2010年2月13日土曜日

MoodleMoot Japan 2010 - Hakodate覚え書き

 MoodleMoot Japan 2010が2月13(土曜日)~14日(日曜日)の日程で、公立はこだて未来大学(FUN)にて開催された。函館とは言え、函館市内から車で約30分はかかる場所。キャンパスは雪に埋もれて何だかとっても雪国。建物内は研究室や事務室といった部屋が無く、すべてパーティションで区切られているだけ(一応研究室はガラスの壁で囲まれていたけど)!!上からそして周りからも丸見えなので、片付け下手には辛い職場だなぁ。導入されているコンピュータはMacのみ!Mac好きには垂涎もの!そんなことはともかく覚え書き。Mootとは「未解決の問題を議論する」という意味か。敢えてConferenceではなくMootと名付けている所に、今回は特徴があるかもしれない。

<一日目>
Beginner Moodle Workshop 2
HIdeto HARASHIMA(前橋工業大学)


 前橋工業大学の原島先生が行われた初心者向けのワークショップ。簡単な概略説明の後、実際に原島先生作成のムードルサイト(Harahara Moodle)にログインし、ハンズオン的な形で様々な活動を作成してみる。いろいろな情報を入手することが有益だったが、対象が初級者なのか中級者なのかわかりにくい所があった。実際何度かムードルを触ったことがある程度の僕には物足りず、全くの初心者の人には何が何だかわからなかったらしい。


edutoolsxplanaOCETでは多様なLMS (Learning Management System)の比較ができる。
keytoschoolではフリーでムードルサイトを作成できる。


簡単!楽々eテスティング
Minoru AKIYAMA(株式会社eラーニングサービス)


 予想以上の人数がおしかけ、サーバーの反応が遅く残念だった。いろいろと教育関係者にとって有益なものを提供してくれているらしいのだけど。

→テストのフォーマット=GIFTフォーマットが使いやすい。マクロを使ったエクセルのワークシートの開発など。
https://e-learning.ac/moodle-resources/では教員に限り、ムードル関連のものを無料で提供している。
=大学の教員に無償提供

Utilizing the Moodle GraderReport
Kenlya FRIESEN: Sapporo Gakuin Daigaku

 ムードル付属の「評定」機能についての説明。使ったことが無いので、理解をするのが難しかった。使いこなすことができれば成績管理も楽だし、何より学生自身が自分の評価を常に振り返ることができるのは良いことだと思う。まさにこれこそ社会文化的アプローチ。

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面白いサインのスライド=istockphoto.com、eXe

<二日目>
Game-theory and Activities that Students Can’t Resist
Gordon BATESON
Robert, CUNNINGHAM: Kanazawa Gakuin University


 ゲーム理論に基づいたムードル活動について。QuizPortなどを利用してカスタマイズをし、退屈なものになりがちな活動を面白いものにした。今後のデータの検証等に期待したいが、非常に興味深い発表だった。

Fear No English(実際のデモサイト)
prettyPhoto opensource


KEYNOTE: Moodleを使って授業し続けるために何を帰るべきかー授業者の立場からー
濱岡美郎(広島国際大学)

 moodle関連の本を何冊か出版されている著名な先生による講演。「eラーニングのみで大学は機能しない」という当然の主張から、現在のeラーニングについて以下の3点を指摘した。

1)教員の介入無しには成立しない。
2)LLと似た状況。教員は参加できるかどうか瀬戸際にいる。
3)eラーニングは個々の学習者に対する個別の対応がポイントである。

一般的な話すぎたので、もう少し具体的なことについて知りたかった。

VIRTUAL KEYNOTE: Moodle 2 and some good ways to use it - Moodle 2の新機能
Martin DOUGIAMAS

 おそらく今回のmootで目玉の一つだったはずのmoodleの開発者のひとりであるDougiamas氏のネット経由の講演。。。だったはずだったのだけれど予想通りというか失敗に終わった。何のシステムを使ったのかは分からない。企画者によると、2度のリハーサルでは完璧に動いていたらしいのだけど、これぞまさに“technology”。最終的にはskypeを使った動画無しの講演となった。
 いろいろ新機能はあるのだけれど、その中でもportfolio(flickr, Alfresco, mahara)へのexport機能は興味深い。詳しくはわからなかったけれど、学生がアップロードしたものをSAVEボタンを押すことによってエクスポートできる模様。その他にはcommunity hubs機能とか?


Managing multiple-choice questions efficiently
山内真理(神戸海星女子学院大学)開発者:神谷健一


 Multiple-choice quiz generator (MCG)を用いて簡単に多肢選択問題を作成する。時間がなくて試せなかったけど、無償でソフトウェアを提供してくれるのは有り難い。時間をかけて試してみたい。しかし英語のタイトルで英語の概要だったのに、なぜか発表言語が日本語。。。

http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/mcg/
http://www.maymeng.net/moodle/
https://docs.google.com/leaf?id=0B28jqCIsUYQgNGM2YjA3Y2MtMmI5Mi00YWMyLWJhODctZDJmMDI2OGU3M2Ez&hl=en

Facilitating Collaborative Learning with Groups and Groupings
PEter RUTHVEN-STUART (Future University-Hakodate)

groupsとgroupingsの使い方。

Mobile Phone Applications for Moodle
Akio OHNISHI (株式会社Version 2) & Geordie MCGARTY


コース上携帯メールに一斉に送信できるシステム。携帯世代の学生とのやりとりには良いかも。

http://ver2.jp/moodle/
webswami

Closing Panel Discussion: The Future of Moodle (Moots) in Japan
moodleコミュニティー、オープンソースLMSの抱える問題:
  1. 中央組織が無い
  2. 中核プログラム開発への寄付の少なさ
  3. セキュリティー対策訓練の欠如
  4. 新機能の開発の遅さ
  5. カリキュラムや教育コンテンツの流通が殆ど無い
  6. Moodle.orgにアクセスをためらう(言語が英語なので)
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ということで長い移動時間をかけて参加した2日間のMoodle Mootが終了した。良くも悪くも発展途上の会合。moodleを使っている・使ってみたい人たちが1つの関心に基づいて、いろんな技術や機能の情報などを共有する。今回参加したメリットは、多くの使えそうな機能やソフトウェアなどの情報(や実物)をもらえたこと。もう少し大規模なmoodle関連の会を発足し、これらの情報を幅広く共有することができるようになった時、このmootの役目は終わるのかもしれない。というかmootの役目が終わらない限りはmoodleがメジャーなLMSとしての地位を獲得できない。個人的にはもう少し込み入った話というか、教育効果の検証について知りたかった。結局は多くの話に共通するのは「いかにmoodleを継続して学生に使わせるか」ということだったように思うので。

参加者の多くは英語母語話者、そして多くの人がコンピュータ(しかもMac)を使いながら発表を聞くというとてもユニークな会合でした。





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