2012年9月10日月曜日

第3回Mahara Open Forum


 第3会Mahara Open Forum(通称MOF)が2012年9月8,9日の日程で熊本大学で開催された。詳細は下記のページにあるのでそちらを参照のこと。


ページ上では,プログラムだけではなく予稿集,発表当日の様子も視聴することができます(過去のものは既にありますが,今回に関しては執筆時<2012 .9.10=".9.10">ではまだアップされていません)。MaharaというのはeポートフォリオシステムでMoodleと同じくオープンソースのシステムです。eポートフォリオシステムとしてはまだ未成熟な感が否めませんが,様々なものをオンライン上にアップロードし簡単にそれらをレイアウトしたページを作成できるのはさすがです。FレックスのページもMaharaを利用して作られています。

2010年度に福井で行われた第1回,札幌で行われた第2回に続き今回は3回目。規模は大きくない(60名程度?)ものの,参加者・発表件数ともに着実に参加者が増えている集まりです。何よりも素晴らしいのは,有志のメンバーが手弁当で予稿集作成や映像の録画などすべて行っていることでしょうか。現在は参加費無料ですが,今後規模が大きくなると運営が難しくなってくるかもしれません。が,できれば無料あるいは格安の参加費のまま継続していってほしいと思います。詳細に関しては上記のページ,あるいは当日のつぶやきのまとめを参照してもらえればわかると思います。当日は私と同僚の中西さんを中心に2件の発表を行いました。

大澤真也,中西大輔(広島修道大学),吉田光宏(Moodle / Mahara パートナー)
Mahara1.2 翻訳作業をとおしてMahara を批判的に検討する

2012年2月に発表者3人で『Maharaでつくるeポートフォリオ入門』という翻訳本を出版しましたが,その中で見えてきた課題やちょっとした裏話を提供させていただきました。完璧に「ネタ」提供に徹したスライド作りをしていたので,会場の雰囲気がどうなるかヒヤヒヤしていましたが,発表中に聴衆の顔を見渡してみると結構笑顔で聞いていただけていたので,そういう意味では一安心でした。

Mahara をMoodle と連携させる
中西大輔,大澤真也(広島修道大学)

こちらは現在中西さんが研究室に構築しているサーバ上で試しているMahara,Moodleの連携について概観し,そこから見えてきた課題を指摘しました。

そして私が個人的に力を入れていたのは以下のパネルディスカッションの企画です。

パネルディスカッション「eポートフォリオとしてのMahara の課題」
コーディネータ:大澤真也(広島修道大学)
パネリスト:青木久美子(放送大学)
藤田豊(横浜市消防局)
隅谷孝洋(広島大学)
中西大輔(広島修道大学)
小村道昭(エミットジャパン)

企画意図は,「Maharaを使い始めたばかりの方,あるいはその他のeポートフォリオシステムを使われている方などをパネリストとしてお招きすることで,Maharaの課題を明らかにし今後につなげていく」とあるように,Mahara初心者を中心にパネリストをお迎えしました。その意図は正直なところ,私自身がMaharaをeポートフォリオとして使っていくことに限界を感じているので,Maharaという土壌ではなくMahara以外のシステムを使ったことのある方々に議論してもらうことで,何か面白い話になるのではないかと思ったからです。別名「Maharaをdisる」が企画意図でした(笑)。

1時間と限られた時間内だったので,事前に課題をパネリストから集約してまとめておきました。またパネリストがそれぞれ発表する形式ではなく,藤田さんに25分程度で話をしてもらい口火を切っていただくことで,できるだけ議論の時間を確保しようと思いました。ねらいは的中し,議論が開始した当初はどうなることかと思いましたが,終わってみればフロアも含めてパネリスト間で様々な意見交換ができたと思います。反省点は司会である私の采配に至らないところがあったため,ディスカッションとしてのまとまりに欠けたところでしょうか。

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今回の実行委員長である久保田先生の「この会は全員がフラットなんです。上下がないんですよ。」,福井県立大学の山川先生の「Maharaが良いということではなく,Maharaという共通の話題を基にしていろいろ考えていく。」ということばに表れているように,一つの教室でみんなが話題提供をする楽しい会です。そしてその話題提供についてみんなで真摯に考えていくというのは素晴らしいことだと思います。ただやはりeポートフォリオとしてはMaharaは使いにくい所もあるしあまり成功例がありません(Fレックスでは積極的に活用されていますが)。Moodleも使いにくくはありますが,苦労するのは教員です。Maharaの場合は苦労するのが学生なので,学生が嫌になってしまえば使ってくれません。そう言う意味では既存のFacebookやtwitterなど使いやすいインターフェイスに慣れている学生が,Maharaを積極的にしかも自主的に使ってくれる動機づけはないとも言えます。

ツールとしてはあそこまで面白いことをあっという間にできるのは魅力的です。少しeラーニング経験のある教職員であれば,Maharaを使いこなすのはそんなに大きな問題ではありません。何が問題かというと90分×15回という限られた時間内で,Maharaという少し難しいツールを学生に使わせると,それ以外のことに時間が割けなくなってしまうという点です。特に私が担当している授業においては,Moodleを使っていたりその他の作業をしていたりする時間が長いので,Maharaの操作説明に時間を割くことができません。

これは前から思っていることですが,Maharaに限定して言えばeポートフォリオとして使う必要はないのかもしれません。教職員が中心になってリソースを提供するためのツールとして使うという発想があっても面白いのではないかと感じました。これについては賛否両論あるでしょうが,今後試験的にやってみたいことです。

さいごに・・・

懇親会も盛り上がり,2次会(私は参加していませんが)では「踊るMaharaジャ!」という関係者にしかわからないフレーズも発明されました(笑)。下手にtwitterやFacebookで写真をアップロードすると,次の日に司会者に突っ込まれます(笑)。twitterでつぶやいただけなのに,議論で取り上げられます(笑)。年齢層を問わずまじめな話からしょうもない話までできるのは,とても幸せなことだなと思った2日間でした。


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