資料はここから。

・関連資料「Sakai OSPに基づくeポートフォリオシステムの開発」

遠藤大二(酪農学園大学獣医学部教授)酪農学園大学のeポートフォリオ活用教育と手書き課題活用システムの開発

 手書きのノートにバーコードシールを貼ることにより,mahara上に転送してしまおうという面白い試み。専門が全く別なのに,こんなことが出来てしまうなんてすごいですね。それよりも何よりも遠藤先生のユーモアに引き込まれた。あれって意図して面白い事言っているのかなぁ。もし素だったらすごい(笑)!「飛ぶノート」という名称で,Microsoft Access⇒Scan Snap⇒PDF Splitter⇒mahara+飛ぶノートAPIという流れで転送しているとのこと。完成したら,酪農学園大学のmaharaホームページで公開するそうです。

田中洋一(仁愛女子短期大学生活科学学科准教授)大学間連携におけるMaharaを用いた教育の実践

 田中先生はFレックスの概要について簡潔に説明された。Fレックスは福井県内の高等教育機関7つの連携(特色としては国立大学福井大学が部分的にしか参加していない)。文科省の戦略的大学連携事業支援であり,今年度で終了するが今後も継続していく予定。使っているシステムや実践例(初年次教育,導入ゼミにも用いている)についても紹介があった。またFレックスではティーチングポートフォリオとしてmaharaを使っていく予定である。特に印象に残ったのは,moodle上にリンクを張りeポートフォリオmaharaとの連携を滑らかにしているということであった。学生に複数のシステムを使わせるのは負担が大きいと感じていたので,参考になった。



またmaharaを使う上での問題点として,eポートフォリオの文化が浸透していない(教員や学生),支援機能が弱いなどの点を挙げられていた。今後,Fレックス上に公開ビューを作成する予定。

パネルディスカッション

山川修(福井県立大学)

 eポートフォリオは使い方がわからない,学習ポートフォリオの文化が無い,簡単に使えるシステムが無い,などがありあまり普及していない(リフレクションの無いカルテとは異なる)。実際に使い始めてみると,学生が慣れるまで結構大変(LMS),また授業設計をどうしたらよいかわからない。このことから利用ノウハウの蓄積が必要。

このことから,今後の予定としてMaharaユーザ会,また年に1回のオープンフォーラムを開催する予定(来年度は北海道,その次は熊本を予定)。

 今後の方向性を示した上で,以下ディスカッション。

?アセスメントスキルの養成方法

 実際にルーブリックを利用してやらせていくことが必要。

?客観的評価をどう示すのか?パフォーマンス評価の方法は。

 評価基準,ルーブリックを作り上げ,主観的なものを客観的なものにしていく。

?問題点は

 リフレクションの機能(Wallなど)。グループのセキュリティーの概念がわかりにくい。学生も教員も負担が増える。Maharaの自由度を生かすべきか,ある程度制限するべきか。大人数の場合はmoodleの方が使いやすい。

?普及のために工夫していることは。

 学生に使った効果を実感させること。Fレックスのように緩やかな連携も有効(単一大学では難しいかも)。FレックスにおけるSNSは画期的(賑わっている)。

?Maharaのメリット

 ビュー機能がなければ単なるSNS。YouTubeが簡単に使える(ドラッグアンドドロップできる!)。

?使いにくい点

 フィードバック機能。ビューに写真をあまり載せられない。写真の張り付け機能が良くない。携帯電話から使えない(SNSについては致命的か)。

?eポートフォリオが高等教育を変える

 メタ認知(気付き)を促すことができる。熊本大学ではeラーニング300コースもある!by久保田

 eポートフォリオは万能ではないので,柔軟に対応する必要あり。高等教育は変わらなければいけないby森本

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ということで福井に日帰りという強行出張ではあったが,非常に実り多きものであった。特にeポートフォリオは万能ではなく,教員が主役になりいかに科目と連携させていくかについて考えていく必要があると森本先生が繰り返し言われていたのが印象に残った。関係ないところでは中継に使われていたMediasiteというシステムが気になった。動画およびパワーポイントのスライドを同時に中継する事ができる。価格は知らないけど,便利そうです。

2010年9月27日月曜日

第36回全国英語教育学会

 2010年8月7、8日に関西大学千里山キャンパスで行われた第36回全国英語教育学会に参加した。以下、いくつかの発表の覚書。備忘録を書くまでにだいぶ時間が空いたので,主に研究手法の羅列に留めておく。

久保田章(筑波大学大学院).中学生の文レベル・談話レベルの英作文の複雑さと英語熟達度.

 学習者の熟達度と英作文の複雑さの関係,タスクの違いと英作文の違いの関係,の2つを研究課題として設定し調査を行った。対象者は中学生450名で,英語熟達度テスト(語彙・文法・読解・作文,全52問,四者択一式,45分)により,上位,中位,下位グループに分類。またライティング・テストとして文レベルのもの3つと談話レベルのもの3つ各15分を課した(辞書は私用せず,日本語の使用は認める)。英作文の文法的複雑さについてはWolfe-Quintero et al. (1998),望月他(2009)に基づき,Clause per T-unit,Dependent Clauses per Clause,Denpendent Caluses per T-unit,Clauses per Sentencesの4つの客観的指標を用いた。結果,談話レベルのタスクの方が複雑な文章を書く傾向にあること,一部を除いて多くのタスクと熟達度テストの間にかなり強い桑乾河見られた。また従属節よりも節を単位とする指標の方が相関は高かった。また節を単位とする指標はどのタスクにおいても実力差が現われるが,従属節の使用については談話レベルのタスクの方が,実力差が現われやすい。

久山慎也(広島県立安古市高等学校).論理的表現力を高めるための作文指導が高校生の作文方略に与える影響について.

 高校英語Iの授業無いで論理的表現力育成のための自由英作文指導を高校1年生78名を対象に計20回行った。1回の指導は10分程度で,論理トレーニング(6回),早書き指導(5回),誤文訂正活動(8回)等を行った。文法テスト,自由英作文特典,および作文の総語数の3特性を用いクラスター分析を行い,4つのクラスターに分類し,それぞれにおける作文方略を質問紙(4件法)で調査した。

実践の詳細はここで2010年10月に公開予定だそうなので,期待しています。

高田智子(明海大学)・緑川日出子(昭和女子大学).日本の学習環境におけるELP応用の可能性を探る.

 時間内で理解するのは難しかった。興味がある分野なのだけど。

馬場千秋(帝京科学大学).大学生初級・中級英語学習者の英作文に見られる差異―質と量はどのように違うか.

 ライティングに関して継続して研究をされている馬場先生の発表。今回の研究の目的は大学初級学習者と中級学習者の英作文の量的な違いおよび文法上のエラーの傾向の違いを明らかにすること。大学1,2年生60名を模擬問題集による換算の結果470以上・以下に分ける。授業中に15分,テーマを与え自由英作文を書かせた(If you were a billionair, what would you do?”などのテーマ)。辞書の使用は可。その後初級者,中級者の英作文を50ずつ無作為に抽出し,総語数,T-unit数,error-free T-unit数,1T-unitあたりの平均語数,全T-unitにおけるerror-free T-unit数の割合を産出し,違いを分析した。また文法上のエラーを分析するためにタグ付けコンコーダンサーにより分析した。

量的相違:

総語数:中級は初級の3倍,T-unit数:中級は初級の3倍,error-free T-unit数:中級は初級の3倍,1T-unitあたりの平均語数:差はなし,1T-unitあたりの平均語数:差はなし,全T-unitにおけるerror-free T-unit数の割合:中級60%以上に対し,初級は50%未満。

などなどの結果。

柏木哲也.(北九州市立大学).英語熟達度は日本人英語を改善できるのか:Argumentative Writingにおける過剰・過少使用傾向と母語の影響.

Hinkel (2002)の使用した語彙・文法特性を基本に28の大分類,71の小分類に分け,L2熟達度との順位相関を出す(マン・ホイットマンのU検定)。225名のArgumentativeのエッセイをコーパス化,TOEICのスコアとの相関を計算,またWordsmithのキーワードリストを使い過剰使用語,過少使用語にみられる共通傾向を分析,またLOCNESSを用いて比較分析した。調査項目としては語彙・テクストの複雑さをみるためにT-Unit,標準化されたTTR,平均語長,文長,語数。

根岸雅史(東京外国語大学)・村野井仁(東北学院大学)・投野由紀夫(東京外国語大学)・高田智子(明海大学).CEFRを英語教育評価の枠組みとして考える.

 今回,学会に参加した目的の1つは本学でも実施しているCan-doアンケートに関する情報を得るため。この課題研究フォーラムではそういう意味でCEFRに関する情報を得る事ができた。以下,幾つか覚えていることを箇条書きにしておく。

・CEFR-Jというプロジェクトが進行している。もう既にほぼ完成している?

・現在Cambridgeで進められているEnglish Profile CorpusというプロジェクトにおいてCambridge Learner Corpus(CLC)を増強しているがCEFRのAレベルにおけるデータが足りないという現状がある。日本のJEFLL Corpus,NICT JLE Corpus(アジアに関してはCEEAUSも?)などはAレベルのデータが含まれている貴重な資源と考えられる。

以下は幾つか印象に残ったもの。

井上聡(神戸大学大学院生).日本人英語学習者の知覚動詞運用:学習コーパスに基づく研究.

長沼君主(東京外国語大学)・永末温子(福岡県立香住丘高等学校).Can-Do評価―学習タスクの導入による能力および自己効力の変化の検証.

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だめだ,やっぱり時間が空くと備忘録にもならないものしか書けない。それはともかく,全国英語教育学会の発表数には毎年のことながら圧倒される。予稿集なんてもう電話帳並み。この学会に参加するメリットは英語教育研究におけるいろいろなジャンルをほぼ全て網羅出来ること,英語教育研究における研究手法についての知識を得る事が出来ることかな。今年の新たな試みとして行われたランチョンセミナーは良い企画だと思う(会場がいっぱいすぎて立ち見がでるほどだったけど)。なぜこんなに発表数が多いかというと,英語教育研究に関する学会においては最も限定されていないものであること(小学校やメディアやら,冠が付いていない),そして発表することによって学会誌へ投稿する権利が与えられるという所にあるのではないだろうか。それにしても発表数が多過ぎる!発表もしない自分が言えることではないけれど,レベルが低い発表もある。特別講演を待っている間,後ろに座っていた学会経験者と初心者の会話:

初心者:この予稿集すごいですねー。

経験者:これにきちんと目を通しとかなきゃダメだよ。ハズレの発表とかあるから。

今や日本を代表する権威のある学会なのだから,発表も審査性にするとかしないのかなぁ。そうすると聴く側も移動に疲れるとかあまりの発表の酷さにがっかりする,なんてことが無くなると思うのだけど。。。(その前にちゃんと発表しろ,自分)

修道力

 修道力とは何かと言うことはさておき,現在広島修道大学は中国新聞で毎週土曜日(?)に写真入りの広告を出している。9月25日(土曜日)はその第2回,人文学部ということで,僕と在学生の仁後さんの対談形式のものが掲載されている(新聞を見逃した人はホームページ上に載っているので,そちらをご覧下さい)。

 ポーズが恥ずかしいだとか,単純にたまたま僕が載っただけで全然大した事じゃないだとか,その新聞記事を見て大騒ぎした高校時代の担任の先生が20年ぶり位に電話してきてくれたとか(これはビックリ&嬉しかった!),そんなことはどうでも良くて,人文学部,特に英語英文学科の学生は是非内容を読んで欲しい。最初から出来るんじゃなくて,大学に入って努力すればどこまでだっていけるということを彼女の挑戦が証明しているから。

 僕なんかが偉そうに言うよりも,自分たちと同じ学生が言うことに耳を傾けた方が早い。今回のこの記事を読んで少しでも自分の大学生活を前向きにとらえ「学び」について真剣に考えてくれる人が出てくれることを望んでいます。

日本リメディアル教育学会第6回全国大会

 2010年8月30,31日に湘南工科大学で行われた日本リメディアル教育学会に参加した。学習支援センターで仕事をするようになり,何かとこの学会とはご縁があり参加し続けているような。。。8月後半とは言え,まだまだ残暑,いや酷暑の中,そして大学の側を日焼けしたサーファーがサーフボードを抱えて自転車を楽しそうに漕いでいる中,スーツを着て汗だくで頑張ってきましたよ。以下,備忘録。

Jodi Patrick Holschh. Using Learning Theory to Develop Self-Regulation in Postsecondary Students.

 タイトルからわかるように,高等教育において学習者の自己制御を発達させるために学習理論を用いることについての講演。内容的には一般論だったので省略。残念だったのは会場の悪さ。某先生も言われていたのだが,「本来であれば小さい教室などでやってもらうと良い講師」だったのが活きなかった。音響は悪いし,講師と会場の距離も遠いし。。。講師の人柄の良さがすごく伝わってきただけに残念。アクティブ・ラーニング形式で何かワークショップとかやってもらうと良いかもしれない。

矢田部順二,木村大自,加利川友子,佐々木智子. 地方私立文系大学における入学準備プログラムの実施報告.

 広島修道大学における入学準備プログラムの実施状況についての報告。またアンケート調査の結果を分析し,参加学生の満足度などを調査した結果を報告した。いわゆる身内の応援で行ったのですが,残念だったのは声が小さくてせっかくの発表があまり理解されていなかった気がする。

大澤真也・中西大輔・竹井光子・土岸真由美・有田真理子. 学生に自信を付けさせる英語教育プログラムの予備的検討:

Can-doアンケートの分析から.

 今回の学会参加の目的は,この発表。本学において1年次生約1400名に対して実施した英検Can-doアンケートの結果と

TOEIC Bridgeのスコアとの関連について検討した。その結果,TOEIC BridgeのスコアとCan-doアンケートにおける自信度の間には相関があるが,スコアが上がったからと言って自信度が上がる訳ではないということなどが明らかになった。発表は15分という短時間だったのに,僕が10分ぐらい喋ってしまい本論の分析の部分を残り5分で説明しなければいけないという事態に!!何だかとても反省。。。

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お勉強のために学会に参加するといろいろ知識を得る事ができて良いのだけれど,聴き疲れ「あー,今度は発表しに来よう」と思い,発表のために学会に参加すると発表準備にドタバタして,他の発表にあまり集中できないというジレンマ。日本リメディアル教育学会ではどうやら英語,日本語,理数系,ICT,学習支援という5つの分野に特化していきたいという意思が感じられる。けれどもそこに共通する問題は「なぜリメディアル教育学会で発表しなければいけないのか」ということだ。はっきり言ってしまえばそれぞれの分野にもっと歴史・権威のある学会は既に存在している。例えば英語教育であれば,全国英語教育学会,大学英語教育学会,JALT,LETなどなど。ではなぜリメディアル教育学会で発表しなければいけないのか,という問題について考えなければいけない時期に来ている(どうやら初年次教育学会もそのような雰囲気らしいが)。常に固定のメンバーが発表をして新しい風が吹き込まないような学会であってはいけない,いい加減な研究発表をしてはいけない,など考えなければいけないことはたくさんある。今回思ったのは「リメディアル教育を行いました。でも相手は学力の低い子で,評価できません。でも楽しいと言ってたから効果はあると思います」のような発表が散見されたこと。確かに既存の評価法では評価できないかもしれないが,こういった層を適切に評価できる手法を開発していくことも1つの課題ではないだろうか。この学会に初めて参加していた某氏が言っていた「この学会ってワークショップ無いんだね。やればいいのに。」という言葉は心に残った。ワークショップを開催し,学会員に特定の技能・知識を身に付けてもらうというのは学会の発展のために良い事だと思うのだが。。。

いずれにせよ,日本の高等教育においては今後この分野の必要性はますます高まるのは間違いないので,今のうちにしっかり足場を固めておかねば。

18th International Conference on Pragmatics & Language Learning

 備忘録を書くのが遅くなってしまったが,2010年7月16-19日に神戸大学で開催されたPLL18国際大会に参加した。プライベートな用事があったので参加したのは18,19日のみ。大学時代の同級生(専攻は違う)が学会運営の手伝いをしていて大変そうだった。そう言えば彼は全国英語教育学会でも学会運営の手伝いをしていた。都会に住む研究者というのは大変だ(違うか)。と書き始めてみて思ったが,やっぱり備忘録は忙しいからと言って後回しにしちゃいけない。記憶がだいぶ薄れている。学会全体のイメージとしては語用論と言語学習という2つの分野の接点を探すための学会ということで,僕の知り合いは普段参加する学会(英語教育系?)との違いに随分と驚いていたようだ。そう言えば僕も辞書学の国際学会にはじめて参加した時にその雰囲気の違いに驚いた経験があるなあ。予稿集が薄っぺら過ぎて,自分の興味のある発表を探すのが難しい,というのが一番の難点だったか。その中で印象に残った発表を2つだけ。

Yamato Kazuhito, Tagashira Kenji & Isoda Takamichi. Examining Pragmatic Awareness of Japanese EFL Learners in Relation to Individual Difference Factors: A Cluster Analytic Approach.

 動機付けと熟達度を考慮した上で,pragmatic awarenessにおける個人差の影響について調査したもの。先行研究によれば,pragmatic awarenessに影響を与えるものとして,1)学習環境,2)熟達度,3)滞在期間,4)動機付け,が考えられる。そのうち本研究では2)と4)に注目した。調査に参加したのは日本人大学生69名。TOEICのスコアおよび4技能に関する自己評価(10段階)で熟達度を調査,pragmatic awarenssに関してはBardovi-Harlig & Dornyei (1998)を守成したものを利用,動機付けについてはHiromori (2006)を利用した。

 Bardovi-Harlig & Dornyei (1998)の手順は1)対話が適切か・正確かどうかを判断し,2)もしそうでない場合はその深刻度を6段階で評価するというものであった。が,本研究では文法と語用論的なものそれぞれを別個に判断させ,6段階で評価させた。分析やディスカッションは省略して結論1)個人差(動機付けおよび熟達度)はpragmatic awarenessに影響を与える,2)内的動機付けの高い学習者は,間違いの深刻度の評価において深刻度を高く評価する傾向にある,3)熟達度高いからと言ってpragmatic awarenssが高いとは言えない,4)noticingとunderstandingが重要である。

Bardovi-Harlig & Dornyei (1998). Do language learners recotnize pragmatic violations? Pragmatic versus grammatical awareness in instructed L2 learning. TESOL Quarterly, 32, 233-262.

Haruhiko YAMAGUCHI. Paraphrase and problems of Japanese students: How word meaning should be presented in classrooms and in dictionaries.

 語彙の多義性についての講演だった。というか小学館から出版されている『英語多義ネットワーク辞典』の宣伝か?(笑)非常にユーモアのある喋りをしていたのだけれど,あまり会場の受けは良くなかったような。文化の違い?それとも学会会場という雰囲気のせいか?

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純粋な語用論の学会ではないせいか,どちらかと言えば実践者よりの発表やコメントが多かった気がする。この分野は個人的に興味を持っている分野なので,今後も注視していきたい。

2010年9月25日土曜日

2010年度前期末授業アンケート結果

前期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきた。3科目行ったアンケートの簡単なまとめ。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。
「e-learning英語I」履修者数43人(回答者数39人)
【授業の体系性】
設問平均4.8(科目別平均4.7,受講者数平均4.7)
【教授方法・講義内容】
設問平均4.7(科目別平均4.5,受講者数平均4.4)
【授業の体系性」については評価があまり芳しくなかった。特に「授業のねらいや学習目標は明解でしたか」の設問に対しては4.7(科目別平均4.6,受講者数別平均4.6)で,平均と大きくは異ならないが,「あまりそう思わない」が2名いたということは真摯に受け止めたい。【教授方法・講義内容】に関しては,「学生の反応や理解度を見ながら授業が進められていましたか」が4.8「学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか」が4.6だった。前者は常に授業で意識していることなので素直に嬉しい。後者の設問は予想より高かったので驚いた。「教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか」という設問は4.6(科目別平均4.5,受講者数別平均4.4)だったが,「あまりそう思わない」,「そう思わない」がそれぞれ1名ずついた。eラーニングということでコンピュータを使うこともあり,なかなか意識の浸透を図るのが難しいのだけれど,快適な授業環境構築のため,努力します。
【自由記述欄】
・「プロジェクターが見づらい」=改善します。
・「楽しく学べた」=文法を扱う授業は大変ですが,良かったです。
・「大澤先生のような先生になりたい。翻訳家志望だけど」=突っ込むには時差がありすぎか。。。
「英語研究III」履修者数64人(回答者数51人)
【授業の体系性】
設問平均4.9(科目別平均4.7,受講者数平均4.7)
【教授方法・講義内容】
設問平均4.8(科目別平均4.5,受講者数平均4.4)
受講者数の割には良い評価をいただいたと思います。【教授方法・講義内容】における設問,「学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか」が4.9(科目別平均4.4,受講者数平均4.2)だったのは非常に嬉しい。パワーポイントやビデオなど視聴覚教材を多用したのが功を奏したのでしょうか。「課題(発表,レポート,小テスト等)は勉学を深める上で役立ちましたか」は4.6(科目別平均4.5,受講者数平均4.4)だった。この授業はあまり課題を出さなかったのでこのような点数になったのかもしれない。適宜学習意欲を喚起するような課題を課す事を心がけたい。
【自由記述欄】
・「Power Pointで進められる授業はとてもわかりやすかった。Moodleを利用することで自分たちでPower Pointを見て復習できる点もよかった。」=今年度はmoodleというeラーニングシステムを使い始めたので,こういった感想があったことは嬉しい。
・「難しい内容ですが先生の説明が分かりやすかったことです。映像や図なども多くあり、楽しかったです。」
・「この授業で1度も寝てしまった事がなかったので面白い授業だったと思います!!」
・「前期の授業の中で1番おもしろかったです。先生おつかれさま!やったね!」=やったね!さりげなく大学の中でアピールしておいて下さい。
・「先生の私的な話がなければ授業・・・60分でおわりますよ!」=いや,70分はかかると思う!
・「書くことが多いです」=パワーポイント等のスライドを使う時の注意事項ですね。気をつけます。
「ゼミナールI」履修者数15人(回答者数9人)
【授業の体系性】
設問平均5.0(科目別平均4.7,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】
設問平均4.9(科目別平均4.5,受講者数平均4.6)
少人数のゼミならではの高評価をいただきました。今見返していた思ったのは回答者数がたったの9名?ってことはこのアンケート実施した時にそれだけ休んでいたってことかな?記憶に無いんだけど。。。【教授方法・講義内容】における「授業の内容は理解できましたか」が4.7(科目別平均4.3,受講者数平均4.4)だったのは後期に向けての課題。ゼミナールでは専門書を英語で読んでいくので大変なのだけど,それに対するサポートももう少し充実させていかなければ。【自由記述欄】には「内容が少し難しかったですが、楽しかったです。」や「難しいテキストなのに、先生が分かりやすく解説してくださるため、授業が分かりやすいです。」といったものがあるので,少しは対応できていたのかもしれないけれど。
ということで遅ればせながら前期のまとめ。今年度はいろいろ新たな取り組みをやっているのでその評価を真摯に受け止めて改善に努めたい。後期もよろしくお願いいたします。
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