2025年3月5日水曜日

2024年3月に卒業したみなさんへ

 2020年に大学に入学し、2024年3月に卒業したみなさん、卒業おめでとうございました!

誰しもコロナに振り回された数年間でしたが、みなさんほど大学生活においてコロナの影響を受けた世代はいません。2020年4月に入学式も無いまま入学し、マスクを着用してソーシャルディスタンスを取りながら恐る恐るガイダンスを終えた途端、いきなり遠隔授業に移行してしまい、入学早々、大学生活を楽しむ機会が奪われてしまいました。オトナたちの中には「後で振り返れば良い思い出になる」とか前向きなことを言う人たちもいましたが、僕としてはキャンパスという貴重な場を奪ってしまった申し訳なさがあり、制限のある中でも最大限に楽しいことをしたりサポートをしたいと考え続けていました。とは言え、コロナ禍の中、対面授業が復活しても遠隔授業に逆戻りしたり、課外活動においても制限があり、本当にもどかしい大学生活だったと思います。

2023年3月13日、マスクを着用するかどうかは「個人の判断が基本」という政府方針が出ました。当時僕は3月13日〜15日の日程でシンガポールに出張に行っていたのですが、往路の機内ではマスクを着用していない、あるいはずれている乗客に対して、客室乗務員が注意をしている光景がありました。でもシンガポールに着くと光景は一変し、サービスを提供する側はマスクを着用しているものの、一般の人たちはほぼ全員マスクを外して生活をしていました。そして復路の機内ではマスク着用率ほぼ0、羽田空港からの飛行機は着用率半分程度(この時までは僕もマスクを外していた)、広島空港からのリムジンバスでは着用率ほぼ100%に戻り、さすがの僕も外圧に負けてそっとマスクを再着用したことを思い出します。

そして2023年4月、この時はまだキャンパスでもマスク着用率はほぼ100%でしたが、僕は強い意志でマスクを外すことを選択しました。マスクをすること自体は苦痛ではなかったのですが、マスクを外すことで何かを変えようと思ったのです。初回の授業でマスクを外して教室に入った時、学生がどう思うかわからずとても緊張していたことを今でも覚えています。そして何もできなかったみなさんのために何か楽しいことを企画しようと考えました(3年次にみなさんはゼミ飲みをしたと思いますが、教員としてはまだ参加する気持ちになれず知らないふりをしていました...)。

2023年7月21日 卒業研究論文中間発表&ビアガーデン



夏になるとビアガーデンに行きたくなるので、僕のわがままをゼミ生に聞いてもらってビアガーデンに行くイベントが4年ぶりに復活!ゼミの課外イベントとしては初だったのですが、みんなの笑顔と話で盛り上がりました。

2023年10月27日 宮島弥山登山





プライベートでは1年に1回ぐらい登っているのですが、何もイベントがなかったゼミ生に何か企画してあげたいという思いでゼミ初の健康的な(笑)イベントが開催されました。当日は雷雨予想で登るかどうか躊躇したのですが、雨雲レーダーを見つつ登山を決行。途中の昼食休憩タイムで雷雨に見舞われたものの、運良く屋根の下で雨にも濡れず、その後雨が止んだので頂上まで登ることができました。雨雲と晴れ間の境界線が綺麗に見える何とも神秘的な光景で感動しましたが、帰りはロープウェーで楽をしようと思っていたのに、雷雨でまさかの運行中止で、みんな泣く泣く帰りも歩いて降りました。僕は元気そうに登山をしていましたが、実は登山後1週間ぐらい筋肉痛で歩くのに苦労したことをここでこっそり白状しておきます。

2024年1月27日 卒業研究論文口頭発表会&打ち上げ


何もかも順調にいくかと思われた2024年1月6日、みなさんご存知の通り自転車事故で緊急入院してしまいました。「昼食会に参加したい人が0名だったので、先生が落ち込んで事故に遭ったんじゃないか」とも言われました(笑)。2週間で退院できたので、口頭発表会と打ち上げは松葉杖同伴で予定通りに開催することができました。「酔っ払って転けたらちゃんと病院まで連れていくので安心してください」という頼もしい言葉をもらったので、しっかりと療養がてら楽しみました。

みなさん元気にしていますか?大学生活は思い通りにいかなかった分、みなさんのこれから先の人生には楽しいことがたくさん待ち受けているはずです。みなさんがマスクを外した顔を見た期間は本当に短かったけど、マスクをしたみなさん、マスクをしていないみなさん、と2回みなさんに出会った気がします。そしてマスクの下にはこんなに素敵な笑顔が隠れていたんだと思うぐらい、どの写真も笑顔で溢れています。これまで以上に楽しみ、ワクワクしながら生きていってくださいね。

2023年3月に卒業したみなさんへ

 卒業から1年以内にメッセージを書くというルールが崩れてしまい、卒業後2年が経過しようとするこの時期にメッセージを書いています。ゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました!11名でスタートしたゼミでしたが、2名が4年次に留学したため、卒業時は9名、うち6名が男性という、なかなかに濃いゼミでした。

3年生のゼミをスタートした時期はまだコロナ禍で全員マスクでしたが、1年生の時にマスクを着けていない顔を見た記憶があったので、そこまで違和感はありませんでした。徐々に制限が緩和されてきていたとは言え、当時はまだ飲み会などできる雰囲気ではなく、3年次のゼミのイベントは0でした。4年生になり社会的にも徐々に活動が許される空気が出てきて、個人的にも出張に行ったり少人数の飲み会に行ったりとし始めましたが、ゼミの教員としてはやはりなかなかイベントを企画することができませんでした。そんな中、留学中の二人とオンラインでつなぎながら、サプライズで25歳(笑)の誕生日を祝ってもらったのはとても良い思い出です。実はマスクを外してケーキを食べるのをちょっと躊躇していましたが...。




このまま授業外で何もしないで終わるのは良く無いと思い、意を決して学内のセミナーハウスを利用して2022年12月6〜7日に「卒業研究論文合宿」を決行しました。日中は情報演習室を利用して執筆、夕方は任意参加の「会食」、夜はセミナーハウスで執筆作業、宿泊も任意(当時はコロナ対応で大部屋を個室で利用できた!)という「基本強制無し」のスタイル。思えば、この時からゼミイベントに関しては強制しない文化ができました。会食後にコンビニにみんなで買い出しに行った時、ゼミ生のひとりが「私たちのことを思って企画してくれたんですよね。ありがとうございます。」と言ってくれた言葉は今でも忘れません。



2023年3月20日には留学から帰ってきたゼミ生を労う飲み会も開催しました。2023年3月13日以降、マスクを着用するかどうかは「個人の判断が基本」になった時期でしたが、集合時には全員マスク着用、飲み会終わりにはみんなマスク無しで笑顔いっぱいでした。


そして卒業から2年が経過しようとしていますが、みんな元気にしていますか?実はこの学年のゼミ生のうち数名は大学に遊びにきてくれたり、少人数の飲み会をしたり、街中で偶然出会ったり、と何かと接点がありました。当時から海外志向を持っている学生も多く、現在海外で暮らしている人も数名いると聞いています。みなさんの益々の活躍を心よりお祈りしています!


最後にメッセージが遅れてしまった言い訳です。みなさんの卒業から1年が経過しようとしていた2024年1月に自転車事故に遭ってしまいまして、2週間の入院、半年に及ぶリハビリ生活を送っていました。後遺症はほぼ0ですし日常生活にも全く支障はない程度に回復はしていますので、ご心配なく。

2023年2月20日月曜日

iPadの画面を教室のプロジェクタに大きく映したい

 コロナの影響がで始める前から授業で利用するもの(電子化したテキスト・スライド・配布資料・映像・音声)の多くをiPadに入れて持ち運び、教室のプロジェクタやディスプレイに投影させるという授業スタイルだった。そしてコロナの影響でオンラインと対面授業を行き来するようになってからは、「次の日からいきなりオンライン授業になっても慌てない」をテーマに、すべての教材教具をiPadに入れて教室に持ち込むスタイルに移行した。こうすると、オンラインでも対面でも授業スタイルはほとんど変わらないので、授業をする側も受ける側もそれほど違和感なく授業を受けれると思ったのだ。

 一方で、いつの頃からか悩み始めたのはiPadをプロジェクタに投影させた時の画面サイズが小さいことだった(以前はちゃんと表示されていたのに...)。MacBookを持ち込んで投影させると問題ないのに、なぜかiPadの画面をスクリーンに投影させると左右に余白ができてしまい、サイズがちっちゃくなってしまう(写真1)。

写真1. 左右に余白ができてしまった画面



 サイズがちっちゃいということは学生からは見えにくいので、それであればMacBookを持ち込んでしまった方がいいんじゃないかと思うぐらい。だけどiOS 16とM1チップを搭載したiPadさえあれば一気にこの問題が解決することを今日発見した。ステージマネージャと外付けディスプレイについてはこのサイトも参照した。操作は簡単。iPadをプロジェクタに接続してステージマネージャ機能をオン(順番は関係ない)にするだけ。左右の余白がなくなり、スクリーンいっぱいにiPadの画面が投影される(写真2)。

写真2. ステージマネージャオン



 この状態では、プロジェクタのスクリーンが外部ディスプレイと同じ扱いになっているので、手元のiPadで開いたアプリは投影されないけれど、スクリーン側の画面でアプリを開くか、iPadで開いているアプリの画面をスクリーンに移動させれば、無事にスクリーンに表示される。Safariなどのアプリを開いてみるとその違いがよくわかる(写真3・4)。

写真3. スクリーンマネージャオフ



写真4. スクリーンマネージャオン



 ステージマネージャではなく今まで通りミラーリングしたい場合には、ステージマネージャをオフにするか、「設定」>「画面表示と明るさ」>「配置」>「画面をミラーリング」をオンにすれば良い。

 今までAppleシリコン搭載のiPadのメリットをあまり見出せていなかったけれど、今日で一気に愛着が湧いた。センターフレーム機能と組み合わせるとハイブリッド型授業も手軽にできるだろうから、2023年度の授業が始まったら試してみたい。

2023年2月15日水曜日

2022年3月に卒業したみなさんへ

 2022年3月に卒業したゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。英語英文学科のゼミ生は原則1クラス15名以下なのですが、この学年は留学から帰ってきた学生もいたため、なんと20名。写真を見返すとやはり多い!

ゼミがスタートする3年次に新型コロナウイルスの影響が始まりました。通常3年次の前期に飲み会をして親睦を深めるのですが、それもできないまま前期のオンライン授業(ゼミ)が終了。僕自身ゼミをオンラインでやるなんて想像したこともなかったので途方に暮れましたが、みなさんも慣れないことだらけで大変だったことと思います。でも会ったことがないにもかかわらず、なぜかゼミとしてきちんと成立していた気がするのは僕の気のせいでしょうか。3年次後期になり対面でのゼミが復活しましたが、ゼミで行うポスター発表や卒業研究の中間発表などなど、実施方法にかなり苦慮したことを思い出します。ゼミ生から「ゼミで飲みに行きたいです」と言ってもらったこともありましたが、感染者の増減で社会の雰囲気が一変する状況の中では、ゼミの指導教員として飲み会を企画することができませんでした。

4年次になってもその状況は変わらず、結局この学年はコロナの影響で2年間のゼミの間、ゼミとして行った課外活動は0でした。その代わり何かしてあげたいという思いもあったので、オンライン雑談、登山企画(企画だけで実施できず)、大教室を貸し切っての500円買い出し企画(僕の500円貯金が原資)、などなどできる範囲でやったきたつもりです。最後の口頭発表も結局オンラインになってしまいましたが、3時間を超えるオンライン発表会も、みなさんは見事に成し遂げました。

20名いたにもかかわらず卒業研究論文の指導は思ったよりも大変ではありませんでした。それは何よりもみなさんの卒業研究への真摯な取り組みによるものだと思います。写真を見てもわかるように、ゼミの雰囲気も非常に良かったように思います。コロナ前(マスク時代前)からみなさんの顔を知っていることもあり、マスクはしていてもみなさんの笑顔がマスクの下から透けて見えていたような気がします。みなさんの笑顔には本当に救われました。ありがとう。

授業外で話をすると面白いだろうなあと思うキャラの人もたくさんいましたが、課外での活動を行うことができなかったことがとても残念です。集まれる人だけでも良いのでいつか飲み会を企画しないといけないですね。





2年遅れではありますが卒業おめでとうございました!

 例年、ゼミ生のみなさんが卒業してから1年以内メッセージを送っていたのですが、今回は気付いてみたらなぜか2年も経過してしまっていました。ちょっと驚き。

遅ればせながら2021年3月に卒業したゼミ生のみなさん、卒業おめでとうございました。ゼミは3年次から始まりますが、3年次のゼミは順調にスタートしました。真面目な人、おっとりしている人、ユーモアのある人、などなど大澤ゼミならではの個性ある学生が集まっていましたが、それぞれの個性がぶつかりあうことなく融合していて、教員としても何だか居心地の良いゼミ(空間)だったことを思い出します。ゼミ飲みは3年次に1回(?)しか開催できませんでしたが、4年生になって何回か一緒に飲みに行ければ楽しいだろうなあと感じていました。

そこから雰囲気が一変したのが2020年の春でした。新型コロナウイルスの影響が出始めて、2020年度前期授業のオンライン実施が決まりました。いきなりのオンライン授業、しかも就職活動も思い通りにいかない中で、本当に大変だったことと思います。旅行業界に就職を希望していたものの諦めたゼミ生もいました。すべてがわからずすべてが手探りでした。

4年次のゼミはオンラインで始まったものの居心地の良い空間のままでした(少なくとも僕にとっては)。オンラインということで学生の顔出しは強要していなかったため、ゼミ生の顔は見えず寂しい思いもしましたが、ゼミ生の元気そうな声、僕のしょうもないボケに対する優しいツッコミ、など小さなことに毎回救われていました。

後期になり対面での授業が再開できるようになり、4年次ゼミは当然のことながら対面実施にすることにしました。「オンラインでの参加も可」にしていたため、全員が集まらない回もたくさんありましたし、12月14日(月)からまたもやオンライン授業に逆戻りし、そのまま会えなくなってしまったので、いろいろと消化不良のまま終わってしまいましたが、何とか全員無事に卒業研究論文を提出できたことを嬉しくそして誇りに思っています。

卒業から2年が経ちましたが、みなさん元気に過ごしていますか?

みなさんが卒業した後の大学について書いておくと、2021年度は「100名以下の授業は原則対面」ということでスタートしましたが、キャンパスにいる学生はまだ少なく、感染者増加の時期には気苦労が絶えませんでした。マスクをしたままの生活、大学キャンパスでの集団ワクチン接種、授業は対面で行うもののそれ以外の課外行事はほぼすべてオンライン、などなど通常に戻ったとは言えない毎日が続きました。2022年度は「300名以下の授業は原則対面」になり、ほぼ通常通りのキャンパスの光景が戻りました。まだまだ制限は残っていますが、少しずつ日常を取り戻せている気がします。みなさんが卒業してから2年もかかりました...。

前年度には中止になった学位授与式も無事に実施されてみなさんに会えた日のことは今でも覚えています。ブログにはあげていませんが、ふさげたポーズで撮った写真も手元のたくさん残っています。今写真を見返すとマスクにも時代の変遷を感じますね(笑)。また会いましょう!




2021年9月29日水曜日

シンポジウム「外国語教育研究の再現可能性2021」に参加した感想

  2021年9月11日にオンラインで開催された「外国語教育研究の再現可能性2021」シンポジウムに参加した。2020年度は例年参加している学会や研究会の多くが中止になり、開催されたとしても手探り状態の中でのオンライン開催であった。新幹線や飛行機に乗って開催場所に移動してしっかりと勉強し、夜には疲れを癒すために美味しいものを食べ、英気を養って次の週からの通常業務に備える。そんな学会・研究会出張と通常業務のバランスを取るサイクルを20年以上続けてきた身としては、2020年度は何をして良いかわからずいつにも増して生産性の低い1年になってしまった。「2021年度こそは(どこかに行きたい)!」と期待したものの、結局昨年度と変わらずほぼすべての研究活動はオンラインのままである。このままではさすがに良くないので、2021年度は興味のあるものを探して学会や研究会に参加することにしてみた。そうすると新たな敵は目の前の家事および誘惑である。オンライン学会だと移動の手間が省ける。インターネットに接続さえすれば1分前まで寝ていたとしてもすぐに参加できてしまう。場の切り替わりに時間がかからない分楽と言えば楽なのだけれど、どうにも集中できない。たまに集中して1時間話を聞くことができたとしても今度は座り続けて腰が痛くなる。ストレッチがてら立ち上がると視界に入る洗濯物の山。目の前の洗濯物、オンライン学会...。そりゃ誰だって洗濯物を畳みたくなる。洗濯物を畳み終えて一息つく。あれ?来週着るワイシャツにしわがついているなあ。アイロン、アイロン!夕方が近くなる。ビール飲みたいな...。あれ?ビールないな。買いに行くか...。誰だってビールが飲みたい。ん?学会もう終わっちゃってる!?

 そんなこんなでなかなかオンライン学会や研究会に参加する動機づけがいつまで経っても低いままなのだけれど、今回のシンポジウムはその中でも久しぶりに真面目に参加したいと思ったシンポジウムであった(どうやら同僚は早い時間から飲みながら参加していたようだが笑)。参加したいと思った理由はほぼすべての発表者と親交がある(と言うとおこがましいが、酒席を共にさせていただいたことがある)ことに尽きる。酒席では楽しく話すだけだが、研究の世界で一流の方々の話を純粋に聞いてみたかったのだ。だってこのメンバーをみるとワクワクしますよね。今後このプロジェクトの向かう先が確実に見えてくる。正直なところ、シンポジウムの内容は僕の理解力をはるかに超えてしまうものが多かったのだけれど、わからないながらにも発表を聞いているだけで知的興奮を覚える体験はなかなか得難い。研究活動の制限もある中でここまでたどり着くのは大変だったと思うのだけど、こういう機会を与えていただいたことに感謝しているし、今後の展開に期待して見守っていきたい。というだけでなくきちんと学ばなければいけないと思っているので、『英語教育のエビデンス(通称エビ本)』もきちんと再現するように2冊入手しておきました。


 奥住先生の「研究者と教師に期待すること」というお話を聞いていて思い出したことがあったので大学院時代の思い出を語って感想を終わりにしたい。僕が進学した大学院は「大学院大学」と呼ばれる大学で、当時教員の再教育を主たる使命として担っていた。全国各地から「現職教員」の人たちが集まり、同じ学年の2/3は現職教員、1/3は学部からそのまま進学したストレートマスターという環境。自然と「現職教員vs.教員を志望するストレートマスター」という構図ができあがっていた。幅広い年代の人たちで楽しい時間を共有したのだけれど、何かある度に現職教員から「理論と実践は違う(今大学院でやっていることは「現場」では何の意味もない)」だとか「教員はきみたちが夢見ているような仕事とは違う」と言われ続け、研究者と教師の間に存在する大きな溝を痛感したものだった。そんな中で印象に残っている同級生(現職教員)は、研究に対する文句をぶつぶつと言いながら、研究の世界で用いられる用語をきちんと理解した上で見事に使いこなし、2年間しかない大学院生活のなかで何とARELEに論文を投稿し採択されてしまった(周りのストレートマスターは研究に専念できるにもかかわらず誰一人として学会誌に投稿さえできていなかったのに)。そしてポツリと一言「こんなの現場では何の役にも立たないけどね」と言い残して大学院を華麗に修了していった。
 あれから長い年月が経過したが現状はどのように変化したのだろうか?奥住先生のような方が両者の橋渡しを担ってくれることに期待したい一方で、これから先も両者の構図は変わらないのではないかという諦観もある。「再現可能性」の議論が重要なのはとてもよく理解できるのだけど、今回のシンポジウムは誰を対象にしたものだったのだろうか。主として研究(を主たる業務とする)者を対象にしたものであれば大成功だったと思う。一方であまり好きではない言い方にはなるが、いわゆる「現場」の先生たちをも対象にしたものだったとするならば、今回のシンポジウムの言葉は彼(女)らにどのように伝わっているのだろうか。

2021年9月3日金曜日

2021年度後期授業実施方針について

  先日大学公式のアナウンスがあったように、本学は2021年8月31日より危機レベルを2に引き上げました。これにともない、またもやみなさんの学生生活に様々な制限がかかることになります。私たち教職員に対しても「出張(県内出張も含む)の禁止」が決まりました。それに加えて「家族以外との会食の自粛」や「感染拡大地域への移動の自粛」などはこれまでと同様求められています。何かと不自由な生活が長引いていますが、その中で大学教員としてできること(楽しいことを含め)を模索しています。一方でワクチンの職域接種を実施したこともあり、後期は現時点(2021.9.3)では原則対面授業を実施する方針です(100名以上はオンデマンド)。しかしながら今年度前期と同様、急に非対面授業へと移行する可能性もあります。僕の授業実施方針は「2020年度後期授業実施方針」とほぼ同じです。可能な限りの感染防止策を取った上で、何かあったときにすぐに対応できるように以下の3つを活用します。


 大学としても2021年度後期から新たな取り組みが3つ始まります。
  • 貸し出しパソコン(50台先着順)
  • 学生オンラインサポートスタッフ
  • オンラインスタジオ(5室)

 2020年度は学修継続支援金の支給およびパソコンの貸し出しを行いました。ですが、これはあくまでも緊急の対策であったため、貸し出し用のパソコンは教室に備え付けられているパソコンを取り外して対応しなければいけませんでした(つまりその教室は使えない)。そこで2021年度はそのようなことをしなくても対応できるように台数は50台と減ってしまいましたが、貸し出し専用のパソコンを整備しました。そしてこの度新たに学生オンラインサポートスタッフ制度をスタートさせることになりました。これは教員には聞きにくいオンライン学習に関する質問を同じ立場の学生に聞くことができる制度です。基本的には月〜金の1〜5時限までの間、学生スタッフが情報センターの窓口に常駐しています(勤務シフトにより空きもあり)。メールでも相談を受け付ける予定です。原則対面授業とは言え、多くの課題はオンラインで出ていると思います。そんなとき何かあれば気軽に窓口に立ち寄ってみてください。そしてさいごはあまり学生のみなさんには関係ないのですが、現在空いている教員研究室を利用してオンラインスタジオを5部屋整備しました。利用対象は大学教職員なので、学生にとってはあまりメリットがないように感じられるかもしれませんが、もしかするとみなさんが受講するオンデマンド授業の音声そして映像が少しだけ向上しているかもしれませんので、ご期待ください。

 それではさいごに私が担当する授業について整理しておきます(ここに書いていない大学院の科目も2つありますが、これは受講者の人数次第で柔軟に対応予定)。

「英語学・英語教育学ゼミナールB」対面

昨年度はハイブリッドで実施したのですが、今年度は原則対面で実施しようと考えています(非対面で受講したい学生がいる場合は検討します)。ただし感染状況によっては対面での受講を躊躇する学生が増えてくるかもしれません。そのような時に備えてZoomを利用してハイブリッド(対面+非対面同時進行)で授業ができるように準備しています。

「卒業研究」ハイブリッド

後期は個別・グループ指導が主になります。そのため、この授業については教室、オンラインどちらでも受講できるようにしています。Zoomももちろん活用しますが、仮想空間Gather.townも使ってみようと思っています。どのような展開になるかちょっと楽しみ。

「英語の諸相II」対面

例年であれば当然のように毎回出席を原則としていたのですが、今年度については対面で実施するものの、「非対面で受講したい場合は文章教材(昨年度作成した教材の改訂版)でも可」にしようと考えています。

「教職実践演習」対面

複数担当の科目で模擬授業を行うため、原則対面です。

「English Online II」対面

ミニテストなど参加必須の回(約5回)を除いて、毎週の課題をきちんとこなしていれば出席は任意です。ですが、せっかく大きな教室を確保しているので、前期に実施したようなハイブリッド型のトークイベントを数回企画中です。すでにゲストの方数名からご快諾いただいています。楽しいイベントになりそうなので期待ください。


 今年度特に意識してることは「学生の積極的な欠席を認める」ということです。教員という立場からすれば、原則毎週教室に来させて特別な事情がない限り欠席は認めないという方針でいきたいところではあるのですが、こういうご時世だからこそ、少しはゆる〜く欠席(あるいは非対面での受講)を認めても良いのではないかと個人的には思っています。もちろん欠席すれば授業の内容を理解することが難しくなってしまうので、最終的には単位の取得が危うくなります。そこについては自己責任でお願いします。

 それにしても気付いてみたら夏が終わってしまっていましたね。花火大会もないし夏のお祭りもないしビアガーデンも行けていないし...。ということでもう1度夏休みをみんなでやりなおしませんかね?ダメですかね...。