2009年3月3日火曜日

第14回FDフォーラム(大学コンソーシアム京都)

 京都の大学が連合を組んで開催するフォーラム。今回は第14回目で「学生が身につけるべき力とは何かー個性ある学士課程教育の創造ー」というテーマで龍谷大学において2月28日~3月1日の2日間行なわれた。参加者は100名!!!2月28日には別のワークショップに参加したので第2日目についての簡潔なまとめ。
 2日目は8つの分科会及び4つのミニ・シンポジウムが開催された。参加したのは第4ミニ・シンポジウム「大学教育におけるeラーニングシステムの可能性」午前10時から2時間各担当者からの発表,午後1時から2時間質疑応答が行なわれた。

その1)京都産業大学情報センター坪内氏
 京都産業大学情報センター職員さんのお話。京都産業大学が代表校となって進める「戦略的連携支援事業」での取り組みの紹介。

2004年 LMS (Learning Management System)としてmoodleの採用決定
2005年 moodle利用開始

2009年1月時点で利用教員数275名(28.7%),利用科目数597科目(11.7%),利用学生数11,012名(87.8%)に達した。活用実態としては資料提供や教材が約半数(50.1),その他はフォーラム(16.5),課題(15.7),小テスト(14.6)などであった。
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その後は大学間連携のためのシステム構築の話。印象的だったのは情報センターが全ての科目及び履修者を登録し,「ご自由に使用してください」と教員に投げかけたこと。単に説明会を開催し,教員の自主的な参画を促すだけではない部局の積極的かかわりが素晴らしい。

その2)佐賀大学穗屋下茂氏
 リメディアル教材としてのeラーニング教材の可能性,コンテンツの欠如の問題,コンテンツ及び成績の管理をmoodleを用いて行なうという3点が印象に残った。またこのような試みは制度作りが重要であることを思い知らされる。佐賀大学では教務課の下にe-learningワーキンググループ,そしてその下にSE, creator, mentor(TAや学生バイと)総計約30名のスタッフを配置し,教員以外のサポートを強化している。原則として授業はブレンディッドとし,ネットと対面授業を1セットとして捉える。
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とにかくGPなどの学外資金を取り続けて潤沢な資金の基でeラーニングを推進している印象。大学のホームページのここ なんかを見れば現状を少し垣間見ることができるかも。

その3)日本福祉大学副学長加藤幸雄氏
 eラーニングを用いて地域の枠をこえたコンソーシアムを形成する取り組み。
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個人的な興味から少し外れた話ではあったのだけれど,とても情熱的な話をされる方であった。教育に対する熱い情熱を持っていらっしゃるようで,「生きた化石(?という言葉だったかな)」みたいな教員はダメだという話をされていたのが印象的。おそらく通信教育部 でeラーニングを活用していらっしゃると言うことだと思うのだけど(詳細は知りません)。


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 どの発表にも共通しているのは1)eラーニングは万能ではない(=ブレンディッドが理想的),2)コンテンツ作成には潤沢な資金が必要(GPなどの学外資金獲得の重要性,少なくとも人件費を除いて1コンテンツ(15週の授業)作成に100万円はかかる!!),などなど。潤沢な資金の基で組織を再編成する位の勢いでなければ魅力あるeラーニング環境を作るのは難しいのかもしれない。けれども発表者の方々も言われていたが,いざ学外資金が亡くなった時にはどうやって運営すれば良いのだろうか。学外資金が無いような大学でも魅力有るコンテンツ作りはできないのだろうか。費用対効果ということで考えれば数億円規模の投資をするだけの価値があるのかどうか各大学で意見が分かれる所だろう。そして何よりもキーワードになっていたのがID(Instructional Design)ということからもわかるが,技術は技術であり,それを利用したものを作るためには様々な工夫が必要である。

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