2013年3月22日金曜日

卒業式

 2013年3月19日に卒業式が行われました。学長をはじめ様々な方からの祝辞がありましたが,印象に残ったのは本学の卒業生で現在オタフクソースの社長である佐々木氏の「ぞうきん洗い」の話でした。それは彼が大学時代にやっていたガソリンスタンドでのアルバイトの話でしたが,簡単に見えるぞうきん洗いそして窓ふきがいかに難しいかということ,そしてその単純なことを頑張っていれば必ず誰かが認めてくれること,についてお話しされました。この話を聞きながら,ふと以前読んだブログの記事を思い出しました。

  いざ就職して仕事を始めると辛いことの方が多いことでしょう。でも単純なことでも真剣に頑張っていれば認めてくれる人がいるはず。私自身も今自分が置かれている状況について改めて考えさせられるお話でした。自分も含め年を重ねていくと話したいことが多くて長話になりがちですが(苦笑),辛抱して聞いていると良い話に出会えることもありますね。

  卒業生のみなさまのご活躍を心より応援しています!そして大学教員にとっては長かった年度の終わりです。そろそろ気持ちを切り替えなきゃ。

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2013年3月4日月曜日

2012年度後期授業アンケート

後期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので,まとめておく。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。 ちなみに質問項目は2分類に分かれており,以下の通り。

【授業の体系性】
1.授業内容は授業計画と一致していましたか。
2.授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                                 
3.授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。               

【教授方法・講義内容】
1.教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。      
2.教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。      
3.学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。 
4.学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。                 
5.授業の内容は理解できましたか。                                         
6.授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。 
7.教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
8.教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。 
9.黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
10.課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「ゼミナール II」履修者数15名(回答者数10名)
【授業の体系性】設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.7) 

【授業の体系性】【教授方法・講義内容】とも高評価をしていただきました。ただ少人数の演習形式の授業は評価が高くなる傾向になるので,低いものに関しては改善していく必要があります。改善すべき項目としては「授業内容は理解できましたか。」(4.4(科目別平均4.5, 受講者数別平均4.5))です。今年度は難しめのテキストを採用したということもありますが,もう少し理解を深めるような対策を考えたいと思います。また「授業を通して新しい知識や理論、考え方がわかるようになりましたか。」(4.7(科目別平均4.6, 受講者数別平均4.6))も専門知識の教授を主目的とするゼミナールクラスとしては厳しい評価だと思います。嬉しかったこととしては,難しいテキストだったということもあるのかもしれませんが,ほぼ全員の学生が1時間以上(そのうち2時間以上も40%)授業の前後に学習してくれていたようだということです。

【自由記述欄】
・皆に発表が回ってくること(良かった所としてのコメント)。
・難しかったけど、めげずに頑張ってもっと予習しとけば、もっと授業が楽しくなったんだろうなと思いました。
・面白かったけど、その分内容が難しかった。 

このように「難しかった」というコメントが目立ちました。

「Reading & Writing II」履修者数32名(回答者数27名)
【授業の体系性】設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.7) 

授業内でMoodleを利用した活動をメインに行っている授業。前期に引き続き同じクラスの担当でした。前期の平均はそれぞれ4.9、4.9だったので,少し評価が良くなったのは嬉しい。前期に引き続き、【学習態度の自己評価】にある「この授業科目について、授業の前後に合計してどれくらい勉強しましたか?」という項目を確認してみる。

2012年度前期
3時間以上: 19.2%(科目別構成比11.5, 受講者数別構成比14.2)
2~3時間以内: 11.5%(科目別構成比7.5, 受講者数別構成比9.1)
1~2時間以内: 7.7%(科目別構成比12.2 受講者数別構成比19.0)
30~1時間以内: 26.9%(科目別構成比17.5, 受講者数別構成比22.1)
30分以内: 30.8%(科目別構成比24.4, 受講者数別構成比21.3)
全く勉強していない: 3.8%(科目別構成比26.7, 受講者数別構成比14.1)

2012年度後期
3時間以上: 11.1%(科目別構成比10.8, 受講者数別構成比14.2) 
2~3時間以内: 0.0%(科目別構成比8.8, 受講者数別構成比9.8) 
1~2時間以内: 18.5%(科目別構成比12.8 受講者数別構成比17.3) 
30~1時間以内: 25.9%(科目別構成比16.6, 受講者数別構成比24.0) 
30分以内: 33.3%(科目別構成比23.8, 受講者数別構成比22.1)
全く勉強していない: 11.1%(科目別構成比27.0, 受講者数別構成比12.3) 

後期になってここまで学習時間が減少するというのは問題だとおもうので、2013年度は何らかの対策を考えます。前期はとても雰囲気が良かったので安心していたのですが、後期は一時期クラスの雰囲気が悪くなったことがありました。このあたりのことも影響しているのかもしれません。反省します。

  【自由記述欄】 
・分かりやすいし、楽しいし、90分間があっというまに過ぎる授業でした。ミニッツペーパーを書いて、返事がすごくたのしみでした。
・1つ1つ問題を解く度に、ちゃんとみんなわかっているか呼びかけながら授業展開していたところが良かったです。また教室を見回ってすぐに呼び止めたら、わかりやすく説明してくださったのも良かったです。
・予習で解いてきた問題がミニテストに出るのはいいのですが、せっかくやってきても間違えていたら、それをそのままテストに答えるので、同じことを書くなら、意味がないんじゃないかと思いました。=こちらの狙いは「自分で正解を導きだすまで丁寧に解きなさい」ということだったのですが、伝わっていなかったようです。ですが、この指摘は理解できるので、対応したいと思います。
・エッセイの直し方がいまいちわからない。どこがまちがっているのかは、わかるがどう直したらいいのかわからないときがある。=授業のねらいは「パラグラフレベルの英文を正確に書けるようになる」ことなので、エッセイの指導(ETSのCriterionを利用)まですることができませんでした。改善します。

「英語の諸相II(英語の意味論・語用論)」履修者数60名(回答者数48名)
【授業の体系性】設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】設問平均4.8(科目別平均4.6,受講者数平均4.6) 

敢えて英語の難解な専門書をテキストに指定し,その内容を解説することを主眼に置いた授業。専門的なことを妥協せず面白くやる授業が理想なので,この授業ではスライドや視聴覚教材もあまり使っていません。評価が低かったのが,「授業の内容は理解できましたか。」(4.7(科目別平均4.5,受講者数別平均4.5)),「課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。」(4.7(科目別平均4.6,受講者数別平均4.6))です。後者は毎年あまり高くないので何らかの対策を考えたいと思います。

【自由記述欄】 
・学生への気遣いが授業に感じられました。納得のいかない表情を浮かべている学生を見逃さず再度説明をしてくれる点は、とても良かったです。=いつも心掛けていることなので嬉しいです。
・授業の始めに前回の復習をするためスムーズに入れる。例えが多くて難しいこともわかりやすい。
・先生のエピソードがおもしろく、説明もわかりやすくて、毎回この講義が楽しみになるほどでした。
・なぜそうなるのかわからなかった文法についての謎が解けたこと。普段生活している中でこれは語用論なのかなと気にするようになったこと。 =こういう感想も嬉しいですね。 ・元々抽象的な分野だと思うので、より具体例を用いてほしい。スクリーンの解像度が低いので逆に使わない方が良いと思う。=例をだいぶ用いているつもりではありますが,検討します。スクリーンの解像度については確かにあの部屋は悪いのですよね…。
・またこの授業をとりたいと思いました。=え?単位が要らないってこと?(笑)

「英語II」履修者数55名(回答者数45名)
【授業の体系性】設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.6) 

2012年度後期は特例として非英語専攻生の英語クラスを担当しました。eラーニングを用いた授業ということで,Moodle上にBBC作成のThe Flatmatesの動画を載せて毎回活動を行う形式を採りました。また課外ではぎゅっとeのリスニング問題を毎週20問解かせ,授業の冒頭に小テストを行いました。簡単だと思った動画だったのですが,非英語専攻生にとっては難しかったようで最初の数回の授業では眠たそうな顔をしたりつまらなそうな顔をする学生が多数。慌てて授業の進行方法を修正し,Dictglossもどぎのことをやったり繰り返しリスニングさせたり活動もたくさん取り入れました。最後はみんな笑顔になったのでとても良かったです。

  【自由記述欄】 
・リスニングを多くできたので聞きとりの力はついたと思う
・会話を聞いてその意味を考える等、高校でやったことあるような内容から、日常会話で使える英語等、これからも役立つようなことまで様々でおもしろい授業でした。
・英語なのに授業が楽しかった。嫌いな英語を少し好きになりました。
・先生がやさしい。パソコンを使って授業するのはいい。教え方もいい。内容が理解しやすい。
・毎回の授業で、常に新たなことに取り組んでいたので、あきることなく、たのしく学べた。ストーリーで授業がすすんでいくので、毎回の授業がたのしみだった。
・英語は苦手だし、朝イチからあるし、木曜1限はすきじゃなかったけれど、先生の授業が楽しくて、木曜1限、今は大好きです。
・ベレボー=???

Moodle Moot Japan 2013

 2013年3月2日、3日、東京家政大学にてMoodle Moot 2013が開催された。今回は業務の都合もあり2日目から発表のために参加。発表資料等は数多くアップロードされているので、詳細は日本ムードル協会のサイトを参照のこと。ということで今回の備忘録は主に私たちの発表およびマニュアルの紹介に留めます。

  中西 大輔・大澤 真也・大西 昭夫(Version 2) 
「e問つく朗」Moodle 2.x対応版の開発  
 広島修道大学においてMoodleをeラーニングシステムとして利用することが決まった時に、一番悩んだのは小テストを作成するのが難しいということでした。特に穴埋め問題を作成することはeラーニング初心者にとって難関の1つです。そこで、教職員が簡単に小テストを作成できるためのもモジュールとして「e問つく朗1.9対応版」を開発し発表したのが、2012年のMoodle Mootでのこと。今回はいよいよ2.x版へ対応させての開発を行いました。 主な変更点は、 

・API経由ではなくMoodleに直接統合
・問題をcsvファイルで一括アップロード(穴埋めを除く)
 ・英語表記への対応 です。

使ってみるとその良さがわかると思うので、興味のある方は http://ver2.jp/moodle/emon/ にアクセスしてみてください。無料でダウンロードできます。ちなみに公開予定は2013年3月中旬以降です(1.9対応版はダウンロードできます)。

  次におまけとして紹介したのはMoodleマニュアル『Moodle事始めマニュアル: Ver 1.9および2.4対応』です。こちらは200ページ程度の分量ながら、PDFおよび電子書籍(フォーマットについては現在検討中)を無料で公開します。売りは(1)Moodleを触ったことがない人でもマニュアルのステップを踏んでいくことでとりあえず授業で利用できるようになる、(2)実際にMoodleを活用している英語教員の実践事例集が付いている、ということです。こちらはPDF版は2013年3月中旬以降、電子書籍版は2013年4月以降に配布を開始する予定です。出版しないマニュアルならではの面白い趣向やネタが満載です(笑)。

  入手可能時期や入手方法など興味をお持ちの方はぜひ以下のフォームからご登録ください(登録してくれる人数が多いほど嬉しいので)。

  『Moodle事始めマニュアル』入手について 

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 ということでMoodle Mootは回を重ねるごとに学会としての様相を帯びつつあるように思う。Moodleの開発者であるMartin Dougiamas氏の講演のタイトルはBack to the Classroomであり、Martin氏自身も開発をするだけではなく、教員が使いやすいものにすることと学習成果をきちんと測定することの重要性を認識しているようだ(その証拠として第1回のMoodle Research Conferenceが2012年9月にギリシャで開催されている)。
  そのことも意識してか、Moodle 2.xにおいては様々な機能が今後追加されていくようである。が、個人的な感想を言わせてもらえれば、シンプルな機能に特化した方が使いやすい場合もあると思うので、いたずらに機能や設定を増やすのではなく、教員のニーズに応じて使用する機能を制限するような設定が付いてくれると嬉しい。今本学ではMoodle 1.9を利用しているが、今の機能や設定だけでも初級者にとっては敷居が高いので。
  そしてMoodleを大学などの機関において、唯一かつ標準のeラーニングシステムとして導入している大学はまだそこまで多くないことにも注意が必要だ。つまり個人でインストールして楽しんでいる愛好家も多いのだ。そういう人たちが気軽に参加できるのがMoodle Mootの良い所である気はしたのだけど…。これはMoodle Moot 2012に参加した時にも思ったことです。

平成24年度 広島大学外国語教育研究センター教育実践研究報告会・外国語教育研究集会

 2013年3月1日、毎年恒例の広島大学外国語教育研究センター主催のイベントに参加してきました。午前中は外国語教育研究センター教員による実践報告、午後は「大学にける外国語教育の目標設定:CEFR-JとCAN-DOリストの理解と活用」と題して、今何かと話題のCAN-DOリストとCEFR-Jに関する講演。以下、いくつか覚え書き。

<教育実践研究報告会>
榎田一路
「広大スタンダード語彙リスト(2012年度版)の開発と冊子体の配布」
 「コミュニケーション基礎I, II」科目ではeラーニングにより前後期それぞれ3000語、通年で6000語の語彙を習得することを目指している。今回はその語彙リストの冊子をお披露目。標準と発展の2つのレベルから構成されるこの語彙リストはなんと外国語教育研究センター所属教員18名が分担して1年半(!)かけて用例を付けたそうである。ちなみにこの語彙をつぶやいてくれるTwitterアカウント(@HirodaiVocab)もあります。

SELWOOD, James
「スマートフォンの可能性:広島大学English News Weekly Podcast」
 広島大学外国語教育研究センターでは、毎週火曜日配信のPodcast番組を作成している。

Hiroshima University’s English Podcastのサイト
iTunesの紹介ページ
Facebookページ
Twitterのアカウント @huepod 

これだけでもすごいのだけど、何と2012年度から新たにEnglish News Weeklyとして毎週金曜日に最新のニュースをPodcastとして配信しているそうだ。

English News Weeklyのサイト
iTunesの紹介ページ
Facebookページ
Twitterのアカウント @ENWpodcast 

すごいのはPodcastだけではなくて、PDFも公開しているということ。時事英語のような授業を担当している人にとっては大満足の内容です。

<外国語研究集会> 
投野由起夫(東京外国語大学)
「CEFR-J: CAN-DOベースの新しい英語到達指標ーその開発と活用」
 科研メンバーで開発したCEFR-Jについての講演。CEFR-Jの詳細やデータはCEFR-Jのサイトを参照のこと。まずはCEFRの背景および利用環境、

English Profile Project
Core Inventory 

などについて触れた上でCEFR-Jの開発の経緯および方法について説明された。その後、CEFR-Jの活用方法についてカリキュラム・シラバス開発、外国語教育・学習のツール、外国語能力の測定・評価のための基準、という3つの視点を提示し、整いつつあるCEFR-Jの利用環境について説明された。 

1つは中国,台湾、韓国の英語教科書コーパスを基に作成するCEFR-J Wordlistについて。現在English Profileが公開したThe English Vocabulary Profile (EVP)のリストとの照合作業を行っており、目標としては

 Pre-A1, A1 1000語
A1 1000語
A2 1000語
B1 2000語
B2 2000語 

の計7000語程度の語彙リストになる見込みだそうである(CEFR-J Wordlistの語彙レベル判定ツールも公開予定)。 

次にCAN-DOデータベースについて。これはCEFR-Jに足りない部分を補完する意味も含め、European Language Portfolioの2,800語の記述(descriptor)のうち647をデータベース化したもの。特徴としては、大人だけではなく子どもも理解できるようにDescriptors for childrenという欄を設けたところだろうか。 

3点目は『CEFR-Jガイドブック』(大修館書店)について。これは2013年4月に出版予定とのこと。

 最後にCEFR/CEFR-Jを用いる意義について、 

・小中高大の英語教育の連携:英語力到達度指標の共通理解の必要性
・4技能全体を視野に入れた指導
・「ことばを使って何ができるか」というCAN-DOリストを基礎とした言語活動の展開
・教室英語から実社会で使う英語への橋渡し
・世界共通の評価基準で自分の英語力を語れること

 とまとめられた。また課題として、 

・CAN-DOから具体的タスクを作成するステップの明確化
・ベンチマークとなるパフォーマンスの事例を集める必要性
・文法CAN-DOのような弊害をいかに封じるか
・文法・語彙の重要性を軽視することがないようにしたい
・「できること」に目を向け、「できない」リストにならないこと

 を挙げられた。

  長沼君主(東京外国語大学)
「自律性と自己効力を高めるためのCan-Doリストを用いた評価」
 CEFR-Jの名前が出てくる前からCan-Doリストを用いた実践および研究をされてきた長沼先生の講演。最初にCan-Doリストを用いた評価についてまとめ、CEFRやLinguaFolio(English Language Portfolioと同様の枠組みで、ACTFL熟達度ガイドラインに基づいて作成)を紹介された。

 そしてCan-Do評価とは「ポートフォリオ評価に基づき、自己効力を与える自律的学習促進のための評価」、「教室における見取りと内省を助け、同僚性と教師自律性を高めるための評価」であると主張された。また一般的な能力記述を目指した外部評価としてのCan-Doリストだけではなく、個々の状況やシラバスに応じたクラス内の内部指標としてのリストを作成することの重要性も指摘された。

  その後様々な話題を提供してくださったのだけれど、時間の制約もあり配布資料の内容をすべて網羅することができなかった。以下、印象に残った言葉をいくつか。 

清泉アカデミックCan-Do尺度
学習者の認知発達と動機づけを育む評価
「べき」感ではない「自律的動機づけ」を高める評価
「できる感」=「自己効力」を与える評価 

またヴィゴツキーの「足場掛け」の話も例として出され、自己評価をする時に他者の助けを借りてできるという段階があっても良いのではないかという主張が印象に残った。 

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午前に行われた実践研究報告会では、外国語教育研究センターのカリキュラム改善に向けた取組、またその検証についての話。そして語彙リストやPodcastなどのコンテンツの充実など、他大学にとっても参考になる話をたくさん聞くことができた。これは広大スタンダード語彙リストだけの話ではないのだけど、最近語彙リストが1つの流行になっており、多くの大学が独自の語彙リストを作成している。しかし単純に語彙リストを作るといっても莫大な作業時間が必要になるので、リストを作成する意義について考えてみる必要があるのではないかと感じた。 午後に行われたCEFR-Jの講演は、CEFR-Jの今後の展開の話だったので、CEFR-Jが良い意味での批判の対象になり、議論を重ねていければ良いと思う。こちらもまたリストの作成には莫大な作業時間が必要になるので、慎重な議論が必要だ。投野先生もおっしゃられていたが、投野先生と長沼先生という組み合わせで講演が行われるという機会はあまりないので、そういう意味でも非常に興味深く貴重な機会となった。

2013年1月16日水曜日

私の英語学習歴

 以前英語教育2.0というブログで「私の英語学習歴」企画があったのですが乗り遅れてしまいました。ただいつかはまとめてみたいと思っていたので,時期外れではありますが,自分の英語学習歴についてまとめてみようと思います。

  小学生時代
 英語を勉強した訳ではないのですが,なぜか「モクモク村のケンちゃん」のことは覚えています(最近アプリにもなったようです!)。内容は覚えていませんが,いくつかのフレーズを子ども心に暗記したようで,”What’s your name?”と”How are you?”は言えるようになりました。小学校低学年の遠足のときだったと思うのですが,たまたま観光に来たと思われる外国人がタクシーから降りてきました。そこで興味半分で暗記していた2つの表現を利用し,見事に相手から答えが返ってきたので友だちに自慢した覚えがあります。ですが,表現は覚えていたものの自分が聞かれたときの返し方は覚えていなかったので,外国人に同伴していた日本人に「自分のこともちゃんと答えなきゃ。」と言われました。

  中学生時代
 中学校1年生のときの英語教員はおじいちゃん先生でした。「おい,お前らこれ覚えとけ。」と動詞の活用表を渡され,それさえ覚えていたらテストでは高得点を取れたものです。惰性で英語を勉強していたのですが,高校受験を意識し始めた中学校3年生の頃,いきなり英語の点数が伸び悩むようになりました。そこで友だちも通っていた近所の学習塾に行き始めました。そこの英語担当教員は極端なぐらいシンプルに英語を教える人(現在某学習塾のトップ!)で,今でも覚えているのは「不定詞,動名詞,両方取る動詞はそれぞれ3つずつ覚えておけ!」と言うような人でした。ですが英語の知識が体系化されておらず困っていた私にとっては,彼の指導が本当に役立ちました。

  高校時代
 高校時代に出会ったのは若い英語の先生で,当時にしては珍しく授業をほとんどすべて英語で行う先生でした(現在も広島県内の高校で活躍されています)。彼の授業はとても刺激的で,英語に対する興味が高まりました。その他にも受験対策としていわゆる単語集や即戦ゼミ,通信講座なども受講しましたし,ラジオ番組の「百万人の英語」を聞くために早起きしたり(でも寝ぼけていたのでほぼ睡眠学習),大手予備校の集中講座のようなものも受けました。センター試験では幸い高得点を取ることができましたが,明示的な英語知識はほとんどなく,感覚的なものでした。

  大学時代
 「英語=英語英文学科」という安易な考えで,大学の英語英文学科に進学しました。最初の頃のオリエンテーションで先輩に「大澤君は何で英語英文学科に来たの?」と聞かれ「英語が話せるようになりたかったからです。」と意気揚々と答えました。すると即座に「そんなの無理よ。」と一笑に付されたのを覚えています。学部時代の授業は文学作品を丁寧に訳読していくというスタイルの授業がほとんどでした。不真面目な大学生活を送っていて2年生になった頃,女子学生の多くが夏期休暇期間中に語学留学をするということを知りました。そこでその流れに乗り,イギリスに1ヶ月間語学留学することにしました(イギリスを選んだのは文学はやはりイギリスだろうというプレッシャーがあったから)。この1ヶ月は楽しいことばかりでした。ヨーロッパやアジアの国の人たちと多く知り合うことができたし,後に大学院進学を決意したときにお世話になった高校の先生にも出会うことができました。1ヶ月はあっという間に過ぎ去り,「いつか今度は1年以上英語圏で勉強してみたい!」という思いを強く持つようになりました。当時は学部生が留学をするというのは珍しかったので,某教官に「イギリスに1年間留学したいんですけど。」と聞いたら「学部生ではちょっとね…。」と渋い顔をされたものです。

 そう言えばこの頃某Y○C○Aにも通っていました。思いつきだったので入れるクラスが少なく最初に入ったのが同時通訳コース(すぐに飽きた),次にTOEFL試験対策コース(試験対策ばかりで面白くなくなった)を受講しましたが,長続きはしませんでした。

  大学も2年次になってくると専門的な授業が増えてきます。その中で興味を持ったのが,文体論の視点から文学作品を読んでいく授業でした。そこで文体論を専門とする先生のゼミナールを希望し,卒業論文ではディケンズの『大いなる遺産』を文体論的な視点から分析しました。当時は喫煙に対する意識も低かったので,ゼミ教室では先生は灰皿を目の前に置きタバコを吸いながら授業をしていたものです。何とも言えずその姿が格好良かった(関係ない話ですが)。4年生になり周りの学生が就職活動を始め続々と就職先を決めていく中で,私だけは迷っていました。当時の志望は中・高等学校の教員だったのですが,教員になるにはあまりにも英語力が足りない。そこでいきなり大学院に進学することを決意しました。それも専攻をかえて英語教育に!当時はアメリカ文学史やイギリス文学史を勉強すると共に,A.J.トムソン, A.V.マーティネット著『実例英文法』という文法書も読み込みました。

  大学院修士課程時代
 進学したのは大学院大学とよばれる大学で,同級生には現職の中・高等学校の教員がたくさんいました(彼らとの出会いはとても貴重で今でも交流があります)。同級生に現職の先生がいることで,「教育現場」に関する問題意識を持つことにとても役立ちましたし,英語力をはじめとして様々な面で劣っていたので,授業でおいていかれないように必死で2年間勉強しました。TOEICは今ほど利用されている試験ではありませんでしたが,大学院入学直後に受験したTOEICのスコアは730程度(同時期に受験した英検準1級は合格)。英語教員を目指す学生としては大して英語のできる学生ではありませんでした。そこから必死に英語教育関連の文献を毎日のように読み進めました(自分のノルマとして毎日20-30ページの論文を1本読むということを課していました)。そこで感じたのは「英語教育関連の文献ってなんて簡単な英語で書いてあるんだろう!」ということでした。大学時代は毎ページのように辞書を引いて真っ黒になるぐらい単語の意味を書き込まないと読めない本ばかりでしたが,論文で使われている英語はとても簡単だということを知りました。そして2年間勉強した訳ですが,学部時代に抱いた「留学をしたい。」という思いが消えることはありませんでした。そこで修士2年目の時にイギリスの大学院修士課程に進学することを決め,TOEFLの試験も受験し何とか基準をクリア(具体的なスコアは忘れましたが確かPBTで550以上?)したので留学できることになりました。ですが,周りが就職を決めていく中でまたしても私一人だけが何もしていないのを不憫に思ったのか,ある先生が「博士課程に進学しないか?」と誘ってくれました。当時は博士課程に進学することなど夢にも思わなかったのですが,修士課程修了(3月)後,イギリス大学院進学(9月)まで間が空いてしまうよりは学生という身分があった方が良いだろうという軽い気持ちで博士課程進学を決意しました。

  イギリス留学時代
 イギリスの修士課程は1年間で前期は授業,後期は論文執筆という流れでした。「イギリス=少人数教育」という勝手なイメージを持っていたのですが,同じ専攻に3-40名程度在籍する大所帯でした。この1年間はインプットからアウトプットの期間でした。日本の大学院修士時代までは読むことがほとんどだったのですが,ここでは論文を読んだ上でエッセイを提出することを求められます。毎日のように英語を読み毎日のように英語を書き,楽しいことがありつつも本当に大変な毎日でしたが,何とか無事に修了することができました。ここでわかったのは大学院レベルの留学ともなると英語力よりも知識が重要だということです。既に知っている分野の授業はほとんど苦労しませんでしたが,全く知らない分野の授業は非常に苦労しました。日本で修士課程を修了していた分,変な自信を持っていたのですが,英語を読むにしても書くにしても力不足で,その自信は見事に打ち砕かれたのを覚えています。

 大学院博士課程時代
 そして日本に帰ってきて博士課程の学生を続けました。これまでと同様,論文を読む毎日でしたが,それに加えて当時の指導教官から言われた「英検1級,TOEIC900以上」(なぜこの目標を提示されたかはわからない)を目標に実用的な英語の勉強も開始しました。と言っても試験のために勉強するのは嫌だったので,雑誌TIMEを継続して読みわからない単語を文と一緒にノートに書き写す,文法書を1冊読み込むといった作業を行いました。その結果,博士課程が終わる頃には両方ともクリアすることができました。このような英語試験の実績がすべてではありませんが,ようやく自分の英語力に少し自信が持てたのを覚えています。

  その後
  そしていろいろありながら現在に至ります。思い返してみるといわゆる試験勉強と呼ばれる学習方法が嫌いで,英文法や語彙などを機械的に暗記するのも苦手でした。そのかわりできるだけたくさんの本や論文を読み,インプットを多量に得ることを心がけました。そのためか,自信を持って明示的に自分の英語の知識(文法や語彙)を説明することはできず,中学校,高校,大学と苦労しましたが,それでもそれなりの英語力(それなりというのがポイントで大した英語力ではなかった)を保っていたように思います。英語の文法などについて明示的に説明できるようになったのは実は大学で教えるようになってからです。大学で教えるという立場になり,説明をするために様々な文法書や英語学の本を読んだことによって,ようやく今までのインプットが明示的な知識として定着した気がします。  

 このように,「英語学習」を意識的にやったことはないので,お勧めできる英語学習法や本などはないのですが,やはり多量にインプットを得ることはとても重要だと思います。また文法用語をいちいち暗記する必要はないと思いますが,いわゆるコロケーションや基本的な文法のパターンを明示的な知識として持っておくことは重要です(高校のときに機械的に繰り返し勉強した『即戦ゼミ』は当時は大嫌いでしたが今は自動化された知識として活きています)。ここまでに至る英語学習は何だかジグソーパズルのようで,英語力というパズルを完成させるために足りないピースを探していく過程でした。今もまだ英語学習は継続中ですし,足りないピースを探す活動は続くと思います。

2012年11月17日土曜日

「コミュニケーションに活かす英文法指導とは?-『意味順』の提案-」

 去る11月15日(木曜日),広島修道大学人文学部英語英文学科の1年生を対象として行われる「初年次セミナー」クラスを利用して学術講演会を開催しました。講師としてお招きしたのは京都大学教授の田地野彰先生です。文法用語を使わずに英文の理解と作成を助ける方法として「意味順」を考案され,英語教育の分野において注目を集めている方です。当日は履修者のみならず,英語英文学科に所属する学生や教員,近隣の大学からも聴衆が訪れ,時折ユーモアを交えながらお話をされる田地野先生の話に魅了されていました。

 意味順とは,「だれが」「する」「だれ・なに」「どこ」「いつ」といった語の順番を意識して簡単に英文を作成できるようになることを意図したものです。今まで日本人英語学習者にとって常識だった5文型とは異なった視点で英文の仕組みを学ぶことで,完璧ではなくても英語を産出することができるようになることを目指します。

たとえば,

(a) The man ate the apple.
(b) The apple ate the man.

という例文を見てみましょう。日本語であれば語順よりも助詞の利用に意味がありますが,英語の場合にはそうはいきません。しかしながらこのような語順の誤りは日本人英語学習者にとっての特徴的な誤りの1つであると考えられているそうです。

 詳細は以下のリンクや田地野先生の出版物を参照していただければと思いますが,講演当日は意味順を支える様々な理論的根拠を提示されるアカデミックな側面あり,意味順を試してみる実践的な側面あり,そしてユーモアのある内容で,笑いの絶えないとても刺激的な学術講演会となりました。

 私の感想としては,以下の表のように意味順だけではなく従来の5文型も意識した上で英文法を考えると視覚的な理解が楽になると思います。

(田地野, 2008より抜粋)

「新しい学校文法の構築に向けて-英文作成における「意味順」指導の効果検証-」
「学習者にとって「よりよい文法」とは何か?---「意味順」の提案」
ディスカヴァー社長室ブログ
意味順の解説動画
意味順ノートについて(キョクトウ・アソシエイツ)
意味順でNew Horizon





2012年11月1日木曜日

意味順の田地野先生が来広!

 「意味順」英語学習法でおなじみの田地野先生が広島修道大学に来学されます。今回は,本学の学術交流センター主催の学術講演会という形で,英語英文学科の1年次生を対象とした講演をしていただきます。タイトルはずばり「コミュニケーションに活かす英文法指導とは?-『意味順』の提案-」です。詳細はこちらをご覧下さい。

 田地野先生は京都大学に移られる前に,広島修道大学で勤務されていた経験がおありになります。私が働き始めたのは2002年からなので,田地野先生とは入れ違いだったのですが,それがご縁で学会等でお会いする度にいろいろとお話(主に雑談や冗談)をさせていただいていました。今回それがこのような形につながり,とても嬉しく思っています。

 現在,英語英文学科では「学生の英語力を向上させる」ために様々な試みを行っていますが,その1つの形として今回の講演会を行います。英語英文学科の1年次生に限らず誰でも参加できますので,参加を希望される方は私あるいは本学の学術交流センターまでお問い合わせください。

今年の秋は広島が熱い!!!

講演会
タイトル:
コミュニケーションに活かす英文法指導とは?-『意味順』の提案-
講師:
田地野 彰(京都大学 教授)
日時:
2012年11月15日(木曜日)10時45分-12時15分
場所:
広島修道大学 6号館 6102教室