2010年9月27日月曜日

日本リメディアル教育学会第6回全国大会

 2010年8月30,31日に湘南工科大学で行われた日本リメディアル教育学会に参加した。学習支援センターで仕事をするようになり,何かとこの学会とはご縁があり参加し続けているような。。。8月後半とは言え,まだまだ残暑,いや酷暑の中,そして大学の側を日焼けしたサーファーがサーフボードを抱えて自転車を楽しそうに漕いでいる中,スーツを着て汗だくで頑張ってきましたよ。以下,備忘録。

Jodi Patrick Holschh. Using Learning Theory to Develop Self-Regulation in Postsecondary Students.

 タイトルからわかるように,高等教育において学習者の自己制御を発達させるために学習理論を用いることについての講演。内容的には一般論だったので省略。残念だったのは会場の悪さ。某先生も言われていたのだが,「本来であれば小さい教室などでやってもらうと良い講師」だったのが活きなかった。音響は悪いし,講師と会場の距離も遠いし。。。講師の人柄の良さがすごく伝わってきただけに残念。アクティブ・ラーニング形式で何かワークショップとかやってもらうと良いかもしれない。

矢田部順二,木村大自,加利川友子,佐々木智子. 地方私立文系大学における入学準備プログラムの実施報告.

 広島修道大学における入学準備プログラムの実施状況についての報告。またアンケート調査の結果を分析し,参加学生の満足度などを調査した結果を報告した。いわゆる身内の応援で行ったのですが,残念だったのは声が小さくてせっかくの発表があまり理解されていなかった気がする。

大澤真也・中西大輔・竹井光子・土岸真由美・有田真理子. 学生に自信を付けさせる英語教育プログラムの予備的検討:

Can-doアンケートの分析から.

 今回の学会参加の目的は,この発表。本学において1年次生約1400名に対して実施した英検Can-doアンケートの結果と

TOEIC Bridgeのスコアとの関連について検討した。その結果,TOEIC BridgeのスコアとCan-doアンケートにおける自信度の間には相関があるが,スコアが上がったからと言って自信度が上がる訳ではないということなどが明らかになった。発表は15分という短時間だったのに,僕が10分ぐらい喋ってしまい本論の分析の部分を残り5分で説明しなければいけないという事態に!!何だかとても反省。。。

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お勉強のために学会に参加するといろいろ知識を得る事ができて良いのだけれど,聴き疲れ「あー,今度は発表しに来よう」と思い,発表のために学会に参加すると発表準備にドタバタして,他の発表にあまり集中できないというジレンマ。日本リメディアル教育学会ではどうやら英語,日本語,理数系,ICT,学習支援という5つの分野に特化していきたいという意思が感じられる。けれどもそこに共通する問題は「なぜリメディアル教育学会で発表しなければいけないのか」ということだ。はっきり言ってしまえばそれぞれの分野にもっと歴史・権威のある学会は既に存在している。例えば英語教育であれば,全国英語教育学会,大学英語教育学会,JALT,LETなどなど。ではなぜリメディアル教育学会で発表しなければいけないのか,という問題について考えなければいけない時期に来ている(どうやら初年次教育学会もそのような雰囲気らしいが)。常に固定のメンバーが発表をして新しい風が吹き込まないような学会であってはいけない,いい加減な研究発表をしてはいけない,など考えなければいけないことはたくさんある。今回思ったのは「リメディアル教育を行いました。でも相手は学力の低い子で,評価できません。でも楽しいと言ってたから効果はあると思います」のような発表が散見されたこと。確かに既存の評価法では評価できないかもしれないが,こういった層を適切に評価できる手法を開発していくことも1つの課題ではないだろうか。この学会に初めて参加していた某氏が言っていた「この学会ってワークショップ無いんだね。やればいいのに。」という言葉は心に残った。ワークショップを開催し,学会員に特定の技能・知識を身に付けてもらうというのは学会の発展のために良い事だと思うのだが。。。

いずれにせよ,日本の高等教育においては今後この分野の必要性はますます高まるのは間違いないので,今のうちにしっかり足場を固めておかねば。

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