2010年9月27日月曜日

18th International Conference on Pragmatics & Language Learning

 備忘録を書くのが遅くなってしまったが,2010年7月16-19日に神戸大学で開催されたPLL18国際大会に参加した。プライベートな用事があったので参加したのは18,19日のみ。大学時代の同級生(専攻は違う)が学会運営の手伝いをしていて大変そうだった。そう言えば彼は全国英語教育学会でも学会運営の手伝いをしていた。都会に住む研究者というのは大変だ(違うか)。と書き始めてみて思ったが,やっぱり備忘録は忙しいからと言って後回しにしちゃいけない。記憶がだいぶ薄れている。学会全体のイメージとしては語用論と言語学習という2つの分野の接点を探すための学会ということで,僕の知り合いは普段参加する学会(英語教育系?)との違いに随分と驚いていたようだ。そう言えば僕も辞書学の国際学会にはじめて参加した時にその雰囲気の違いに驚いた経験があるなあ。予稿集が薄っぺら過ぎて,自分の興味のある発表を探すのが難しい,というのが一番の難点だったか。その中で印象に残った発表を2つだけ。

Yamato Kazuhito, Tagashira Kenji & Isoda Takamichi. Examining Pragmatic Awareness of Japanese EFL Learners in Relation to Individual Difference Factors: A Cluster Analytic Approach.

 動機付けと熟達度を考慮した上で,pragmatic awarenessにおける個人差の影響について調査したもの。先行研究によれば,pragmatic awarenessに影響を与えるものとして,1)学習環境,2)熟達度,3)滞在期間,4)動機付け,が考えられる。そのうち本研究では2)と4)に注目した。調査に参加したのは日本人大学生69名。TOEICのスコアおよび4技能に関する自己評価(10段階)で熟達度を調査,pragmatic awarenssに関してはBardovi-Harlig & Dornyei (1998)を守成したものを利用,動機付けについてはHiromori (2006)を利用した。

 Bardovi-Harlig & Dornyei (1998)の手順は1)対話が適切か・正確かどうかを判断し,2)もしそうでない場合はその深刻度を6段階で評価するというものであった。が,本研究では文法と語用論的なものそれぞれを別個に判断させ,6段階で評価させた。分析やディスカッションは省略して結論1)個人差(動機付けおよび熟達度)はpragmatic awarenessに影響を与える,2)内的動機付けの高い学習者は,間違いの深刻度の評価において深刻度を高く評価する傾向にある,3)熟達度高いからと言ってpragmatic awarenssが高いとは言えない,4)noticingとunderstandingが重要である。

Bardovi-Harlig & Dornyei (1998). Do language learners recotnize pragmatic violations? Pragmatic versus grammatical awareness in instructed L2 learning. TESOL Quarterly, 32, 233-262.

Haruhiko YAMAGUCHI. Paraphrase and problems of Japanese students: How word meaning should be presented in classrooms and in dictionaries.

 語彙の多義性についての講演だった。というか小学館から出版されている『英語多義ネットワーク辞典』の宣伝か?(笑)非常にユーモアのある喋りをしていたのだけれど,あまり会場の受けは良くなかったような。文化の違い?それとも学会会場という雰囲気のせいか?

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純粋な語用論の学会ではないせいか,どちらかと言えば実践者よりの発表やコメントが多かった気がする。この分野は個人的に興味を持っている分野なので,今後も注視していきたい。

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